道を歩いていて、ふと気がつくとちいさな仏さまがいらっしゃることがあります。お地蔵さまだったり、夫婦の神様だったり、動物の姿をしていたり。それらはみな、それぞれに「小さな幸せ」を私たちのために語りかけてくれている......。 お地蔵さまの「ささやかな幸福論」

そんな石仏たちの言葉を集めた吉田さらささんの本『明日がちょっと幸せになる お地蔵さまのことば』には、豪華な寺院にまつられている仏様が担う「世界平和」などの大きな幸せとは違う、日常のなかで手にすることができる「ささやかな幸福論」が描かれています。

笑顔と化粧は、女の一生の武器

(『明日がちょっと幸せになる お地蔵さまのことば』P94より引用)

福井県小浜市の化粧地蔵さまは、優しく微笑むお化粧顔の仏様です。「微笑むこころ」と、「だれかのために装うという礼節」は強力な武器なんだよ、と教えてくれているようです。

自分を見失いがちなときには、鏡の前できちんとお化粧をして、こころから微笑んでみる。そうすることで自分の足でまえに進んで行く力が蘇ってくるのではないでしょうか。

心が揺らいだときは

あんたも体の中心に大きな石をひとつ置くといい。そうすれば何かが起きた時も、心の軸が揺らぐことなく平常心で立ち向かえるだろう。

(『明日がちょっと幸せになる お地蔵さまのことば』P20より引用)

長野県諏訪郡下諏訪町にある、万治の石仏。どっしりとしたお姿のなかには、揺らぐことのない要となる石があるようです。

よくないできごとに見舞われると、私たちの気持はぐらぐらと揺れて、ときに折れそうになってしまいます。でも心の底にずっしりとした要石を置くイメージを持ってみる。そうすると「きっと大丈夫」という気持ちになれて、冷静に考えて行動する準備が整えられるのではないでしょうか。

静かに道にすわっておられる石仏さまは、私たちにポンと幸福を与えてくれるわけではなくて、私たちが自分の力で幸福になれる方法をそうっとささやきかけてくれているようです。

[明日がちょっと幸せになる お地蔵さまのことば]

photo by Thinkstock/Getty Images

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