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自分の気持ちを伝える事は、案外難しいものです。
「好きです」にも無数のバリエーションがありますし、どんなふうに好きで、これからどんな関係になりたいのかを伝えるとなれば至難の業です。
ではそんな繊細な気持ちを、文章の達人たちはどう伝えたのでしょうか。
大切なことは、相手への気配り『大切な人に使いたい美しい日本語』(山下景子/大和書房)には、小説家や歌人たちが、恋人や家族に当てた手紙の一節が紹介されています。
達することは不可能にせよ、空の一つの星を遠く仰いで生きるのは牧人の幼童にも許されてよろしいのではございますまいか。
(『大切な人に使いたい美しい日本語』P30より引用)
これは小説家の野上弥生子が、敬愛する哲学者にあてた手紙です。
妻を亡くした相手にとって自分が重荷にならないように......、「好き」や「愛」を口にすることなく、「近くにいたい」とも言わず、ただ見つめる存在でいることを伝える言葉からは、ひそやかな愛が沁み出してくるようです。
私にあんな立派なお言葉を戴きましてほんとうに沁みるような気持ちでおります
(『大切な人に使いたい美しい日本語』P178より引用)
こちらは、川端康成から著書を励まされた林芙美子の御礼の手紙。嬉しいとか、ありがたいとかの気持ちを「沁みる」と短く表現するとかえって伝わるものが大きいように思います。
こうして見てみると、気持ちを伝えるうえで大切なことは相手への気配り、のような気がしてきます。
自分の気持ちを適切に表現することは大切。そして相手に負担にならない気配りも大切。もちろん、気を使いすぎて気持ちが伝わらないのでは意味がないのですが。
相手を慮る姿勢が相手に伝わることこそ、もしかしたら「気持ち」が丸ごと伝わるコツなんじゃないかな? と思うのです。
sweet wedding via Shutterstock
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