「許せない!」「嘘つき」「略奪愛」のように、いろんな言われ方をしているのは、おそらく、ベッキーが築いてきた清純で「いい子」なイメージとは裏腹に、既婚者と付き合っていたことが「嘘」にあたるから、というのが大きな理由。でも私は「It's none of your business」(あなたに関係ないでしょ)とベッキーの代わりに言いたいです。
ゴシップって、明日の自分に影響する?
私はアメリカとドイツで教育を受けて育ち、人生の約半分を海外で過ごしました。そのため、日本で生活をしていると、違和感を感じることがたくさんあります。文化や伝統がこんなに素敵な日本なのに、その国民性には時々どうして? と疑問を思ってしまいます。
そのひとつが、芸能界について。
日本では、芸能界で起きていることを一般人が自分自身の生活の問題のことのように捉える傾向がある気がします。ベッキーの件もですが、SMAPが「解散」することもそう。彼らが解散することが、はたして明日のわが身に問題を起こすかといえば芸能関係者ではない限りないと思うのです。でも、それがあたかも自分の人生の大きな問題であるかのようにメディアで語る人たちの多さに、驚きました。
そういったメディアの性質のせいか、日本では芸能人がプライベートをどのように過ごし、それが「世間」にどう捉えられるかによって、本人の仕事にまで影響してきます。日本ではなぜか、「商品」でありイメージを持たされた芸能人はまるでプライベートな感情を持ったり恋をすることがいけないことのような扱いを受けています。
過去のゴシップは意味をなさないアメリカ
一方、アメリカではプライベートでの生活と仕事は切り離されることが多く、たとえば恋はプライベートなこと、仕事は仕事として扱われます。
歌手のブリトニー・スピアーズを見てみましょう。
彼女の私生活でのドラッグ使用や離婚、恋愛については昔からゴシップのネタになっていました。が、今ではブリトニーのラスベガスで上演中のライブには人が多く集まり、多くのファンを魅了しています。彼女のエンターテイナーとしての歌と踊りの才能はトップレベルで、それは芸能界もファンも認めており、過去のゴシップはあまり意味をなしません。
Britney Spearsさん(@britneyspears)が投稿した動画 - 2016 1月 25 2:29午後 PST
また、ブリトニーは先日も自分のセクシーな姿をインスタグラムで披露しファンをよろこばせました。ゴシップネタでブリトニーの私生活を笑った人が多くいたとしても、それはブリトニーの歌手としての成功には、なんの影響もありません。
メディアやニュースが放っておかないリアーナも、同じです。パワフルな歌唱力と歌の質の高さがあるからこそ、アメリカのポップカルチャーのカリスマ的存在でい続けるリアーナ。2011年にニベアのブランドの顔として起用されましたが、ブランドが持つ家庭的なイメージとは真逆に露出度の高い服を着て外出したり、夜にビールを片手に歩く写真を撮られたりするうちに、「リアーナはセクシーすぎる」という理由で契約が打ち切られました。
しかし、2013年には彼女のそのセクシーさと人気に惚れ込んだバドワイザーが、85カ国に届く CMキャンペーンの顔に起用し、現在も契約は続いています。また、つい先日新しいアルバム『ANTI』が発売され、今年はワールドツアーを予定しています。
アメリカでは、人の真の才能をきちんと見極めています。ベッキー騒動の場合、ベッキーは清楚でいい子というイメージが彼女自身の「才能」とごちゃまぜになってしまっていたことが彼女にとっての痛手となったのかもしれません。あまりに多くの関係者が、彼女の持つ才能ではなくそのイメージに頼りすぎたため、そのイメージが崩れた時に、残るものが何もないのです。
忘れてはいけないのは、芸能人や有名人はみんな、全員が、私たちと同じ人間であるということ。明るい部分も暗い部分も、美しい部分も醜い部分もあります。そして私たちに画面上で見せられているのはそのほんの一部です。
ベッキーがこの騒動について「反省していない」と怒る人もいるようですが、彼女の私生活は、私の私生活となんの関係もないし、なんの影響もないことを改めて考えてみたいです。
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