閉じる
閉じる
×
右脳を左脳で理解する試み(4)〜「世界のエネルギー」から始める〜 の続きです。
今回のきっかけとなったTEDプレゼンのプレゼンター、ジル・ボルト・テイラーさんの著書奇跡の脳: 脳科学者の脳が壊れたとき を読みました。この本では大きく3つ場面に別れています。
1. 脳卒中になる前の人生
2. 脳卒中を起こしてから助けられるまで
3. 助けられてから10年近くかけて回復するまで
TEDのプレゼンでは、主にもっとも劇的な2.の場面を紹介しています。宇宙と一体となる体験をした瞬間です。しかしこの本で描かれているその後の回復の過程はさらにすごいです。脳卒中のリハビリには、大いに参考になりますし、子育てにも参考になりました(前回参照)。
さて、そんな奇跡の脳から、今回のテーマに関連して特に印象的だった点を紹介します。
・やはり瞑想と関連があった。
右脳を左脳で理解する試み(2)〜奥にしまわれた右脳〜 瞑想と関連があるのではないかと書きましたが、やはりそのようです。
チベットの僧侶が瞑想したりフランシスコ会の修道女が祈るときの脳の様子を調べたところ、瞑想や祈りのクライマックスに達したり神と一体になったと感じたときには、左の言語中枢が沈黙してしまい、左の万向定位連合野への正常な感覚のインプットを妨げられていたそうです。まさにテイラーさんが受けたダメージに近いことが起こっているのです。
今まで神秘的な体験とされていたものの一部は、右脳が創り出しているイメージが、左脳の活動を抑えることで現れていたものなのです。
ただし、この体験をすることは簡単なことではないようです。テイラーさんは、今でも右脳に寄り添った考え方はできるものの、左脳の機能が回復するにつれ、
からだの感覚が固体に戻ったのは嬉しいのですが、流体のように感じることが全くなくなってしまったのは残念。わたしたちは宇宙とひとつなんだと思い出させて くれる能力を失ってしまったのです。なんだそうです。
それでも、瞑想の目標が「左脳の活動を抑えること」という指標になれば、瞑想はもっともっと実践的になりそうです。
神との一体感、あるいは自身を流体として認知する領域まで達するのは大変なようですが、そこまでいかなくても、充分に右脳のバランスが増えてる、結果普段もより右脳バランスが高い状態にできるくらいの成果なら、多くの人が享受できるのではないでしょうか。
・右脳の気持ちを垣間見る
ということで、そんな右脳はどんな風に感じているのか、印象的だった表現を拾ってみようと思います。
ですから、何事も、そんなに急いでする必要はないと感じるようになりました。波打ち際を散歩するように、あるいは、ただ美しい自然のなかをぶらついているように、左の脳の「やる」意識から右の脳の「いる」意識へと変わっていったのです。いつも効率的に時間を無駄にせず「やる」ことが美徳とされている現代社会ですが、その前に「いる」という感覚をしっかり持たないとだめなのではないかと思わされます。
脳の主な機能が右側へシフトしたことによって、わたしは、他人が感じることに感情移入するようになっていました。話す言葉は理解できませんが、話す人の顔の表情や身振りから多くのことを読み取ることができたのです。エネルギーの動きがわたしに与える影響については、特に注意を払いました。エネルギーを与えてくれる人がいるかと思えば、エネルギーを吸い取る人もいることに気づいたのです。正しいことやもっともらしいことを言っている人という見方だけでなく、エネルギーをくれる人奪う人という感覚も大事にしなくてはと思いました。
さらにこれを読んだ後はっきり意識するようになったのは、エネルギーをくれる場所、奪う場所があるという感覚です。
この記事は有料です。記事を購読すると、続きをお読みいただけます。