▼第554号
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                      2023/10/17

夏野剛メールマガジン 週刊『夏野総研』
           vol.554
【その出張は「マイルが貯まるだけ」になっていないか?】
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《目次》
01.時事ネタキュレーション
02.先週の出来事
03.Reading the world
04.Q&A
05.Product Lab
06.Good Food Good Life
07.ビジネスモデル分析のバックナンバーをピックアップしてみた
08.編集後記

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【01.時事ネタキュレーション】
 日々のニュースも見方を変えればいろいろなことが見えてくる。当コーナーは未来を読むためのニュースを、私がキュレーターとなって解説していくものです。
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《国内ニュース》
◆PayPay、利用者6000万人突破 スマホ決済シェア7割に
https://s.nikkei.com/3tuuVvH
〈要約〉
 PayPayの利用者数が4日間で6000万人を超え、2018年の開始から5年でスマホ決済市場の約7割を占めるようになった。
 9月末終了の「マイナポイント」普及促進策が新規登録の追い風となった。

〈コメント〉
 PayPayの急激な普及にも関わらず赤字が続く背景には、多くのユーザーがキャンペーン(例えば、キャッシュバックなど)の存在なしにはあまり利用しない傾向があると思われる。
 これを背景に、PayPayは自社発行のクレジットカードとのシナジーを追求している。特に、カードの手数料等での収益を見込んでいるようだ。
 しかし、クレジットカードとしてのPayPayカードの魅力や利点は他の大手と比べてもまだ見劣りする。ドコモの『dカードGOLD』のような大きなメリット、例えば携帯電話料金の10%還元など、独自の大胆な特典がPayPayカードにも求められるだろう。

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◆トヨタ自動車と出光興産が「全固体電池」の量産で協業 10分程度の充電で1000キロ以上の走行が可能に
https://bit.ly/3tAeUVe
〈要約〉
 トヨタ自動車が「全固体電池」の量産化を目指して出光興産との協業を発表。全固体電池は安全性が高く、航続距離も伸びるため“次世代電池の本命”とみられている。
 トヨタはこの新電池を使った車を2027年に実用化を目指す。両社は新組織を設立し、量産技術の開発を進める。

〈コメント〉
 TESLAの成功は、単なる電気自動車を提供するだけの価値ではなかったことにある。彼らは自動車そのものの概念を革新している。
 それはガラケーとスマホの違いを考えればわかりやすい。iPhoneの登場は単なる「電話」の進化ではなく、持ち運べるパソコンとしての新たな価値を創出した。
 翻って自動車。自動車におけるバッテリーマネジメントや航続距離は確かに重要だが、それだけがユーザー体験ではない。
 トヨタは、新しい電池技術だけでなく、車そのものの革新的な概念やユーザー体験をもっと追求すべきではないか。
 TESLAが示すように、未来の車はただの移動手段を超えた価値を持たなければならないと思うし、トヨタにはその大胆な挑戦が求められているように感じる。
 果たして、それができるのだろうか。

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◆ウォシュレット、米で販売2.6倍 TOTO役員がとった戦略
https://s.nikkei.com/3Q0dJ8Y
〈要約〉
 TOTOのウォシュレットが米国市場で実績を上げてきている。
 彼の長い経験と努力が、日本と異なる文化や価値観の米国でのウォシュレットの普及に貢献している。

〈コメント〉
 世界中の多くの高級ホテルのトイレがウォシュレットになっている中、「日本とは文化や価値観が異なる」と強調するのは理解に苦しむ。
 本当は30年前に世界中に進出しておけば、現在とは異なる状況だったのではないか。ウォシュレットは訪日外国人の多くが感動する製品。明らかに競争力があるのだから、世界的な普及を早期に進めるべきだった。
 なんだか、30年前にやっておくべきことを今やっている感じがして、読んでいて心が痛い。

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◆東芝株、12月20日に上場廃止 74年の歴史に幕
https://bit.ly/3rRNoC2
〈要約〉
 東芝は、74年の上場歴史を終え、12月20日に上場廃止となると12日に発表した。
 9月に日本産業パートナーズ(JIP)主導の国内連合による買収が完了し、安定的な経営再建を進める方針。

〈コメント〉