岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2017/09/30

おはよう! 岡田斗司夫です。

今回は、2016/06/12配信「アメリカのアニメが日本のアニメを超えた日と連載作家は終活を怠るな!」の内容をご紹介します。
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2016/06/12の内容一覧

アニメの世界最先端は『アドベンチャー・タイム』に

 『アドベンチャー・タイム』は、難しいんだよなあ、語るの。
 基本はねえ、子供向けのアニメなんですけども。
 まあ可愛い絵なんで、いわゆる子供向けというふうにジャンル上されてるんですけども、明らかに子供向けじゃないんですよね。
 設定は、地球で核戦争が起こった1000年後の世界で、核戦争とかそういうものも忘れられて、マッシュルーム戦争と言われてるんですね。
 まあ、つまり核爆発の煙が、上がる煙がきのこ雲っていう、あのあれがマッシュルームに似てるので、たぶんマッシュルームと言われる。
 まあ、そう、『ナウシカ』ですね。
 『ナウシカ』が一番近くて、『ナウシカ』と違うのはその1000年後の世界では魔法が復活していて、果物とか野菜とかお菓子とかがあらゆるものが生き物になってるんですよ。
 ゲーム機から何からが、まあだいたいのものが生き物になってて、だいたいのものにはプリンセスがいて、だいたいのプリンセスは──アイスキングっていうこの世界で一番の悪役の白い髭のじいさんがいるんですけど──こいつにさらわれて、結婚しろと迫られるという、皆さん聞いてるだけで何のことかわかんないと思うんですけどもですね。

 で、ジェイクとフィンですね。
 フィンが人間の男の子で、ジェイクっていうのが犬で、こいつが魔法を使えるんですね。
 で、これがバブルガム・プリンセスで、キャンディ王国のお姫様で、これがマーセリンって言って、1000年前から生きている吸血鬼の女の子ですね。
 こんな感じで、やっぱり相変わらずキャラクターを説明しても何のことかよくわかんないんですけど。

 かなりシュールな展開っていうのかな、闇を抱えている話なんですね。
 僕が今年の本当に2月、3月ぐらいまで『おそ松さん』がすごく好きで、おそ松ロストっていうか松ロストにかかってたんですけどもですね。
 もう『アドベンチャー・タイム』を見てしまったら、『おそ松さん』が過去のものに思えて、今さら『おそ松さん』のグッズを買ってる人たちがみんな気の毒に見えてしまうというぐらいですね(笑)。
 いやあ、世界の最先端っていうのは、どこかっていうのを僕らいつも常に探してるわけですよ。
 で、映像で言うとこれだなとか。
 たとえば『キャプテン・アメリカ』のこないだの『シビルウォー』がおそらく映像表現としては世界最先端だとか。
 いや、次は『シン・ゴジラ』じゃないかってやってるんですけども。
 アニメにおける世界最先端ってもう『アドベンチャー・タイム』にいってしまったんですね。

 僕たち日本人がグズグズして、萌えアニメをひたすら積み上げて、ひたすらあの中の過激性とか過剰性とかっていうのを弄んでいる間に、3DCGのアニメで、僕たちはディズニー、ピクサーにしてやられたじゃないですか。
 本当にねえ、20年ぐらい前のことを考えてほしいんですけども。
 20年前、日本人は、誰一人としてアメリカのアニメを驚異と感じてなかったんですよね。僕もアメリカにアニメの企画とかを映画会社やテレビ会社に売り込むのを手伝いに行ってたんですけども。
 その時にも、もう本当に日米の格差っていうのがすごい離れてて、まだ『トイ・ストーリー』も現れてなかった頃なんか本当に、これアメリカのアニメはどんなに頑張っても日本を追い抜くなんてことなかなか考えられなかったんですけども。
 あっという間に、こと3DCGでアニメーションを作るという表現に関しては日本抜かれてしまって。
 で、ジブリとか京都アニメとかそっちの方向では日本のアニメっていうのも生き残れるんだけども。
 いわゆる、劇場もののストーリーっていうのを、お話、ストーリー自体の大きい流れで見せるっていうのは、『エヴァ』以降、『エヴァ』って言っても、今やってる新劇場じゃなくて、テレビとか前の劇場用の『エヴァ』ですよね。それ以降、どうしても作れないなあというか、日本からすごいものが出せないなあと。
 『まどマギ』とかあるんだけども、なかなか出せないと思ってて。
 まあまあ、それでも『ガルパン』とかもあるし、まだまだ日本のアニメっていうのは世界最先端だと思ってたんですよね、僕自身も。

 で、見て、見続けることができるか、ダメかにわかれると思います。
 これわかる、わからないじゃないんですよ。見続けることができるかできないかであって。
 それはもう心の中がどれぐらいどす黒いかっていうこともないんですけど。
 何か暗いものに耐えられるかによるんですよね。
 僕でも1日に3話が限界なんですよ。

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