子どもたちで賑やかな、昼間の町や電車の中。ああ夏休みがやってきたのだと、幼い頃をしみじみ思い出すことがあります。私は、幼いときから人や風景や写実的な絵を描くのも、手先を使う繊細な工作もどちらも苦手で、美術の授業も得意ではありませんでした。そのため、夏休みの宿題の絵画や工作も億劫で、いつまでも手をつけず、8月のおわりに慌てて仕上げるのがお決まりのパターン。

そんな中、やっと見つけた心から楽しめる工作が、お菓子の箱作り。ケーキ屋さん、ドーナツ屋さん、アイスクリーム屋さん、おまんじゅう屋さん。架空のお菓子屋さんの名前まで考えて、お持ち帰り用の菓子箱を手作りするのです。

材料は、お中元に届いた海苔や石鹸やおせんべいの空き箱。それから、折り紙、絵の具、マジックなど。まず空き箱の表面に白い紙を貼ったり絵の具でマットに塗って、その上から文字や模様を描いていきます。できあがったものは、友だちや従姉妹たち、ときに祖母を巻き込んでのお店屋さんごっこで大活躍。そのまま、夏休みの自由工作として提出したこともありました。

今も愛らしいお菓子の箱が大好きで、中身を食べ終えたあとは、アクセサリーや文房具類の収納、ギフトボックスに活用しているので、箱好き歴もかれこれ30年以上。いつか、箱屋さんを開きたいと思うことさえあるほどです。

8月のはじめに、京都のUCHU wagashi」さんと一緒に、兵庫県JR芦屋駅「スペース R」で「らくがんを楽しむ会」を開催することになったとき。リボン、ちどり、富士山、ねこ、こけしなど、私が描いた絵柄をもとにUCHU wagashiさんが作るらくがんをおさめる箱を、ひとつずつ手描きしようと思い立ちました。

CDよりひとまわり小さいくらいのサイズの箱。絵の具で、リボン、蝶、水玉模様を描いていきます。中身のらくがんを食べたあとは、アクセサリーや切手入れや、小さな宝物入れとして使っていただけたらと願いを込めて。100通りの模様を描きました。

そのイベントは、いよいよ今週末。ひとつとして同じ絵柄のない菓子箱。お客様に、どれにしようか、選ぶ楽しみも、感じていただけたら嬉しいかぎりです。

(甲斐みのり)

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