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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「「古きよきアメリカの家庭」を破壊した第二次世界大戦と自動車」
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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「「古きよきアメリカの家庭」を破壊した第二次世界大戦と自動車」

2017-08-23 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/08/23

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2017/08/06配信「夏のラノベアニメに岡田斗司夫、どハマりだけど文句言うぞ!」の内容をご紹介します。
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    2017/08/06の内容一覧

    アメリカの若者にテクノロジーを教えた第二次世界大戦

     なぜアメリカはこんなに爆発的に車社会になったのかというと、さっきも言ったように第二次大戦なんだ。

     じゃあ、第二次世界大戦というのは何だったのかというと、この戦争は日本にとっても総力戦だったんなんだけども、アメリカにとっても徴兵制を敷いてアメリカの若者をすべてを国外に送って戦ったというところなんだ。だって、アメリカ国内ではまったく戦争をしないんだよ? アメリカにとって、第二次世界大戦の最も特殊なところは、「すべて国外で戦争をしているところ」なんだよね。
     ある年齢以上になったアメリカの若者を全員集めて、ヨーロッパ戦線、アフリカ戦線、太平洋戦線という世界中に送った。そこで何をやったのかというと、19世紀までの、いわゆる「軍服を着て、槍を持って、走って、鉄砲を撃って戦う」という個人が主体になって戦うような戦争ではなく、最新の技術を使った戦争だったんだ。
     移動はすべて船とか自動車という「動力のついた機械」に乗って行ったし、兵隊はみんな「銃をバラして分解して、もう一度組み立てる」というような「テクノロジー」を学ばなきゃいけなかった。田舎に行ったら、まだ石油ランプしかなかったような時代のアメリカの少年たちが、一斉に電気の灯りが煌々とするところに連れられて、蛇口をひねれば水道から水が出るような世界で、銃の分解・掃除から、自動車の操作から、何から何までをすべて学んだんだ。

     そして、終戦後、彼らは、それまでのアメリカ人とは完全に違った「テクノロジー第1世代」として、本国に帰還する。これが1945年という、たった1年間のうちに起こったんだよ。
     もちろん、当時は既に、ものすごい数のアメリカ人がいて、その中には都市で文化的な生活・電気のある生活をしているアメリカ人も多かったんだけども。でも、圧倒的に多くの子供達は農家に住んでいて、井戸から水を汲んで、石油ランプで生活していたんだ。
     それが、4年間か5年間の戦争で、若者が全部海外に行って、そいつらが最新のテクノロジーを身に着けて、自動車免許もほぼ全員が持っているのが当たり前という状態で帰ってきちゃうということが、たった1年の間に起こってしまった。

     こうなると、当たり前だけど、アメリカの社会は劇的に変わるよね? 第二次世界大戦というのは、アメリカの若者にテクノロジーを教えてしまったんだよ。
     ラジオからロックンロールが流れ出す。とにかく一度に大量に帰ってきちゃって仕事がないアメリカの若者は、街中に溢れ出す。そして、その頃はまだ彼らは、軍からお金をもらっていたから、その使い場所として、「ドライブイン」というのが作られ始めるようになってきた。
     それまで、各地に点々とある「街」にしかなかった店というものが、「道」に作られるようになった。若者たちは、そういう店に車で移動して、ジュークボックスでレコードを聞くようになる。家で聞いたら怒られるようなロックンロールという音楽を。そして、家でご飯を食べずに、外でハンバーガーを食べるようになってしまう。
     映画『アメリカン・グラフィティ』では、それをすごく良いことみたいに描いてるんだけども。確かに、それはアメリカのイケイケの若者にとっては良いことなんだけども、同時に、それまであった「アメリカの家庭」というのは、この時代から明らかに破壊されていったんだよね。

     アメリカの家庭のやっぱり黄金時代というのは、ウッドロウ・ウィルソン大統領の時代とか、第二次世界大戦のルーズベルト大統領の時代。いわゆる、「暖炉の前で大統領がお話しをしてくれて、それを各家庭で家族全員がラジオで聴く」っていうのが、「古き良きアメリカの家庭」だったんだ。
     だけど、1945年からこっちのアメリカっていうのは、若者は夕方になったら家からいなくなっちゃうんだよね。

     親には理解できない自動車という機械に乗って、親には理解できない音楽を聞いて、そして外でご飯を食べてしまう。「夕飯はみんなで仲良く必ず家族で」という、それまでの伝統は……もちろん、良い家庭は守られるんだけども。でも、底辺の家庭から、どんどん守られなくなってきた。
     これを「狂った時代」って言う人もいるくらいなんだけど、音楽はうるさいロックで、若者はどんどん礼儀知らずになっていって、家でご飯を食べなくなっていく。

     『大草原の小さな家』の中で、ローラ・インガルスが守っていた、1880年代のアメリかっていうのは、その時代から、つい4、50年前の話なんだ。日本でいうと、今が2017年だから、その50年前というと1965年だね。つまり、本当に、1人の人間が生きている間に生じた変化っていうのが、巨大すぎたんだよね。
     ローラ・インガルスが若い頃は普通だった、大草原の小さな家のような生活から、いきなり、若者が晩御飯の時間になったら家にいなくなって、みんなが車文化になっていって、アメリカ中からオレゴントレイルのような馬車移動が消えていって、鉄道すら滅びてしまって、ハイウェイが伸びて、自動車文明になるまで、わずか50年しかかかってないんだよ。
     そうやって、徹底的に社会というのが変わってしまった。街から自然も消えて、みんな旅行に行くときは電車じゃなくて車に乗るようになる。その自動車旅行もインターステイト・ハイウェイというのを使うから、「ルート66」みたいに、道中、細かい街を訪れるということもなく、ハイウェイを使った大都市から大都市への移動しかしなくなる。

     この悲劇を描いたのが『カーズ』っていう映画なんだ。
     カーズというアニメでは、「ルート66という文明が滅びて行って、そしてハイウェイができてしまった。たった15分を節約するために」という歌が流れるんだけどさ。「たった15分を節約するために、ルート66上のこの街は滅びた、この街も滅びた」って、アメリカの街道に面していた10くらいの街が、地図上からワーッと消えて行って、一本のハイウェイだけが残るシーンがあるんだよ。
     俺、それを見て、ゾゾゾッてしたんだけどさ。「たった15分のために」というセリフをリフレインしながら、街が消えていく様子を見せているんだよね。たったそれだけの利便性のために、街がどんどん消えて行って、そしてドライブイン文化だけが残ってしまった。

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