今回は、最近スーパーなどでも手軽に手に入れられるようになった「代替ミート」に着目。プラントベースフードからたんぱく質が手軽に摂れ、とても重宝する食品です。
レシピは、厚揚げと代替ミートのそぼろを使ったアジアンプレート。暑さで食欲が落ちているときもパクパク食べられるスパイシー仕立てでお届けします。
体づくりに欠かせないたんぱく質。プラントベースフードからも摂れるんです
プラントベースフードとは、菜食を取り入れた食生活のこと。アメリカから始まり、手軽さも相まって、世界各国にファンを広げています(詳しくはこちら)。
体づくりのため、そして日々元気に過ごすためには、「たんぱく質」が大切。 たんぱく質というと、肉や魚、乳製品といった動物性食品のイメージがありますが、実は植物性食品(プラントベースフード)にも含まれているんです。大豆やナッツ類、野菜、穀物にもたんぱく質は含まれます。
日本の「精進料理」は、まさにプラントベースフードで作られてきた伝統食。魚や肉の代わりに、豆腐や麩、ごまなどでたんぱく質を補い、栄養バランスよく食べられてきました。
このように植物性食品で代替する方法のひとつに「代替ミート」があります。
代替ミートは、大豆などの植物性たんぱくを利用し、肉の味に食感や見た目を近づけて加工された植物性プロテインフードのひとつ。スーパーやインターネットでも手に入りやすくなっています。
なぜ今、代替ミートなの?
環境課題の改善に貢献できるから
「代替ミート」への注目が高まる理由は、温室効果ガスによる地球温暖化などの環境課題への関心がまず挙げられます。
地球温暖化の原因となる二酸化炭素などの温室効果ガス。畜産業も関係し、家畜からはメタンガスが、肥料からは亜酸化窒素が排出され、地球温暖化に影響を及ぼしています。また熱帯雨林は温室効果ガスを吸収する役割がありますが、近年伐採が進んおり、その背景には畜産のための牧草地拡大が挙げられます。これらのことから、「肉食」が見直され、プラントベースフードという選択が生まれたのです(詳しくはこちら)。
そんななかで「代替ミート」は手軽にプラントベースフードを取り入れられる食材。栄養面や食の楽しみの観点でも期待されています。
植物性たんぱく質は、健康増進やアンチエイジングにも
Image via Shutterstock肉や魚、乳製品などの動物性たんぱく質には、脂質が多く含まれています。 この脂質の摂りすぎは、肥満や病気にもつながるため、気をつけて摂りたいもの。一方で、植物性たんぱく質は、動物性食品と比較すると脂質の量が少ないのが特徴です。プラントベースフードや代替ミートの食事で、脂質の摂取量を抑えることが可能です。
豆類やナッツ類、穀物などは、植物性たんぱく質を摂ることができる食材です。それと同時に、食物繊維やビタミン・ミネラル、抗酸化物質も含みます。食べながら体づくりができることはもちろん、健康増進やアンチエイジングにもつながる点がうれしいですね。
植物由来食品のたんぱく質、実はお米にも含まれる
日本人の成人女性の1日に必要なたんぱく質推奨摂取量(※1)は、体重や身長、年り齢、活動量によって異なりますが、50gほど。過不足なく適量をとりたいところです。
身近な食品にどれくらいたんぱく質が含まれるかを、知っておくと食事を考えるときや買い物時に役立ちます。参考までに、鶏むね肉100gにはたんぱく質は約23g、牛もも肉(脂身なし)では約20g含まれます。
主なプラントベースフードに含まれるたんぱく質量(100g当たり※2)
【大豆製品】
大豆ミート(粒状大豆たんぱく)46.3g、納豆16.5g、蒸し大豆14.8g、生揚げ10.7g、木綿豆腐7g、絹豆腐5.3g、ゆでひよこ豆9.5g
【種実類】
アーモンド(煎り)20.3g、煎りごま20.3g、ピーナツ(煎り)25.0g
【穀類】
オートミール13.7g、キヌア13.4g、全粒粉12.7g、薄力粉8.3g、玄米6.8g、精白米6.1g
【野菜、果物、きのこ類】
ゆでグリーンピース8.3g、にんにく6.4g、ブロッコリー5.4g、モロヘイヤ4.8g、とうもろこし3.6g、ほうれんそう2.2g、かぼちゃ(生)1.9g、アボカド2.5g、しいたけ3.1g
