岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/07/30

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2017/07/23配信「夏休みオタク講義・今期お勧めアニメ紹介と、『カーズ3』、『ブレイキングバッド』の面白がり方」の内容をご紹介します。
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2017/07/23の内容一覧

ジョン・ラセターの偉大さが、ピクサーをジブリ化する?

 さっき話した、「スゴいはスゴいけど、1ほどスゴくなくて、2よりはマシ」というのはどういう意味かというと、やっぱりピクサーにとって、ラセターが偉大過ぎるからなんですよ。
 ジョン・ラセターという、監督であり、プロデューサーがいるんですけども。『トイストーリー』や『カーズ』を監督した男なんですけど、こいつがもう、本当にスゴ過ぎるんですよね。

 だけど、このラセターがスゴ過ぎることによって、自らを「宮崎駿の1番弟子」と言うだけあって、もう本当に「ジブリと同じ状況」になっているんですよ。
 ピクサーにも他に有能なクリエイターがいっぱいいるんだけども、ラセターと比べられるとキツイんですよね。
 それは「ジブリにも有能な人はいっぱいいるんだけども、宮崎駿と比べられるとみんなシンドい」というのと同じ。「宮崎駿がいるばっかりに、ジブリからは2番手3番手がなかなか育ちにくいし、結局、面白そうな企画は宮崎駿がやっちゃう」というのと同じなんですよ。
 ラセターもそれを感じてたと思うんですね。今までのピクサーも、やっぱり面白そうな企画というのはラセターがやっちゃうんですよ。

 今回初めて、ラセターが、自分で考えたカーズ3のストーリーというのを、「いつまでも俺が現場をやっていたらダメだ! 俺はサポートする側にまわらなきゃダメなんだ!」と言って、他の人にやらせたんです。
 もう早目の引退宣言ですね。こんなところでも宮崎駿の弟子なんですよ(笑)。「俺ももう、現役いつまでもやってられないから早目に引退して、もっと若いやつにチャンスを与えねば!」ということで、カーズ3をやらせた。
 だけど、その『カーズ3』のお話というのが、「主人公のマックィーンは確かに偉大だけども、いつまでもそういうわけにはいかない。『ロッキー』シリーズみたいに後進に座を譲って、現役のレーサーでありながらも彼らを応援する立場にもなるんだ!」という、なんかね「ラセターの人生一代記」みたいな話なんですよね。「そんなのラセターが自分でやれよ!」って思うんですけど(笑)。

 そんな作品の監督を「どうだ!」という感じで後輩にやらせたんですけど。
 そんなものを任せられた後輩は「はぁー?」ですよ。そういう世代交代というテーマが、脳ではわかってるけど身体ではわかってない。
 だから、「マックィーンが引退する理由」とか、「なぜ交代劇があるのか?」というのが、理屈としては繋がっているんだけども、見ている人間の感情レベルでうまく繋がっていかないんですよね。

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