モードの街、香港を拠点に活動するアクティビストに、クリスティーナ・ディーンという女性がいます。彼女のインスタグラムのコーディネートスナップは本当に素敵! でも実はこれ、誰かがいらなくなって捨てた洋服専用のごみ箱(コンテナー)から拾ってきた服で1年間コーディネートを続けた写真なのです。

クリスティーナが代表を務めるNGO「Redress」より

一方、ドイツのビターフェルドという町には、SOEX Textil-Recycling GmbH(ソエックス・リサイクリング社)という大きな企業があります。この会社には、ヨーロッパ中のコンテナーから日々400トンもの洋服がやってきます。驚くことに、半分近くはまだまだ着られる洋服だそう。なかには値札がついたままの真新しいものまで......。

それらを含めた状態の良いものは赤十字社が経営するセカンドハンドショップ(中古品店)や衣類を必要とするほかの団体に回されます。また、その残りの10%ほどは巨大なシュレッダーにかけられたあと、絨毯、あるいは車などの内装部品に再利用されるそうです。

最新モードが安く大量に販売されているということ、それはイコール、その大量の衣類を作っている人々がいるということです。いま手に持っている洋服を作った人はどのような労働環境で働き、どれくらいの賃金を払われているのか、そう考えると、モードビジネスの問題点も浮かび上がってきます。

少しの意識の変革が世界をより良く変える

例えば2013年にバングラデシュで起きた、違法建築された大きな縫製工場の崩壊事故。1,100人以上もの人が命を落とし、2,500人以上もの負傷者が出たのを覚えているでしょうか(そして現在でも行方不明者を含め、その数は増えています)。また、その前年、2012年にもパキスタンにおいて縫製工場で事故が発生。このとき、過酷な労働条件化で働いていた女性たちが請け負っていたのは、ある世界的にも有名なモード企業でした。

ヨーロッパでは1人あたり、年間25キロもの洋服を購入するといいます。先ほどのクリスティーナはそれに警鐘を鳴らすべく、コンテナーの服でのコーディネートを始めました。買いたいだけ買い、いらなくなるとすぐに捨ててしまう西洋の消費行動に疑問を持ったのがそのきっかけであったと言います。

もちろん、流行を作りマーケティングを操る企業の売り方にも疑問は残ります。しかし私たち消費者は、本当に必要とするものだけを購入する目を養う必要があり、さらに自分の買ったものに最後まで責任を持たなくてはならないと感じます。1人1人が本当に必要とする洋服量とは、いったいどれだけなのかは一概には言えません。

しかし何も考えずに購入し、捨てる一連の行動に疑問を持ち、例えば寄付をしたり自分で再利用の工夫をする、本当に着られなくなるまで大切に使う、といったことは誰でもできるのではないでしょうか。自分のちょっとした意識の変化で、世の中が少しいい方向に変わるとしたら、いいなと思いませんか?

RedressSOEX Textil-Recycling GmbHNahtlos

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