一見、冷凍野菜は「生の野菜と比べて健康的でない」というイメージを持たれがちです。でも本当は、必ずしもそうとは限りません。
事実、ほとんどの冷凍野菜は、生の野菜と同じように栄養豊富なのです。さらに言えば、生で売られているものよりも栄養素がしっかり保たれているケースもあるほど。
冷凍農産物の栄養価は、生とほぼ変わらない
一般的に、冷凍の野菜や果物は、生のものと比べて栄養価が低いと思う人は多いはず。
それは、こうした冷凍食材が、食料品店では冷凍ピザやレンジでチンするだけで食べられるワンプレートタイプの冷凍食品などと同じ場所で売られていることが多いせいでしょう。
実際の欠点というよりもイメージの問題です。冷凍農産物に含まれる栄養素の量は、じつは、食料品店で買い求める生の野菜や果物に含まれているものとほぼ変わりありません。
畑で取れた農産物が生産地から食料品店に届くまでには、おおむね数日から2週間ほどの時間がかかります。輸送されている間に、野菜や果物は熱や光、酸素にさらされ、栄養素が次第に失われていくわけです。
この輸送にかかる時間は、旬の期間を外れた食材の場合はさらに長くなります。冬になると、ベリー類の値段が上がり、入手しづらくなるのはこれが理由です。
以下の動画では、両者の違いがわかりやすく説明されています。
対照的に、冷凍の野菜や果物は、ちょうど食べごろになったタイミングで収穫され、直ちに冷凍されています。
そのため、栄養素が壊されずに保たれます。冷凍食材のほうが、生のものより栄養素が豊富な場合があるのは、こうした製法によるものです。
ただしこれは、野菜の種類によっても違ってきます。
「ウォール・ストリート・ジャーナル」のこの記事(英文)では、こうした冷凍野菜の製造方法を解説すると共に、米冷凍食品協会(英文)による研究の結果を伝えています。
冷凍加工される予定の野菜は、収穫されるとすぐに、熱湯あるいは蒸気でさっと表面を加熱されます。
これは「ブランチング」と呼ばれる処理で、これにより栄養素が多少失われますが、野菜が茶色に変色したり、冷凍後に栄養素が失われたりすることを防ぐ効果があります。
この過程で最も失われてしまうのは、ビタミンCやBなどの水溶性の栄養素です。
ブランチング処理を施された野菜は、その後急速冷凍されます。これにより大半の栄養素がそのまま保たれ、長期保存に耐える状態になります。
(中略)冷凍のブロッコリー、イチゴ、グリーンピースはすべて、冷蔵保存された比較サンプルと比べて、より多くのビタミンCを含んでいました。
一方、ホウレンソウの場合は、生あるいは冷蔵保存されていた比較サンプルと比べて、冷凍されたものではビタミンCが少なくなっていました。
これについては、カットされたホウレンソウは表面積が広くなるため、ブランチングの過程でより多くのビタミンCが流出するからではないかと、Pegg博士はこの研究論文で考察しています。
ほかの複数の研究(英文)でも同様に、「野菜や果物に関して、冷凍のものと生のものでは栄養価はほぼ変わらない」との結論が導き出されています。
旬の時期を外れている場合は、冷凍の野菜や果物を買うほうが賢い選択と言えそうです。逆に、旬の時期であれば、食料品店やファーマーズ・マーケットで、地元の農家で採れたものを探せば、生の野菜や果物から最大限の栄養素が得られるはずです。
とはいえ、冷凍された野菜や果物は、生のものと違って、栄養に関して直ちに合格点をあげられるとは限りません。
冷凍食材は加工されている場合もあり、チーズや砂糖など、あまり健康的とは言えない食材が加えられていることも多いからです。
原材料名の欄に、買い求めようとしている農産物の名前だけが表記されているものが望ましいでしょう。
また、「Eating Well」の記事(英文)は、アメリカではUSDA(米農務省)が認定する「U.S. Grade A」マークがパッケージについているものを選ぶよう勧めています。「fancy」という名でも知られるこのマークは、高品質の農産物が原材料に使われていることを示す証です。
冷凍の野菜や果物をもっとおいしく食べる方法
冷凍の野菜や果物にまつわる誤解や偏見は、栄養価のことだけではありません。
こうした冷凍農産物は、生とは風味が異なるため、生のものと同じように健康的だとは感じにくい、という側面もあります。この問題の根っこにあるのは、冷凍された野菜や果物の食感です。
この問題に対応するために、「The Kitchn」ではいくつかの方法を勧めています。
たとえば、「スパイスなどで風味付けをする」「素材の風味がそのままわかるようなシンプルな調理法は避ける」といったことです。また一番大事なのは、冷凍野菜を茹でるのではなく、蒸すことだそうです。
冷凍野菜を茹でると、みるみるうちにベチャベチャになってしまいます。
そう言われても、わざわざ蒸し器を引っ張り出してきてお湯を沸かす時間もやる気もない、という人には、うってつけの方法があります。
ちょっとだけ水を足して、電子レンジにかければよいのです。
気をつけるポイントは、野菜が3分の1ほど漬かるぐらいの高さになるよう、水の量を調整することと、ちょうどまんべんなく温まったタイミングで加熱をやめること。
とはいえ、もし時間があれば、ぜひコンロにかけるタイプの蒸し器を使って、最高の味を引き出してあげてください!
味覚は個人的な好みの問題ですが、冷凍の野菜や果物の風味が、生の食材と少し異なるのは否定できません。
一方、「Huffington Post」のこちらの記事(英文)では、冷凍野菜で買うべきものと買ってはいけないものを紹介しています(ただし、科学的根拠はまったくありません)。
ワーストのリストには、芽キャベツ、ニンジン、ブロッコリー、アスパラガスなどが並んでいます。一方、コーンやグリーンピース、枝豆などの定番の冷凍野菜は、おいしさの面で生と変わらないと高く評価されています。
いずれにせよ、適切な調理法で、なおかつ相性の良い食材と組み合わせれば、たいていの冷凍野菜や果物の欠点はカバーされ、おいしく食べられるはずです。
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Source: ウォール・ストリート・ジャーナル,米冷凍食品協会,Eating Well,The Kitchn,Huffington Post
Thorin Klosowski - Lifehacker US[原文]
訳:長谷 睦/ガリレオ
image via Shutterstock
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