初対面の人と上手にコミュニケーションをとるのは難しいもの。そんなとき、相手の「顔」から“したほうがいいこと”や“してはいけないこと”を見抜くことができたら、もっと余裕をもって会話ができそうな気がしませんか? そんな夢のような顔分析メソッドを教えてくれるのが、『人は顔を見れば99%わかる フランス発・相貌心理学入門』(佐藤ブゾン貴子著/河出書房新社)です。

人は顔を見れば99%わかる: フランス発・相貌心理学入門

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99%の正確性を誇る顔分析メソッド

相貌心理学(そうぼうしんりがく)は、1937年にフランスの精神科医・臨床学者のルイ・コルマンが創始した心理学の一分野。人間の「顔」のつくりを客観データとして分析し、人間性、性格、パーソナリティーを見立てていくもので、プロフェッサーによる顔分析の精度は99%の正確性を誇ると言われます。

日本ではあまりなじみがありませんが、フランスではビジネスや教育の現場で、コミュニケーション向上の手段として活用されることが多いそう。これまで1億人以上の顔分析データが蓄積されており、現在もメソッドを体系化し続けている“生きた学問”なのです。

顔には「その人のすべて」が表れている

著者のブゾンさんは、アパレルの勉強のためにフランスに渡ったことがきっかけで相貌心理学に出会い、5年の研修過程を経て、世界で15人、日本人では初となるプロフェッサー資格を取得しました。

顔には、その人の持っているほぼすべてが表れています。ちなみに、顔からは次のような情報を読み取ることができます。

体力量 コミュニケーション欲求量 実行力 想像力 共感力 思考の速度 環境や他者に対する寛容性や順応性 感情や考えを伝える力 感受性 自己制御力 野心や独立心 モチベーション

すべての人の顔には、こういった情報がはっきり示されています。それは、あなたの顔も私の顔も同じ。

(『人は顔を見れば99%わかる』18~19ページより引用)

ここで重要なのは、顔は生まれつきで決まるものではなく、刻一刻と変わるものであり、いわゆる美醜とは関係がないということです。

顔のなかでも肉付きは人間関係や環境からくる刺激で変わりやすく、そこを見ると現在の心境がわかるのだそう。一方、輪郭、額、頬骨、顎といった部分は変化しにくく、その人本来のエネルギー量や思考のスピードなど、行動の土台となるような情報を与えてくれるといいます。

3人のうち、仕事を任せられる「顔」の持ち主は?

それではここで、自分の“人を見る目”と、相貌心理学の見方をちょっと比べてみませんか?

上の3人のうち、もっとも仕事を任せられるのは誰でしょう。また、トラブルを起こしやすいのは誰だと思いますか?

相貌心理学の知見では、仕事を任せられるのは真ん中の女性です。目尻の上がりからうかがえるのは、意思の強さ。顔全体の肉付きの張りは、問題を乗り越える能力や責任感を示します。目と目の間があいているので、好奇心旺盛。アイデアを現実的思考に置き換える力があることは、こめかみに窪みがなく、まっすぐであるという特徴から判定します。

やや心配なのは、責任感が強すぎるあまりに、思っていることを率直に言いすぎること。それは、顔の正面から鼻の穴が見えることからうかがえるといいます。

一方、トラブルを起こしやすいのは左の男性です。突き出た頬骨からわかるのは、自己主張の強さ。自分の野望を実現するために、まわりに過度な要求をする傾向があると判定します。また、輪郭が細く、顔の肉付きが平坦なことから、環境や他者への寛容性・順応性が低いことがわかるとのこと。もちろんプラス面もあり、どっしりとしたあご先が示す豊富な野心から、大きな契約や賞を獲得する可能性も高いといいます。

残る右の男性は、顔の肉付きの平坦さから、限られた少数の人と深く付き合うのを好むタイプと分析。全体的に、自分に興味があることにしか食指を伸ばさない、マイペース型と診断されます(写真、解説:『人は顔を見れば99%わかる』87ページ参考)。

このように、顔の個別の器官や部位に表れる特徴を総合的に判断し、その人の傾向やコミュニケーションスタイルを割り出すのが相貌心理学なのです。

ココ・シャネルの顔が表すのは「貪欲な現実主義者」

相貌心理学において、顔の器官や部位による分析とともに重視されるのが「顔の3つのゾーン」です。額の一番上から目の下までが「思考ゾーン」。目の下から唇の上までが「感情ゾーン」。唇の上からあご先までが「活動ゾーン」。その人のモチベーション(何によって満足感を得られるか)は、3つのうちで一番拡張している(面積が大きい)ゾーンが示すといいます。

上から、思考ゾーン、感情ゾーン、活動ゾーン(イラスト/森海里:『人は顔を見れば99%わかる』93ページより)

思考ゾーンの人は、想像力が豊かでゼロからイチを生み出す仕事が得意。何事も理解しないと受け入れず、知的好奇心が刺激されないとモチベーションが上がりません。ブゾンさんいわく、アップル創業者のスティーブ・ジョブズがこのタイプです。

感情ゾーンの人は、エモーションの高まりや「好き」という感情が原動力になります。仕事でも人とのつながりを重視し、ほめられるほど力を発揮します。フィギュアスケートの羽生結弦選手はこのタイプだそう。

活動ゾーンの人は、思考ゾーンとは正反対の現実主義者。創造よりも展開が得意で、モチベーションアップのためには「頑張れば収入が上がる」「ポジションが上がる」といった目に見える価値が欠かせません。ちょっと意外だったのですが、ブゾンさんの分析ではココ・シャネルがこのタイプでした。

なぜココ・シャネルがそうした世界を変えるようなデザインを生み出せたのかと言うと、現実主義者だから。それまでの女性ファッションは、毎日着られて、かつデザイン性に優れた、機能的かつ実用的なものは多くはありませんでした。

世の中の女性が求めているものはどういうものかを見抜く鋭い観察眼。活動ゾーンの特徴である手先の器用さからくる裁断、縫製の高い技術力。(中略)想像力を駆使したデザインありきではなく、マーケットのニーズを把握して女性が求めるファッションをつくるところが、活動ゾーンならではと言えます。

(『人は顔を見れば99%わかる』161ページより引用)

相貌心理学は、人を知る手がかりになるだけではなく、自分自身をより深く知るきっかけにもなりうるとブゾンさん。才能の開花が望める分野を把握できれば、自分の能力を最大限に発揮できるようになると語ります。

グローバル化が進む現代では、言語も文化も価値観も違う初対面の人と話したり、プレゼンテーションをしたりする機会が増えてきています。ビデオ会議でしか会わないなど、リアルで面識がない人と接するときでも、相貌心理学は役に立つはず。相手と自分の相性や、よりよいコミュニケーションのあり方も探ることができそうです。

コミュニケーションは大切

「また会いたい」と思われる人はどんな人? 話がおもしろい、聞き上手…

マスクをしていてもコミュニケーションの妨げにならない?

人は顔を見れば99%わかる フランス発・相貌心理学入門

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RSS情報:https://www.mylohas.net/2020/07/morphopsychologie.html