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「いいものを一生」は本当に死んだのか、あるいはビジネスチャンスか(その2)
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「いいものを一生」は本当に死んだのか、あるいはビジネスチャンスか(その2)

2014-05-08 22:00


     今回は、

     「いいものを一生」は本当に死んだのか、あるいはビジネスチャンスか(その1)  

    の続きです。といっても、前回の記事はなんと2ヶ月以上も前の2月25日付け。次の日に続きを書くつもりがずいぶん遅れてしまいました。

     きっかけは、ちきりんさんの
     「いいものを一生使う」という概念はもう終わり
    というつぶやきがきっかけでした。いろいろ条件の変わる時代なので、安いものをどんどん買い替えていく、という消費スタイルのほうが合理的というわけです。
     でもたとえばテフロン加工の安いフライパンは最初が一番良くてじわじわ焦げ付くようになるという不快な体験をする一方、中華鍋は使えばつかうほどなじんで手入れも楽になる心地よさがあるという中華鍋理論を紹介しました。

     それら、ものをつくり出す道具。中華鍋は料理をつくり出す道具の一つですが、こういったものは、手になじめばなじむほどその人にとって使いやすくなりますから、安い道具をどんどん買い替えていくだけがスタイルではありません。必ずしも高価である必要もありません。自分にあっていることが重要です。
     道具を使って何かをつくり出すことは、まさにエクスペリエンス(体験)です。単にものを買ってくるのではなく、自ら手になじんだ道具を使って、作るというエクスペリエンスの結果としてものが現れます。

     もともとの問題提起では、「(高価な)いいものを一生」か「安いものをどんどん買い替えていく」かの比較でした。でも別の方法があるということです。

     最近、今年度次男が小学校に入るのをきっかけに、息子二人に、ランドセルなどをしまっておく、棚を揃えました。間伐材を使った自分で組み立てるタイプのもので、確か数千円のものです。元は三段あったものをメーカにお願いして四段分棚を送ってもらいました。側面の部品には等間隔で三段分の穴があらかじめ開けてありますが、息子それぞれが棚をどういう風に使うかを考え、元の穴を生かしたり、ドリルで新たに開けたりしてから組み立てました。
     ほんの数千円の家具ですが、自分たちの考えでカスタマイズし作った世界に一つの棚です。今のところ気に入ってくれていますし、少なくとも5、6年は使ってくれるんじゃないかと思います。1年なんてことはないはずです。
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     これが「(高価で)いいものを一生」か「安いものをどんどん買い替えていく」以外の一つの方法です。安くても自分で手間をかけることで、「体験の詰まったものを長く使う」わけです。この棚は、組み立てる時間を買った側が出さなければならない分安くなっていると考えることもできますが、そこでみんなで楽しく作ってカスタマイズもできると考えることもできるわけです。

     つまり、タイトルの「いいものを一生」というのを高価なものと捉えると、古くさい概念かもしれませんが、この「いいもの」というのを、高価ではないけど、手間と体験の詰まったいいものと捉えて、長く大切に使うと考えれば、「エクスペリエンス」が重視される今時のアプローチそのものになります。

     もともとの発言では「安いものをどんどん買い替えていく、という消費スタイルのほうが、(中略)いろいろ条件の変わる時代には合理的」とあるのですが、一つ押さえなければならないのは、今は激しい変化の時代ですが、変化する先は「持続的な社会」です。持続的なつまり変化の緩やかな社会に向かって激しく変化しているという複雑な時代なのです。

     「安いものをどんどん買い替えていく」スタイル以外にも、 
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