米国大統領選挙の結果は、日本人の私にも驚きでしたが、ヒラリー・クリントン候補の支持者にとってはもっと強烈な衝撃でした。
レナ・ダナム、大統領選挙後の沈黙を破るLena Dunhamさん(@lenadunham)が投稿した写真 - 2016 11月 8 7:00午後 PST
これまでずっとヒラリーを応援し、選挙活動にも積極的に参加してきたレナ・ダナムが、まさにそのひとりです。
投票日の夜以降の2日間、これまで頻繁に更新していたTwitterもInstagramも、ショックのあまりか動きが止まっていました。
でも11月11日、レナが運営する女性向けサイト『Lenny Letter』で、ついに「Don't Agonize, Organize(苦しんでちゃダメ、団結しよう)」と題したメッセージが公開されました。
このなかで、レナは選挙当日のショックを生々しく語っています。
11月8日朝の時点では、女性大統領誕生の期待で「花嫁のような気分で目覚め」、今夜はシャンパンでお祝いしているはず...とわくわくしていたそうです。
でもその夜、ヒラリーのスタッフや支援者が集まるコンベンション会場では、どこかの時点から「何かがおかしい」という空気が流れ始めました。
レナは、勝敗の分かれ目であるフロリダ州の開票速報を会場で見ながら、ふと気づくと涙が流れていたそうです。
結果が出るまでその場にいることすらできなくなり、家に帰る途中の友だちの電話で「もう終わった」と告げられ、レナは自宅に帰って号泣しました。
このメッセージを読むと、レナがこの選挙にかけてきた思いが半端じゃなかったことが改めてわかります。
激しい中傷にくじけなかったレナLena Dunhamさん(@lenadunham)が投稿した写真 - 2016 11月 11 8:59午前 PST
選挙期間中、ヒラリー支持を快く思わない人たちからは、SNSやスマートフォンを介して「デブ」「売女」「死ね」などなどの罵詈雑言や、中絶された胎児や兵器の画像など、いろいろな形の悪意のかたまりが送られていたそうです。
レナはそれでもくじけず、アメリカ中を回って地元の人たちと会い、ヒラリー支持を訴え続けていたんです。
それほど信じていたものがかなわなかったいまでも、レナは立ち直って、前を向こうとしています。
そしてこんな風に呼びかけています。
「この新しい現実のなかで、私たちはみんなラディカルになりました。ラディカルはもう、異端者のための言葉じゃありません。
それは、この選挙結果に痛みを感じているすべての人、女性やゲイや移民やムスリムや有色人種や障がいのある人の基本的人権をおとしめ、拒否する人物に投票したこの国の半分の重さで、アイデンティティが押しつぶされそうに感じている人のための言葉です。
ラディカルになった私たちには、それにふさわしい役割があります。その意味はこれから数か月でもっとはっきりするでしょう。私たちはみんな、自分のため、そして何より声なき人のために、声をあげるための道具を使っていくべきです。
リアルに暴力的に何かを失うことを恐れて、変化を要求できない人のために。ドナルド・トランプが提案するシステムによって、言論を抑圧されてしまう人のために」
「やるべきことはまだ終わっていない」たしかにトランプ当選のショックで、多くの人が激しく目を覚まされ、「もっと行動しなくては」と思うようになったんじゃないでしょうか。
今回の選挙の投票率は57.9%と、過去20年間で最低にとどまっていました。
「ヒラリー優勢」の報道が選挙期間終盤では大多数になっていて、「自分が投票しなくても大丈夫そう」と安心してしまった人も少なくなかったのでしょう。いまはそんな人こそ、声をあげるために使える道具はすべて使わなくては、と感じているはずです。
そんな意識のひとつの現れが、いまアメリカ各地で起きているトランプへの抗議行動なのかもしれません。
レナはこのメッセージの最後に
「やるべきことはまだ終わっていません。いまはまだ、はじまりに過ぎません」
とも書いています。レナもヒラリー同様、前向きです。
選挙にはもう決着がついてしまいましたが、衝撃が大きかった分だけ、それによる波はこれからも続いていきそうです。
写真/gettyimages
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