二十四節気でいうと「暑」の期間は、今年で言えば、7月7日の小暑から8月7日の立秋の前日まで。7月に入ったとたん、例年にはない猛暑が続き、すでに夏バテ気味......という方に、今回は、日本に伝わる「暑気払い」についてご紹介します。

現代は、暑気払いといわれてパッと思いつくのは「夏の飲み会」。もちろん「夏の暑さに負けないために、カラダや心を強くするために催物をする」ということも暑気払いの一つですが、もともとは「薬を飲んで暑気を払うこと」という、少し違った意味があります。

ここでいう薬とは、カラダから暑気を取りのぞくための飲み物や、暑さにばてないように滋養のあるものをさしますが、さて、どんなものがあるでしょうか。もちろん、キリっと冷たい飲み物は、素早く汗を引いて気持ちがよいですが、取りすぎると夏バテの原因になり、反対に体調を崩すことは、みなさんよくご存知のことだと思います。


内側から暑気をとる、日本独自の発酵調味料「みりん」

暑気払いのコツは、カラダの内側から暑気をとってくれる力があるものを選ぶこと。例えば、江戸時代の庶民の智慧を借りるのであれば「葛水」や「本みりん」がおすすめ。

みりんは日本独自の調味料ですが、もち米、麹、焼酎を材料に、約2、3か月ほど熟成させて作ります。

みりんに焼酎を足して飲みやすくしたものには、「直し」とか「柳蔭」など、風流な名前がつけられ、江戸時代前半には、暑気払いに栄養補給してくれる、夏によく冷やして飲むとよい甘いお酒として、女性に大人気だったそうです(現在も販売されています)。


飲むなら「本みりん」を選ぶべし

その智慧にあやかり、台所のみりんをちょっと飲んでみようかな、と思うところですが、気をつけいただきたいのが、みりんとして販売されているものには、様々な種類のものがあり、飲料に適しているのは「本みりん」だということ。

「みりん風調味料」は原料や製造過程が違うので、飲料には適していません。

ちなみに私がおすすめなのは、みりんのソーダ割り。梅シロップや、桜の花漬けなどをちょっとだけ加えて、いただくと美味しくて、おすすめです。

みりんをちびちびと嗜みながら、風鈴の音が響くなか、「花氷」を愛で、金魚が泳ぐ水の音に耳をすます。目で見て、味わい、カラダの内側から。季節の移りかわってゆく様子が大好きで、 暑ささえも愉しみながら、と暮らしてきた日本人の智慧が暑気にはいっぱいです。

(広田千悦子)

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