レモン・チャレンジとは、ひとりひとりがレモンを握りしめ、かぶりつくこと。その目的をラレーン氏はこう説明しています。
「自分からすすんでレモンをかじる人はいない。しかしあえてそうすることでいじめや乱暴を受けた人がどのような心の痛み、苦い思い出をうけ、またそういったストレスからドラッグに手を出してしまうかを考えてほしいのです。そして子どもたちには、もし人生でレモンの味のような苦い思いをしたとき、そこから逃げずにレモネードを作るような努力をしてほしいのです」
(beaufort-newsより引用)
校長のコリー・マーフィー氏は今年度に入り、EMS(緊急メディカルサービス)を呼んだことが4回あり、さまざまなドラッグやピルなどを使用した生徒たちの非常時対応に追われたことを告白。レモン・チャレンジにより、「いじめ問題に真剣に取り組み、対応を協議することの大切さについて生徒自身が考えること」が重要だと喚起したかったといいます。
ドラッグに手を出す若い子は問題から目をそらし、「クールである」という表面上の理由から使用するケースがほとんど。そしてドラッグの乱用はいじめ問題にかぎらず、家庭の事情やさまざまな要因が重なるため、素早い解決が困難な問題です。副校長のチャンダ・ジョンソン氏は言います。
世界に広がるレモン・チャレンジの精神「レモン・チャレンジ以来、皆が問題についてよく話すようになったし、耳を傾けるようになった。常に誰かが気にかける、そういったことが結果ドラックの乱用を減らす動きにつながってきていると思う」
(beaufort-newsより引用)
その後、このチャレンジが話題になると、地域間を超え、さまざまな場所でレモン・チャレンジが開催されました。そして現在ではレモン・チャレンジと名をうって、若者の問題に限らず、深刻な問題に取り組む動きが活性化しつつあります。
たとえばドイツでは、世界飢餓事情を訴えるチャレンジ行動が広がりつつあります。「世界にはいまも、8億人もの人が飢えに苦しんでいることを忘れてはならない」と、歌手のY-tti(ワイ・ティティ)というグループがレモンをかじり、5ユーロの寄付をすることを最初に呼びかけました。そして自分の後任として3人を指名。拒絶した場合、指名された人は50ユーロを寄付しなければならない、といった流れ。こんなふうに、チャレンジは続いています。
レモンから始まった、深刻な問題を共有しようという考え方。前出のビューフォート高校のある地域の学校を統括している、ビル・エヴァンス氏のこんな言葉に共感しました。
レモンをかじる、という行為が、人のこころに「フレッシュな」意識を向けさせてくれ、深刻な問題を考えるきっかけを与える。大切なことは「大切だ」と口酸っぱく言うだけでなく、このようなアクションを実際に起こすことなんだと思います。
(beaufort-newsより引用)
[beaufortgazette, badische-zeitung, coca-cola-deutschland]
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