でも、なかにはどうしても相性の良くない人や意地悪な人も......。そんな人と「仲良く」と言われると、抵抗を感じてしまいませんか? 本当に「みんなと」仲良くすべきなのでしょうか?
大日如来の苦手な人との付き合い方「みんなと仲良くすることが100%正しい」という刷り込みがあると、みんなと仲良くできない自分、または、そこに抵抗を感じてしまう自分を変えたくなり、苦手な相手との関係を改善しようと、その人に近づこうとしてしまいがちです。
ですが、元結不動密蔵院の名取芳彦住職は、著書『気にしない練習 不安・怒り・煩悩を「放念」するヒント』(三笠書房)の中で「苦手な人とはできるだけ距離を置く」ことをすすめています。
仏の悟りと慈悲、その世界観を示しているとされる「胎蔵界曼荼羅」でも、鬼神や餓鬼は大日如来からもっとも離れた外側に配置されているそう。これと同じように、人も、苦手な相手を心の中心から離すことに罪悪感をおぼえる必要はなく、すこし離れたところから「他人のフリ見て我振り直す」ようなお手本にするくらいがちょうどよいそうです。
してはいけないことから離れる自然農を行う川口由一さんは、環境問題についてこう言っています。
これから大切なのは、「何かしないといけない」にかわる、「してはいけないことから離れる」という発想です。(中略)
環境問題にしても、問題を解決するのではなくて、問題を招かない生き方をすることです。
(『ハチドリのひとしずく いま、私にできること』/光文社 P38〜39より引用)
これは、人と自然の関係だけではなく、人と人との関係にも言えるのではないでしょうか? みんなと仲良くしようと努力して、それでもうまくいかず、疲れ果ててしまったとき。そんなときは、いったんその人と離れてみる、という勇気も必要なのかもしれません。
[気にしない練習 不安・怒り・煩悩を「放念」するヒント, ハチドリのひとしずく いま、私にできること]