どうすれば「マスク肌荒れ」を防ぐことができるのか、マスクの使い方とスキンケアのコツを皮膚科医がアドバイスしてくれました。
「マスクで肌荒れ」が増えている
寒い冬の時期はまだしも、今後のマスク生活を想像すると気分が暗くなる……という方も多いのではないでしょうか。暑い、ムレるといった不快感に加え、「マスクで肌が荒れる」という声もよく聞くようになりました。
ザ・プロアクティブカンパニー株式会社の調査(※)によると、アンケートに回答した381人のうちの7割が、「マスクをしている部分が肌荒れした」と回答したとのこと。
症状としては「ニキビができた」が5割以上ともっとも多く、ついで「ニキビが悪化した」、「赤み」などの肌荒れが多いことがわかったといいます。
原因のひとつは「マスクの繊維」
一体なぜ、こうした「マスク肌荒れ」が起きてしまうのでしょう。野村皮膚科医院院長の野村有子先生によると、「マスク肌荒れ」の主な症状は、肌の赤み、ヒリヒリ感、かゆみ、そしてニキビの悪化。原因のひとつは、使い捨てマスクの繊維による刺激です。
野村先生 :
マスクによる肌荒れの特徴は、マスクのふちが当たる肌の部分が特に赤くなっていること。布マスクも何回か洗って毛羽立つようになると、肌の刺激になることがあります。
「摩擦が肌を傷める」というのは、スキンケア業界でよく聞く話。マスクの繊維による摩擦刺激も、肌に大きなダメージを与えているようです。
マスクで毛穴が詰まりやすくなる?
それだけではありません。野村先生が注目するのは、マスク着用による「肌の環境の変化」です。
野村先生 :
マスクを着用していると、自分の呼気でムレやすくなり、肌の角質がふやけて毛穴が詰まりやすい環境になります。毛穴が詰まりやすいなどもともとトラブルがある方は、重症化する可能性があるので、より早めのケアが必要です。
マスクで肌の角質がふやけ、毛穴が詰まりやすくなるとは予想外。汗をかくとさらにムレやすくなり、口の周辺や頬など、マスクで覆われる部分にニキビができることがあるといいます。
「マスク肌荒れ」を防ぐポイント1:内側に薄い布を1枚
野村先生いわく、「マスク肌荒れ」を防ぐポイントは2つ。ひとつはマスクの付け方を工夫することです。
野村先生 :
皮膚への刺激を防ぐため、マスクの内側に薄い布を1枚挟むといいでしょう。ガーゼが理想的ですが、ハンカチや着古したTシャツなどやわらかく肌なじみがいいものをマスクのサイズに切って利用するのもおすすめです。
耳にかける部分がヒリヒリする人は、ゴムの部分にやわらかい布を巻くのもひとつの方法です。
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「マスク肌荒れ」を防ぐポイント2:スキンケアはとにかく保湿
もうひとつはスキンケア。とくに重要なのは「保湿」です。
肌がカサカサ・ヒリヒリする人は、クリームをしっかり使うことで乾燥を防ぎ、皮膚の角質層の柔軟性を保つことができるそう。肌のバリア機能の低下を防ぐため、化粧水などで肌の水分量を補うことも大切です。
野村先生 :
肌の水分が不足すると、毛穴の出口の角質が厚くなり、毛穴が詰まりやすくニキビを増やす原因となります。
洗顔は朝晩2回、ゴシゴシ洗わず「絹ごし豆腐の表面をなでるくらいの力」でやさしく洗うのもニキビ予防のコツ。もしもニキビができてしまったら、殺菌や炎症を抑える成分を含む保湿剤や、古い角質や余分な皮脂を除去する働きのあるニキビ専用のスキンケアアイテムを使うとよいといいます。
いまは感染症対策による生活の変化や、紫外線量の増加など、「皮膚におけるストレス要因」が増えていると野村先生。マスクのつけ方やスキンケアの工夫で、ひとつでも肌のストレス要因を減らしていきましょう。
※調査対象はプロアクティブメルマガ会員で1日6時間以上、週1日以上マスクをしている全国の10~40代の女性381名。2020年5月1~7日にWEBアンケートにて実施。
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野村有子(のむら・ゆうこ)先生
医学博士。慶応義塾大学医学部卒。同大学医学部皮膚科助手を経て、神奈川県警友会けいゆう病院皮膚科勤務。日本皮膚科学会会員。神奈川県皮膚科医会幹事。1998年より横浜市に野村皮膚科医院を開業。わかりやすい丁寧な指導が評判の関東屈指の人気皮膚科医。アトピー性皮膚炎や乾燥性湿疹を中心に、男女を問わず幅広い年代の皮膚疾患の診断、治療を行っている。
文/田邉愛理、企画・編集/寺田佳織(マイロハス編集部)、image via shutterstock, Photo by Getty Images