──ライフハッカー[日本版]より転載
世界各地で外出禁止や自主隔離が行われています。究極の隔離を体験している人と言えば、おそらく宇宙飛行士ではないでしょうか。
この投稿をInstagramで見るSCOTT KELLY(@stationcdrkelly)がシェアした投稿 - 2020年 3月月21日午後1時11分PDT
アメリカ人宇宙飛行士として宇宙滞在最長記録を持つ、スコット・ケリーさん。コロナ禍のため自宅待機を強いられている人たちに向けて、ニューヨーク・タイムズ紙のオピニオン欄に投稿しました。
ISSに滞在する宇宙飛行士は、たしかに究極の隔離環境にいる人と言えます。
限られた基地スペースが生活環境で、しかも任務以外に外出(?)は不可能。重力がないので地球上と同じような筋トレは無理。故障や事故による死の危険も壁ひとつ向こうという環境です。
スケジュールを立てる
スコットさんの最初のアドバイスは、毎日のスケジュールを立ててそれを守ること。在宅勤務で公私の区別がなくなりつつある状況に適応するにはスケジュールが役立つそうです。
そして、「仕事」と「プライベート」を区別することが大事だと言います。
彼のISS滞在には厳密なスケジュールがあったそうです。地球に戻ってからも規則正しい生活の利点を感じたとのこと。ただし、自分のペースでリラックスタイムやきちんとした睡眠時間を組み入れることも必要だと言います。とくに睡眠の質を維持するようと強調しています。
趣味を持つ
スコットさんは、仕事でも家事でもないことをする、つまり趣味が重要だと述べています。
自宅が職場になってしまった人が多い今、「やらなければいけないこと」だけでスケジュールを埋めるのではなく、「やりたいこと」も組み入れるのがことさら大事になってくるんですね。
もしあなたがアウトドア派で家にいながらできる趣味がないとしたら、今こそチャンス。家でできることをはじめてみてはどうでしょう。
家族と一緒にできることでもいいですね。自宅勤務や自宅待機によって物理的な活動範囲は狭まっても、精神的な活動範囲まで制限する必要はないのです。
外に出て自然を感じよう
外に自由に出られないISSという環境を体験したスコットさんは、「外に出ましょう」とアドバイス。
外に出て自然を感じられることはすばらしいと言います。現在、わたしが住むアメリカの多くの都市では自宅待機命令が出ていますが(テキサス州では4月30日まで延長されました)、外でのワークアウトや釣りや散歩は禁止されていません。
他人と最低2メートルの社会的距離を保っていればOKなのです。
家にいてばかりだと気が滅入りそうですよね。特に北半球ではこれから春本番、花や木々の緑を楽しみながら太陽の光を浴びるのは気分転換になります。
日記も役立つ
日記をつけることも勧められています。それは、スコットさんによると、NASAの長年の研究で隔離状態において日記をつけることが大事だと判明しているからなのだそうです。
決まり切った毎日で特に書くことがないと感じる時には、五感や思い出について書いてもいいそうです。
散歩中に見た花の色がきれいだったとか、鳥の声に癒されたとか、久しぶりのビールが格別においしかったとか、そんなことでもいいんですね。
宇宙での日記・日誌と言えば、『スタートレック』TVシリーズ。多くのエピソードは「Captain’s log, star date 21023.8」のように、日誌を読むキャプテンのナレーションで始まります。
もちろん記録を残す目的があるのですが、ある種の隔離環境にある人にとってはそれ以上の効果もあるのかもしれませんね。
テクノロジーで皆と繋がろう
ISS滞在では、テクノロジーのおかげで家族や友人とビデオ会議をできたのが良かったというスコットさん。テクノロジーのおかげで毎日誰かと連絡したりつながったりすることが可能なのだから、時間をとって仲間や家族とやりとりすると、心身へも良い影響があると言います。
まさしく同感です。2001年のニューヨーク同時多発テロの際、マンハッタンで働いていた友人がいました。
当時は自宅電話しかなくて丸1日連絡がつかずに心配したのですが、今東京に戻っている彼女とはLINEでリアルタイムでやりとりできます。
「あの時はテレビも映らず電話も通じなかったけど、今はスマホですぐ情報が入ってくるからありがたい」とは彼女の弁です。
コロナ禍による自主隔離がいつまで続くのかわかりませんが、まず安全第一。そして心身の健康の維持にも努めます。
疲れた心にゆとりを
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