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そのぽっこりおなか、もしかして。更年期太りを解消する方法
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そのぽっこりおなか、もしかして。更年期太りを解消する方法

2020-07-03 18:00
    自分の体をきちんと知ろう! がテーマの連載「カラダ戦略術」。前回は「口臭ケア」についてお届けしました。今回は「更年期の体重増加」について、女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

    女性ホルモンに守られてきたけれど……

    更年期になって、太りやすくなった」というのは、多くの女性が感じていることです。女性ホルモンが減ることによる、肥満予防の重要性は、医学的にもいわれています。

    女性ホルモンに守られてきたのは、骨、脳、皮膚、泌尿器、血管、心臓……などたくさんありますが、筋肉もそのひとつ。さらに、脂肪をつきにくくする作用も、女性ホルモンにあったのです。

    更年期からの脂肪増加をどうするか? 

    間違ったダイエットは、筋肉を減らして、太りやすい体質にしてしまいます。とくに、コロナ禍の自粛で「体重が増えた」という声も聞かれます。更年期からの正しい肥満対策を知っておきましょう。

    更年期になると太る原因は、ふたつあります

    更年期ぐらいから「急に太り出した!」という女性が増えてきます。

    ひとつ目の原因は、加齢にともなう筋肉量の減少です。ふたつ目は、女性ホルモンの低下によって起こる、体の調節機能の低下です。

    筋肉量が減ると、1日の基礎代謝量が減少してしまいます。じっとしても消費するエネルギーのことを“基礎代謝量”といいますが、この基礎代謝量は、年齢とともに少なくなります

    まったく動かない状態で消費されるカロリー量なので、基礎代謝が高ければ太りにくく、低ければ太りやすくなります。

    加齢とともに筋肉量が減少すると同時に、基礎代謝量も少なくなり、その結果、太りやすくなってしまうのです。

    厚生労働省の下記のデータからも、日本人女性の基礎代謝量は、加齢とともに減少することがわかります。

    日本女性の平均基礎代謝量

    1日の基礎代謝量
    30歳~49歳  1150 kcal
    50歳~69歳  1100 kcal
    70歳以上  1020 kcal

    参考/厚生労働省e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」より

    女性ホルモンが減ると、内臓脂肪がつきやすくなる

    とくに、更年期から注意したいのが、内臓のまわりにつく“内臓脂肪”です。

    更年期になって、おなかが2段腹、3段腹になってきた、ウエストまわりのお肉がダブついてきたという人は、内臓脂肪がついてきたサインなので注意が必要です。

    女性は、若いときは男性に比べて、内臓脂肪はつきにくく、皮下脂肪がつきやすい体質です。それは、女性ホルモンが守ってくれているからです。

    更年期になって、女性ホルモンが減少して、女性ホルモンのバリアがなくなると、途端に内臓脂肪もつきやすい体質に変わります

    女性ホルモンのエストロゲンは、脂質代謝に関係していて、コレステロールを適切に調節してくれています。

    閉経してエストロゲンが減少すると、悪玉コレステロールが上昇しやすくなり、食生活や年齢的な影響とは別に、内臓脂肪がつく「内臓型肥満」になりやすいといわれています。

    「抗肥満ホルモン」と呼ばれるレプチンというホルモンは、脂肪細胞から分泌されて、脳の満腹中枢に作用し、食欲を抑制します。

    エストロゲンは、レプチンの分泌を促進し、逆にレプチンはエストロゲンの分泌を抑えるという関係があります。お互いに調節しているわけですね。

    閉経してエストロゲンが減少してしまうと、レプチンとの調節バランスが崩れて、満腹中枢に影響を及ぼす可能性も指摘されています。

    内臓脂肪は、生活習慣病の原因になります。体脂肪のうち、この内臓脂肪が多いと、糖尿病、高血圧症、狭心症、心筋梗塞、動脈硬化などの生活習慣病の原因になることがわかっています。

    筋トレと有酸素運動で、食べても太らない体になれる

    そのため、大切になるのが運動です。放っておくと年1%ずつ、とくに更年期以降は加速度的に筋肉が減っていきます。ますます、燃えにくい体になって、脂肪が増えていくのです。

