イタリア国内外のグルメレストランのみで使用される超最高の希少パスタとは、どんなものなのでしょうか。
1日300キロの限定製造
いまでこそ青いパッケージのバリラやブイトー二はじめ、海外のパスタブランドは日本でも浸透。その中でもとりわけ珍しいものが「Pastificio dei Campi」です。このパスタは大量生産を目的としておらず、1日に作る量は300キロのみ。通常のパスタは1袋500グラムですから、たったの600パッケージしか生産していない計算になります。
できた製品はブランドの気品と歴史をきちんと理解して扱ってくれるショップのみを自ら選りすぐって卸しているというこだわりよう。また製品を調理して出すレストランやカフェまでも自らが納得したところでないと販売せず、その強いプライドからはパスタの質への絶対的 自信が垣間見えます。
そんな高級パスタですが、たとえばロンドンのハービー・ニコルズやミラノのラ・ミラシェンテのようなデパートにて運がよければ買えますし、現在では日本からもネットから直接購入することが可能です。
生産量を減らし、最大限のクオリティーに
飲食業に携わるプロたちが世界各国から介した、2015年におけるフィエラミラノ。ここで出品した 「Pastificio dei Campi」は非常に多くの人々の関心を集めました。機械化で作られていた「オートメーション・パスタ」をやめ、もっとこだわりの職人的つくり方で、一番を目指したい。最高責任者のジュゼッペ氏(Giuseppe Di Martino)はその乾燥法に着目、最高のパスタには絶対不可欠な非常にゆっくりと、低温で、長い時間をかけ麺を乾燥させてゆくプロセスを導入。12.5%という微妙な湿度を保つためにCirilloと呼ばれる、大きな扇風機を回しながら、温かくかつ冷たい空気を部屋の中で流し続けることを行っています。
すべては最高のパスタのためですが、皮肉にもこれは、昔の伝統あるパスタづくりに戻ったことを意味。やはり量を作ることで質が落ちてしまう事実を受け止め、そして事業を長く続けるためには伝統を大切にしなければ、世代を超えたよいものができないのだと改めて思い知らされます。
「(NYの有名グルメ評論家、ルース・ライシルのコメント)口のなかでパスタが起こすセンセーション、あるいはストレートにくるパスタの風味に驚いた。(中略)タグリアテッレはまるで生きているようにプルプルし、私の口のなかで踊っていた。そこでは、耳には届かない音楽のようなものが奏でられていた」
(「FIERA MILANO」より翻訳引用)
近年その製品パッケージングを変え、さらにFacebookなどマルチメディアにも積極的に進出しています。伝統は頑なに守るけれど、あえて時代の流れに逆らわない。そんなこだわりを持ったパスタ工場がイタリアでも少しずつ増えてきているそうです。これから、競争も激化する予感。将来はどうなっていくのか、楽しみです。
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