意外と知られていませんが、米などの穀類にもたんぱく質は含まれます。穀類の主食に、大豆類や野菜を使った主菜や副菜、汁物をバランスよく食べることでたんぱく質やその他の栄養素を賢く摂ることができますね。
とはいえ、食事は毎日のことなので手間やレシピのレパートリーに悩んでしまいがち。そんなときに「代替ミート」があると、メニューの幅が広がっていろんな料理を楽しめるようになります。
代替ミートは美味しく進化中! 種類が豊富で自分に合ったタイプが選べます
中村さんが普段使っている代替ミートがコチラ。家族も一緒に食べられる味や調理しやすい種類を研究している。代替ミートは、畑の肉といわれる大豆を中心に、加熱・加圧・脱脂・乾燥などをほどこした食品。低脂肪で低カロリー、高タンパクという点が特徴です。さまざまな種類がある代替ミートをタイプ別にご紹介します。
乾燥タイプ
別名ソイミート。大豆たんぱくを原料に、脱脂加工して乾燥させた食品です。水で戻し、加熱して使用します。最近では、えんどう豆や玄米を加えた物も登場。形状は多様で、ミンチタイプやブロックタイプ、フィレタイプなどがあります。
マルコメの「大豆のお肉」や「まめたん」(昭和産業)などがこれにあたります。
味付き代替肉
加熱味つけされた真空パック。温めてすぐ食べることができます。そぼろや焼き肉、牛丼、しょうが焼き、唐揚げなど、形状や味も肉に寄せて作られているのが特徴です。鶏肉タイプの代替ミートでは、鶏肉の繊維感まで再現。まさに次世代のミートといえます。
ネクストミーツから出ている「NEXT牛丼」「NEXTハラミ」「NEXTチキン」などはスーパーでも手に入るようになりました。
ミートボール、ハンバーグ(パテタイプ)、ハム、ソーセージなど
朝食やお弁当のおかずにおすすめの、手軽に食べられる形状の代替ミート。調理でアレンジもしやすく、お好みの味付けで楽しめます。ハンバーグやソーセージに近い見た目もポイントです。
大豆で作ったソーセージタイプやひき肉タイプがある「リンケッツ」は、缶詰で長期保存が可能。大塚食品の「ゼロミート」はハンバーグの他、ハムタイプもあります。また、IKEAには「ベジタブルボール」という商品もあります。
植物性ミルク
代替肉ではありませんが、植物性たんぱく質が摂れるドリンクもあります。豆乳やアーモンドミルク、オーツミルクなどがあり、「植物性ミルク」とも呼ばれ、牛乳の代わりに飲む方も。
私が保育園栄養士としてアレルギー代替食を調理していたころは、代替商品を探すのもひと苦労でしたが、今や手軽に入手できるようになりました。植物性ミルクで作ったアイスクリームやチョコレートなども登場し、スイーツもプラントベースで楽しめます。
食べ方で気をつけること
このようにさまざまな種類があることがわかりました。ただ代替ミートは加工食品。食べ過ぎには気をつけ、食の楽しみとして適度に利用しましょう。
代替ミート初心者さんにおすすめ。ひき肉代わりになる「大豆ミートそぼろ」のレシピ
左が調理前、右が調理後。乾燥ミートを使うとこれだけカサが増す。代替ミートを初めて手にする人にもお伝えしたいのが、とても手軽な「大豆ミートそぼろ」レシピです。使うのは、乾燥タイプの代替ミート。ひき肉のかわりになり、ミートソースやキーマカレー、ビビンパ、タコライス、餃子など、いろんな料理にアレンジができます。覚えておくと重宝しますよ。
「大豆ミートそぼろ」
<材料>
大豆ミート(乾燥・ミンチタイプ)…1/2カップ(約40g)
水…1カップ
A[片栗粉、油、粉末野菜ブイヨン(または粉末昆布だし)、しょうゆ、酒(またはみりん)…各小さじ1/2]
こしょう…少々
<作り方>
1.大きめの耐熱容器(吹きこぼれ予防)に、乾燥大豆ミートと水を入れ、ラップをかけずに600Wの電子レンジで約3分加熱、またはゆでる。ザルにあげ水気を切り、水にさらしてよく洗う。
2.水気を絞って耐熱容器に戻し、Aを混ぜる。1分ほど電子レンジで加熱(またな鍋で煮る)し、混ぜ合わせる。
加熱後に水洗いをすることで、大豆ミート特有の臭みを消し、うまみとしっとり感がプラス。電子レンジでも手軽にできます。