    運動習慣がない人は、まずはウォーキングから。体が慣れてきたら、少しずつスクワットなどの筋トレをおこないます。

    筋トレをして筋肉がつけば、カロリーの呪縛から放れられます。筋肉があれば、更年期以降、閉経しても、食べても太らない体になります

    ほかには、便秘、むくみも体重増加につながります。便秘、むくみに悩んでいる人も、バランスよい食事と運動で筋肉をつけることで、改善されます。

    更年期以降の肥満防止には、“筋肉”がキーワードです。

    糖質ダイエットは無意味。バランスよい食事が大事

    若いときと同じ食事、運動、生活習慣をしていたのでは、筋肉も基礎代謝も落ち、女性ホルモンが低下しているのですから、太るのは当たり前とも言えます。

    努力して運動の機会を増やさなければ、若いころと比べ、運動量も自然と減ってきます。すると、筋肉が減り、脂肪が増えやすい体になります。

    だからと言って、間違ったダイエットをしては、ますます筋肉が減り、太りやすい体質に拍車がかかります。筋肉は、少なくとも年1%ずつ減ってしまうのです。

    更年期からの病気予防、自分らしい人生を過ごすためにも、まずは食事と運動を見直しましょう。

    「これを食べれば、これを食べなければ」といった考え方ではなく、和食の定食風のメニューで炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラルバランスよく、3食に分けて摂ることが、もっとも大切です。

    「バランスよく3食なんて、できない!」と、はじめからあきらめるのではなく、なんとか自分なりに工夫しながら、徐々にでもできる方法を見つけていくことも大切です。

    極端な糖質(炭水化物)ダイエットもNGです。

    糖質(炭水化物)だけをカットした食事を続けると、よほど栄養管理をよくしないと、水分と筋肉が減っただけで、脂肪が減らない、ことになってしまいます。一時だけ体重は減っても、筋肉が減ったことで燃えにくい体になり、あとから体脂肪が増えていく結果になりかねません。

    食事はあくまで、バランスよく食べて、筋肉を減らさず、燃えやすい体にすることが大事です。

    とくに、筋肉のもととなるタンパク質は、更年期以降、年々摂りにくくなってきます。毎食最低20gを目安(意識しないと摂れません)に、心がけて摂りましょう。

    タンパク質ファーストの食事を

    とくにタンパク質は、筋肉など体をつくる働きのほかに、ホルモンなどの体を調節する機能にもかかせません。

    動物性のタンパク質や植物性のタンパク質など、食品に含まれるタンパク質は、種類によって、働きや消化吸収する時間も違います。ひとつの食品からだけでなく、さまざまな食品と組み合わせて摂ることが大切です。

    高たんぱく質食品のたんぱく質量とエネルギー

    品目 100gあたりのたんぱく質/エネルギー
    鶏ささみ 24.6g/114kcal
    豚ヒレ肉 22.2g/130kcal
    牛ヒレ肉 20.5g/133kcal
    黒まぐろ赤身 26.4g/125kcal
    本がつお 25.8g/114kcal
    真かじき 23.1g/115kcal
    納豆 16.5g/200kcal
    プロセスチーズ 22.7g/339kcal
    カマンベールチーズ 19.1g/310kcal
    ゆで卵 12.9g/151kcal

    出典/日本食品標準成分表2015年版より

    食べる順番はやはり大切です

    また、食事をするときの食べる順番も大切です。

    消化吸収が遅い食品「食物繊維(野菜、豆類など)」→「タンパク質(肉・魚・卵など)」→「炭水化物(米・パン・麺類など)」の順番で食べることで、糖質の吸収を抑え、体を作るタンパク質の吸収を促します。

    タンパク質は、摂取すればするほど、体に取り込まれるわけではありません。また、過剰摂取により、肝臓や腎臓の負担が大きくなることもあります。

    1日の摂取目標量が厚生労働省で公開されていますので、参考にしてください。

    女性のたんぱく質の目標量

    1日の摂取目標量(g/日)

    30歳~49歳   67~103
    50歳~64歳   68~98
    65歳~74歳   69~93

    出典/厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より

    更年期太りに効果的な漢方薬も

    食事や運動で、肥満解消をがんばっている更年期女性に、補助的に服用する漢方薬もあります。

    運動時の脂肪燃焼効果を上げるといわれているのが、「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」。

    また、水太りで、ぽっちゃりタイプの水分代謝が悪いタイプの女性には、「防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)」がいいといわれています。

    ただし、漢方薬を服用すれば、痩せることができるわけではなく、食事や運動、生活習慣の改善に加えて、補助的に服用するものです。また、ひとりひとりの体質、タイプによって、あう漢方薬が異なりますので、最初は医師の診察を受けて、処方してもらうのがいいでしょう。

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    増田美加・女性医療ジャーナリスト
    予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。著書に『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)ほか多数。NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ

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