タイトルは「Dukale's Dreamデュカリの夢」。コーヒー農園のフェアトレードビジネスの現状について描いたドキュメンタリーです。2009年に「ワールドビジョン大使」としてエチオピアをはじめて訪れたジャックマン氏は、そこで貧しいながらも有機栽培したコーヒーを作って家族を懸命に養うデュカリ氏に出会い、その決意と努力に触発されます。
さまざまなリソースに欠けたその地域では、エネルギーを得るために森林を切り倒し、燃やさざるを得ないという現実があります。かつて全国土の40%が森林であったのが、現在は3%にまで減少。さらに、木を燃やすことで排出されるメタンガスによりコーヒー作りがうまくいかないという「負のサイクル」に陥いる現状を見たジャックマン氏。
環境問題と貧困という二大テーマが切り離せないことに気づいた彼はこれに真剣に取り組むため、ニューヨークにカフェ「ラフィン・マン」をオープン。エチオピアの美味しいオーガニック・コーヒーを売り、地元の教育・地域活動やビジネスをサポートする基金「Laughing Man Worldwide基金」を創立したのです。
「疑え、そして問わなくてはならない」「たとえば、貧困問題はどうして起こるのかを考えずに世界の気候変動の問題解決に取り組むことはできない。同様に貧困問題を考えずにテロリズムについて考えることも不可能だ」
(『Wall Street Journal』ヒュー・ジャックマンのコメントより引用)
オーガニック・コーヒーを世界中に輸出するというデュカリ氏の夢がかなうまでのストーリーを描いたこの作品。ストーリーの焦点は、私たち消費者ひとりひとりが物をきちんと選んで購入するという小さな決断にこそ、じつは世界の何かを動かす大きなパワーがあるのだということにあります。
一杯のコーヒーでも、その豆を育てる農家をサポートし、地域を助けているということ。フェアトレードと世界の富の均衡についてもう一度考えるとき、私たちひとりひとりも今日から何かできることがあるのではないでしょうか。
Ethiopian coffee via Shutterstock