「大豆ミートそぼろ」をスパイシーに。肉好きさんも大満足なアジアン風レシピ
今度は、応用編。先ほど作った「大豆ミートそぼろ」を使ったレシピをご紹介します。
「厚揚げと夏野菜のスパイシーそぼろ炒め」
<材料(2人分)>
大豆ミートそぼろ…上のレシピの量
絹厚揚げ…1枚(150g)
おくら…4本
赤パプリカ…1/2個(60g)
レモンくし切り(またはレモン汁小さじ1)…2個
にんにく(みじん切り)…小さじ1
生姜(みじん切り)…小さじ1
オリーブオイル …小さじ2
しょうゆ…小さじ1
カレー粉(好みのスパイス)…小さじ1
塩…少々
こしょう…少々
<作り方>
1.厚揚げは一口大に、パプリカは細切りに、オクラはヘタの周りの硬い部分を除いて斜め切りにする。
2.フライパンに油、にんにく、しょうがを中火で温め、厚揚げを並べ、おくら、パプリカを周りに広げる。
3.厚揚げが色づいたらうら返し、野菜に火が通るまで炒め、しょうゆ、カレー粉、塩、こしょうを振り混ぜる。大豆ミートそぼろを加えざっと炒め合わせて火を止める。
4.皿に盛りレモンを添える。粗く刻んだカシューナッツをちらしてもよい。
■「厚揚げと夏野菜のスパイシーそぼろ炒め」の栄養量
<1人分の栄養成分>エネルギー:244㎉、たんぱく質:18.7g、脂質:14.4g、糖質:14.5g、食物繊維:6.4g、カリウム:746㎎、カルシウム:267㎎、マグネシウム:120㎎、鉄:4.2㎎、亜鉛:1.9㎎、葉酸:142μg、ビタミンB6:0.34㎎、ビタミンC:58㎎、食塩:1.1g
こちらの「厚揚げと夏野菜のスパイシーそぼろ炒め」は、大豆と野菜からたんぱく質が摂れ、夏バテ予防にも大切なビタミンやミネラルも補給できます。
代替ミートを食べるのが初めての方、苦手な方も、スパイシーな味付けとひき肉にそっくりな大豆ミートで美味しくいただけるはず。湯で戻した米麺、もやし、パクチー、カシューナッツなどをあわせれば、タイ料理の「パッタイ」風になりますよ。
※1 日本人の食事摂取基準(2020版) ※2 日本食品標準成分表2020版(八訂)
中村美穂(なかむら・みほ)
管理栄養士、フードコーディネーター、プラントベースフードアドバイザー、国際薬膳調理師。料理好きから管理栄養士となり、おいしく楽しく体にやさしい料理やお菓子を探求。商品開発や保育園栄養士の経験を活かし、料理教室「おいしい楽しい食時間」を開催。食事講座や栄養相談、書籍・雑誌・企業のレシピ提供も多数担当している。
撮影/中山実華、 構成・編集/小林ゆうこ
コメント
コメントを書く大豆ミートって加熱殺菌が必要なほど雑菌やべえの? こええな・・・
そこまで必死に「肉っぽくして」食うぐらいなら普通に肉を食おうよ
むしろ大豆を食べるなら、逆に肉には出せない「大豆としての味」を味わおうよ
>環境課題の改善に貢献できるから
植えてから数か月で収穫してしまう野菜ではCO2現象効果はあんまり期待できないんじゃ…?
結局、収穫してから輸送して工場で加工して小売店への輸送なんかでCO2がバンバン排出されるからむしろ逆効果ともいえる。
森林伐採は牧草地にするためよりも、アブラヤシなどプランテーションの方が多いのでは?
草以外生えない場所ゃ三圃式(混合)農業での放牧以外では家畜を飼うメリット
ょり環境に与える負荷の方が大きい;特に日本のような配合飼料を輸入し肥育
するだけの畜産業は、もはや農業ですら無い。
こういった不自然な営みが地球環境を疲弊さし収奪だけの破壊をを推し進める
莫大な地球人口爆発を支える為には旧来の畜産業ではすでに限界なのだ。
ディストピア化進行中
加熱後に洗うって何? 大豆ミートを焼いた後に水道水でジャブジャブすんの? そんな訳ないよね。どういうこと?
>>8
乾燥タイプを水と熱で戻した後で洗うと臭みを落とせるということらしい
>>4
>植えてから数か月で収穫してしまう野菜ではCO2現象効果はあんまり期待できないんじゃ…?
そこじゃなくて、肉の生産はエネルギー効率が悪いのが問題になってる。
牛や豚を肥育するのに餌にする穀物を、そのまま人間が食べれば
肉を食うよりも数倍の人口を養うことができる。
>>9
なるほど。ありがとうございます