2015年夏、アメリカ・ボストンで娘を出産しました。出産方法は「無痛分娩」。アメリカでは当然のように、多くの人がそれを選びます。経膣分娩の80%以上が「無痛分娩」なのだと聞きました。どうしてそんなに浸透しているのでしょうか。

無痛分娩の体制が24時間

理由のひとつに、お産の現場に24時間対応の麻酔科医がいることが挙げられます。陣痛が自然にきてから、妊婦さんの好きなタイミングで麻酔を入れられるのです。

妊婦さんは、入院してから(※)はいつでも「麻酔を入れてください」とお願いできます。入院後は、長い時間痛みに耐えてもよいですし、まだ余裕のある段階で麻酔を入れることも可能です。

痛みが緩和される

また、「無痛分娩」は、「無痛」という文字通り、出産の痛みが和らぎます。疲労や血圧上昇が少なく、産後の回復も早いです。アメリカでは、経膣分娩で出産した妊婦さんは一般的に2日後には退院しなければなりません。そういった点でも、無痛分娩は多くの人に選ばれています。

ただし、痛みの和らぎ方は人それぞれ。私自身はとても効いてリラックスして痛みなく分娩できましたが、友人は「どれだけ麻酔を入れてもあまり効果がなかった」とのこと。

メリットばかりではない「無痛分娩」

無痛分娩には合併症の恐れもあります。気分不快、吐き気、頭痛、局所麻酔中毒、アレルギーなど。とても低い確率(10~15万人に1人)ではありますが、下半身麻痺の危険も。アメリカでは無痛分娩の施行率は多く、効果や合併症の割合もほぼ一律のようですが、こういったリスクの可能性も知っておかなければなりません

大切な赤ちゃんに出会う大切な「お産」の現場で、何を選ぶかは人それぞれ。もちろんアメリカでも「痛みを知りたい」と、麻酔を使わずに産む人もいます。家族や病院の先生ともよく話し合って、自分にとってベストなお産の方法を見つけられるのがよいですね。

(※)入院する基準は基本的に、陣痛が始まり、子宮口が4センチ以上開いてから。

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