• このエントリーをはてなブックマークに追加
生理前のイライラやむくみなどを上手に乗り切るには? ダイエットへの影響は?
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

生理前のイライラやむくみなどを上手に乗り切るには? ダイエットへの影響は?

2021-05-21 18:00
    自分の体をきちんと知ろう! がテーマの連載「カラダ戦略術」。今回は「PMS(月経前症候群)」について、女性医療ジャーナリストの増田美加がお伝えします。

    生理のある女性の70~80%が悩んでいる

    イライラ、落ち込み、不安、眠気、集中力の低下、のぼせ、食欲不振・過食、めまい、疲れ、おなかの張り、頭痛、腰痛、むくみ、胸(乳房)の張り、ニキビ・吹き出物などなど……。生理前につらい症状を経験している人は多いと思います。

    このような症状が生理開始の約10日~3日前から始まって、生理開始とともに消失するようなら、PMS(月経前症候群)の可能性が大です。

    PMSの数は、生理のある日本女性の約70~80%にも及ぶといわれています。

    なかでも約5%の人は、社会生活に影響があるほどの不調があって、治療対象になるとのデータもあります(※) 。

    そこで、多くの女性を悩ませる「PMSの賢い乗り切り方」をご紹介します。

    (※)T.Takeda.et.al.,Arch Womens Ment Health 2006

    生理前1週間、つらい不調が続く

    PMSの原因は、はっきりとはわかっていないのです。けれども、女性ホルモンの変動がかかわっていると考えられています。

    排卵がある女性の場合、排卵から生理が起こるまでの間(黄体期)に、エストロゲンプロゲステロンが多く分泌されます。

    この黄体期の後半、つまり生理前に、エストロゲンとプロゲステロンが急激に低下します。そのことで、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられています。

    しかしながら、脳内のホルモンや神経伝達物質は、ストレスなどの影響を受けるため、PMSは女性ホルモンの低下だけが原因ではなく、多くの要因から起こるといわれています。 

    PMSの症状は人それぞれ。その数200以上にのぼります。日常生活に支障をきたすようなときは、一度、婦人科の専門医を受診してみましょう

    婦人科でのPMSの治療法は、ピル、漢方薬、抗不安薬、カウンセリングなど、さまざまあって、婦人科医と相談しながら自分にあったものが選べます。

    低用量ピルや漢方薬もPMS対策に効果あり

    たとえば、低用量ピル。低用量ピルは、エストロゲンとプロゲステロンの2種類の女性ホルモンが含まれています。排卵を抑えるとともに、子宮内膜が厚くならないようにして、痛みの原因となるプロスタグランジンという物質の産生を抑えます。

    その影響で、生理痛や生理周期によって起こるさまざまな不調が改善します。PMSの多くの症状も改善することが多いといわれています。ニキビや吹き出物には、とくに効果があります。避妊も兼ねたい人にも、おすすめです。

    低用量ピルの種類はたくさんあるので、医師と相談のうえ、選べます。クリニックによって価格は異なりますが、1か月分1シート2,000円~3,000円程度(診療費別)が多いようです。

    また、漢方薬も有効です。「五苓散(ごれいさん)」などは、むくみに効きますし、ニキビや吹き出物には「清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)」というものもあります。

    桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)」は、生理前の下腹部痛や肩こり、頭重、めまい、ニキビなどによく使われます。

    加味逍遥散(かみしょうようさん)」は、イライラ、落ち込み、冷え、疲れやすい、肩こりなどの症状にもよく使われています。漢方薬は、医師に処方してもらうと健康保険が使えます。

    顔がパンパン、手足のむくみ、太った……。それもPMSのせい?

    PMSの時期は、プロゲステロンによって脳内物質(GABA) や水分代謝が影響を受け、不安定になるといわれています。そのひとつの例が、むくみです。この時期は体重も、水分の溜め込みによって、増えやすくなります。

    対策としては、運動で血流をよくすることは大切です。運動はウォーキングでもストレッチでもOK。

    食事では、不足しがちなビタミン、ミネラルを十分補給しましょう。大豆製品(豆腐、納豆、豆乳など)は、むくみにいいカリウムや女性ホルモン症状の緩和に役立つ、大豆イソフラボンが豊富です。ほかに、カリウムが豊富な食品は、ほうれん草、海藻、果物など。

    甘酒に豆乳とバナナを加えて、朝食にしてみるのはどうでしょう。甘酒はビタミンB群、ミネラル、乳酸菌が豊富です。

    PMS期のダイエットは要注意

    気をつけたいのは、PMSの時期のダイエットです。むくみを脂肪がついたと勘ちがいして食事制限をすると、全体的に摂取できる栄養量が減ってしまいます。

    そのため、この時期に必要な栄養素がさらに不足しがちに。燃えにくい体になってしまうため、食事や水分摂取を減らすのは逆効果です。

    無理なダイエットをすると、PMSの症状はますます強くなります。バランスのよい食事を摂って、塩分を控えめにして、水分を溜めこまないようにするのがコツです。

    思い切ってこのPMSの時期、ダイエットはお休みしてもいいと思います。下半身のむくみには、マッサージも試してみてください。

    足首からそけい部までアロマオイルでマッサージ

    下半身のむくみケアに、入浴後、足首からそけい部(脚の付け根あたり)までを優しくマッサージします。

    まず、ひざ下から。足首からひざ裏に向かって、ふくらはぎを揉み上げるようにマッサージ。脚の前面のすね側もおこないます。

    その後、ひざ上からそけい部までをマッサージ。太ももは両手でつかむようにして、揉み上げます。最後に、足首からそけい部まで、脚全体を流すようにして終了です。

    水分排泄を促すサイプレスなどの精油(ホホバ油10mlに精油1滴が目安)を使ってマッサージするのもいいでしょう。余分な水分を排出できるといわれています。マッサージに使うのは、ブレンドオイルやクリームなどでもOKです。

    女性のための漢方

    体質から改善して治す。「大人ニキビ」や「むくみ」に効く漢方は?

    「だるい、疲れる」とき、隠れた病気がないか要チェック

    増田美加・女性医療ジャーナリスト
    予防医療の視点から女性のヘルスケア、エイジングケアの執筆、講演を行う。乳がんサバイバーでもあり、さまざまながん啓発活動を展開。 新刊『もう我慢しない! おしもの悩み 40代からの女の選択』(オークラ出版)ほか、『医者に手抜きされて死なないための 患者力』(講談社)、『女性ホルモンパワー』(だいわ文庫)など著書多数。 NPO法人みんなの漢方理事長。NPO法人乳がん画像診断ネットワーク副理事長。NPO法人女性医療ネットワーク理事。NPO法人日本医学ジャーナリスト協会会員。公式ホームページ

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2021/05/strategy97.html
    コメントを書く
    コメントをするにはログインして下さい。