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腸活にスーパースター現る! これからは「育菌」がポイントに
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腸活にスーパースター現る! これからは「育菌」がポイントに

2020-06-16 21:00
    腸活(腸内細菌叢のバランスを整えること)というワードに目新しさを感じなくなるほど、腸の働きとその働きを高める重要性は世間に浸透してきています。では、みなさん、腸活のためにどのようなことをしていますか?

    腸活の不動の主役はヨーグルト?

    2019年にネオマーケティングが実施した「健康と腸活」をテーマにした調査(※1)によれば、約3人に1人が腸活を実践していて、「どんな食べ物で腸活をしているか」という問いに対し、約9割が「ヨーグルト」と回答しています。

    しかし、いま、このヨーグルトから腸活の主役の座を奪わんとする食品があるのです。それは、発酵性食物繊維

    発酵というからには、ヨーグルトと働きは同じでは? この素朴な疑問を、日本食物繊維学会の理事長・青江誠一郎教授に投げかけてみました。

    「ヨーグルトも腸活にとって有効な食品です。が、ヨーグルトに含まれる菌は大腸に到達しても、定着せずに体外へ排出されてしまいます。実は食品など外部から摂る菌は、ほとんど定着しないといわれているんです」(青江教授)

    発酵性食物繊維で「育菌」せよ

    菌自体を摂取するよりも、腸内の菌を育てることが大切だと先生は話します。

    「人間の腸内には生まれた時に母親から受け継いだ菌が棲んでいます。これからの腸活は、自分の腸にもともと定着している菌、それも有用菌を増やすべき。それに大きく役立つのが、発酵性食物繊維なのです」(青江教授)

    食物繊維なら、ふだんの食生活で摂取できていると自負している人もいるはず。ですが実は現代の日本人には食物繊維が不足しており、1日の食物繊維摂取量は1955年と比較すると約3割も減少。厚生労働省が定める成人の食物繊維摂取目安は1日20gですが、実際は14.4gと大きく下回っている現状が(※2)。

    「しかも食物繊維というと葉物野菜などを想像しますが、そうではありません。

    発酵性食物繊維は茶色系の食品に多く、代表例は穀類。穀類はβ-グルカンやアラビノキシランといった発酵性食物繊維が豊富に含まれ、主食として食べられることから、多くの量を摂ることができるのがメリットです。

    ほかにはイヌリンを含む根菜オリゴ糖を含む豆類ペクチンを含むキウイフルーツなどがありますよ」(青江教授)

    短鎖脂肪酸がカギをにぎる

    これらの食品を摂取すると、腸内の有用菌が食物繊維をエサとして発酵し、ヒトにとって有益な物質を生成します。その有益物質のひとつが短鎖脂肪酸

    短鎖脂肪酸は腸内を酸性に傾かせ、酸素を少なくすることで、ビフィズス菌などの有用菌が棲みやすい環境をつくってくれるのです。

    発酵性食物繊維の働きは研究結果にも表れていて、大麦に含まれる発酵性食物繊維では、ヒトを対象とした試験で腸内環境がよくなったという結果(※3)が。

    また、小麦ふすまに含まれる発酵性食物繊維では、継続摂取によって腸内発酵を促す腸内細菌の増加や腸内発酵そのものが増加したという研究結果(※4)が出ています。

    ちなみに短鎖脂肪酸の一種には酢酸(さくさん)があり、酢酸はお酢の成分であることから、食事としてとることが可能。しかし小腸で吸収されてしまうため、大腸まではほとんど届きません。

    重要なのは腸内細菌が大腸で短鎖脂肪酸を作りだすこと。発酵性食物繊維は大腸まで届けることができる点でも優れていると言えます。

    酪酸菌は健康長寿をサポートするスーパースター

    「短鎖脂肪酸のなかでも、世界の研究者たちが特に注目している物質があります」と、京都府立医科大学消化器内科学教室准教授の内藤裕二先生。

    「それは酪酸(らくさん)です。酪酸を作りだす菌は、生物学的に分類するとファーミキューテス門のクロストリジウム属に分類され、総称して酪酸菌と呼ばれています。

    京都府立医科大学らの研究では、京丹後市が際立って長寿者の多い地域であることに着目し、65歳以上を対象に腸内細菌叢を調べました。同じ京都府内の京都市と比較したところ、京丹後市在住者のほうが、酪酸菌が多いことがわかったんです(※5)」(内藤先生)

    さらに京丹後市在住者の食事内容を調査したところ、発酵性食物繊維を多く摂っていたことが判明したのだそう。

    さらに酪酸菌が多いと免疫バランスを整えるという研究結果も報告されています(※6)。つまり、発酵性食物繊維を摂取し、腸内に酪酸をつくる菌を多く持っていると、健康で長生きにつながるということ。

    腸活に励むみなさん。発酵性食物繊維で、腸活のさらなるパワーアップをはかりましょう!

    ※1 全国20〜60代の男女、N=1,000 / ※2 平成29年 厚生労働省「国民健康・栄養調査」より / ※3 Nilsson AC, et al. Am J Clin Nutr 2008, 87, 645-654 / ※4 Aoe S et al. Nutrients. 2018,10,1980 / ※5 Naito Y, et al. J Clin Biochem Nutr 2019, 65:125−131 / ※6 実験医学36(18): 3054-3058 2018 、Furusawa, Y et al. Nature. 2013 Dec 19;504(7480):446-450

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    青江誠一郎(あおえ・せいいちろう)教授
    大妻女子大学・家政学部食物学科・教授、農学博士日本食物繊維学会 理事長、編集委員。大麦の食物繊維とメタボリックシンドローム予防に関する論文にて、平成22年度日本食物繊維学会の学会賞を受賞。雪印乳業株式会社技術研究所を経て平成15年度より大妻女子大学家政学部助教授に就任。平成19年度より現職。

    内藤裕二(ないとう・ゆうじ)先生
    京都府立医科大学 消化器内科学教室 准教授、附属病院内視鏡・超音波診療部 部長。専門は、消化器病学、消化器内視鏡学、消化管学、酸化ストレスと消化管炎症、生活習慣病。著書に『消化管(おなか)は泣いています』(ダイヤモンド社2016年)、『胃がんの原因はピロリ菌です』(大垣書店2016年)他多数。

    Photo by Getty Images

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2020/06/214617fiber.html
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