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パリ、青葉台、そして秋谷へ。夫妻の思い出がつまったインテリア/こぐれひでこさんの住まい[後編]
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パリ、青葉台、そして秋谷へ。夫妻の思い出がつまったインテリア/こぐれひでこさんの住まい[後編]

2021-07-02 18:00
    マイロハスの人気連載「こぐれひでこの『ごはん日記』」の舞台裏を紹介した「あの人の、キッチン」(前編後編)に続く第2弾は「住まい編」。

    こぐれさん夫妻が7年前に引っ越した神奈川・秋谷の家を紹介した「前編」に続き、この後編では空間を彩る家具や小物についてお話を聞きました。

    がっちりしたフォルムはTORUさん、やわらかいデザインはこぐれさん

    「この花がのっているテーブル(写真右下)はパリの蚤の市でひでこさんが選びました」と、部屋にある家具を紹介して回ってくれる夫のTORUさん。

    こぐれ家で目にとまるのは、それぞれテイストが違いながらもすべてがしっくりと空間になじむ家具の数々。パリと青葉台の家で使ってきた愛着のあるものがほとんどです。

    まずダイニングの中央に鎮座するのが、「ごはん日記」ではおなじみのグリーン色をした大理石のテーブル。パリの家へは大男が7人がかりで搬入したというほどの重さで、著書には「二度と動かすことができない」と語られていますが、フランスから日本へは船便で、そして秋谷の家へも一緒にやってきました。

    テーブルの周りには、パリ時代から愛用する椅子が並ぶ。この椅子は楽器がモチーフになっていることから、こぐれ夫妻に「たて琴椅子」と名付けられた。

    「レザーのものやフォルムががっちりしたものは俺が選んだものやわらかいものや曲線のデザインはひでこさんが選んだもの。そのルールでいくと、この椅子はわかる? そう、ひでこさんね」(TORUさん)

    繊細なアイアンでデザインされたソファはこぐれさん、レザーのチェアはTORUさんがチョイス。 テラスに置かれたソファや椅子に腰をかけて眺める景色は最高。パンチングレザーの椅子は60年代のバタフライチェアのレプリカ。 パリ時代から大切にしているワゴン。お酒のボトルやグラスを載せて。 東京・青葉台の家で使うために、パリで選んだカーテン。ノットをつくるだけで外国風な雰囲気を醸す。

    何十年が経っても変わらない、「好き」がつまった空間の雰囲気

    「これもパリだね」「蚤の市ね」。家具を住まいに迎えたときのエピソードを振り返るこぐれ夫妻。

    あちこちにパリのテイストを感じさせるこぐれさんの住まい。なかでも、取材スタッフが「素敵!」と声をあげたのは主寝室。こぐれさんが住まいを探すたびにこだわってきたのは「ベッドルームとバスルームがすぐ近くにあること」。この家もその条件をしっかりと充たしています。

    バスルームの壁に飾られたミラーやフレーム、タオルハンガーなどは、パリ時代に蚤の市で買ったものや、前の住人が置いていったものにペイントしたものを日本に持ち帰り、この家にも取り付けたそうです。

    どれも、ずっと大切にしてきたものだから、住まいを変えても空間の雰囲気がガラッと変わるなんてことはないですね。どこにいても同じ。好きな雰囲気っていうのかな」

    扉の先は撮影を遠慮しましたが、後日「ごはん日記」で紹介されていたのがこちら。想像通りの素敵なバスタブに、三浦の高梨農場で「お風呂にどうぞ」ともらったという白いバラの花びらを浮かべてバスタイムを楽しんだとのこと。

    2021年5月13日の「ごはん日記」より(撮影/こぐれさん)

    そしてこちらがベッドルーム。奥には前編で紹介したアトリエが続くという間取りです。

    繊細なデザインのベッドフレームは、こぐれさんが選んだもの。フィリピン製で、青葉台の家でも使っていたそうです。壁にかかっている絵のほとんどがこぐれさんの作品

    壁に何も飾らないなんて、もったいない。ぜひみなさんも壁で遊んでみてほしいですね。絵を飾るのはハードルが高いと感じるなら、好きなポスターでもいいし、花や葉っぱでもいいから額縁に入れるだけで違うものに見えるはず。家の中で私っぽいところといえば、ここかな」

    「作ったときの自分を誇らしく思える」。壁に飾られた作品の数々

    キッチンの壁に飾れられたこぐれさんの作品。

    そう聞いて、あらためて壁を眺めると、たしかにただ白いだけの壁はこぐれ家にはほとんど存在しません。キッチンの壁には、こぐれさんが個展のために制作したお酒のボトルをかたどった作品が飾られ、ゲストルームにもこぐれさんの作品がいくつもかけられています。

    ゲストルームに飾られたこぐれさんの作品。 こちらもゲストルーム。壁2面を使って作品が飾られている。

    「ここに引っ越すときに、いろんなものを処分しました。でも自分の作品は捨てられないですね。手をかけたという思い入れもあるし、好きだし、そのときの自分を誇らしく思うから

    処分するかしないか、その判断基準は「好きかどうか」「愛着があるかどうか」。キッチン編の前編でも紹介しましたが、「もう2度と使うことはないとわかっていても、そこにあるだけでワクワクする気持ちがあれば、それは宝物」とこぐれさん。

    こぐれさんにお話を聞いて、「どんな家に暮らすか、どんな場所に暮らすか」と同じように「どんなものに囲まれて暮らすか」を大切に考えてみたくなりました。

    さて、キッチン編、住まい編と紹介してきたこのシリーズ。次回は最終回、TORUさんとのなれそめから秋谷での暮らし、そしてこれからのことをインタビューしました。公開は7月下旬予定。どうぞお楽しみに。

    「住まい編」の前編はこちら

    ご自宅、訪問。こんなアトリエでイラストを描いています/こぐれひでこさんの住まい[前編]

    「キッチン編」はこちら

    ごはん日記の舞台裏。キッチンの「ガラクタ」は宝物/こぐれひでこさん[前編]

    ごはん日記の素材たち。まず好きな食材を買って、メニューはあとから考える/こぐれひでこさん[後編]

    こぐれひでこ 1947年埼玉県生まれ。イラストレーター。大学卒業後パリに住む。帰国後デザイナーとして活動した後、イラストレーターに転身。食や暮らしに関するイラストやエッセイを中心に執筆。「こぐれひでこのごはん日記」は2000年2月スタート。朝昼晩の食事をバランスよく、かつバリエーション豊かに食べること。それが人生の楽しみ。

    撮影/小禄慎一郎

    RSSブログ情報:https://www.mylohas.net/2021/07/kogure_home_02.html
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