いらないものを捨て、身のまわりをすっきりさせる「断捨離」。
目に見える「もの」や、理屈で考えられる「関係性」は、がんばれば断捨離できるもの。でも「感情」は、目に見えないだけに捨てるのが難しいのではないでしょうか。なかでも「嫉妬」は、コントロールして断ちきっていくのが難しいように思います。
コントロールできないネガティブな感情自分よりも優れた成績を収めた人や、恵まれた境遇にある人、良い運の巡りあわせにある人が妬ましい。こんな気持ちは、誰しも抱いたことがあるはず。胸の中に嫉妬があることは、とても苦しいものです。
嫉妬は楽しくないから嫉妬する必要はないと、本人もわかっているのです。問題は、自分ではどうすることもできないことです。
(『妬まない生き方』P109より引用)
こう語るのは、スリランカ生まれの僧侶で、日本の大学院で博士課程もおさめたアルボムッレ・スマナサーラさん。彼は著書『妬まない生き方』のなかで、「嫉妬」は人の成長や学びを阻害するものだと言います。
「嫉妬」の捨て方ではどうすれば、この不要なのに捨てることが難しい感情から離れることができるのでしょうか。
大事なのは「自分は一つの生命以外の何ものでもない」と認識することです。「自分は特別な生命である」という感情を持つこと自体が、自我の錯覚です。
(『妬まない生き方』P122より引用)
自分に対して、悲観的になるのでも特別扱いをしすぎるのでもなく、この世界に無数にある生命のなかのひとつだと自覚すること。
最初は難しいかもしれませんが、たとえば、目を空に向けて世界を俯瞰してみる。そうすると、たしかに無数の生命があって、比べようのないことが感じられるのではないでしょうか。
もう年末。大掃除をしながら心の断捨離をしてみるのもいいかもしれません。
[妬まない生き方]
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