岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/08/22
おはよう! 岡田斗司夫です。
今回は、2018/08/05配信「人類は、人工知能ではなく、機械に職を奪われる?!」の内容をご紹介します。
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2018/08/05の内容一覧
- 今後の予定
- サブテキストの紹介
- 機械に仕事を奪われる?
- 『母をたずねて三千里』で描かれた機械による失業
- 機械に仕事を奪われることの怖れが現れた、ジョン・ヘンリーの伝説
- 農地を捨て都市に出てきた労働者の悲惨を描いた『怒りの葡萄』
- 現在のAIは「人工知能」ではないけど、役には立つ
- シンギュラリティでお金を集める起業家達
- 人工無脳の世界
- 人工知能を作ることは原理的に不可能?『AI原論』
- 人の8割が計算機に負ける
- 岡田斗司夫が考える未来
- ジブリ『熱風』の特集「移民大国日本」
- 20年後にシンギュラリティはやってこない
現在のAIは「人工知能」ではないけど、役には立つ
「ザ・ターク」(トルコ人)と呼ばれるロボットがいます。
(パネルを見せる)
この絵の中で、ロボットがチェスをしています。このロボットがザ・タークです。ザ・タークの相手をしているのはナポレオン本人です。
これは、1809年に、ナポレオンとザ・タークという「チェスを指す自動人形」が対戦している様子を描いた絵です。
ザ・タークは、1770年にオーストリアのマリア・テレジアの注文で作られた機械仕掛けの人形で、ナポレオンにも勝ったし、その他にも、アメリカやヨーロッパでツアーをして、当時のチェス名人に次から次に勝ったんですよ。
この自動人形の秘密は、20世紀になるまで誰にもわかりませんでした。しまいには、いろんな人が「あれは悪魔の機械だ」とか噂をするようになりました。
人形の中身はちゃんと見せてくれるんですよ。しかし、歯車とかがいっぱい入っているんですけど、あまりに複雑で、どういう仕組みなのかはわからなかったんですね。
けれども、20世紀に入ってから、ようやくどういう仕組みかわかるようになってきたんです。
実は、単純な話で「机の下に人間が入っていて、裏から磁石で駒を動かしていた」んですよね。
(パネルを見せる)
こんな単純な仕組みだったんですけど、それでも、当時の人々はいとも容易く騙されてしまいました。
当時、アメリカからヨーロッパに親善に来ていた、アメリカの独立宣言の起草者の1人で、メチャクチャ賢いベンジャミン・フランクリンですら、この自動人形の仕組を見抜けなかったんです。
あのエドガー・アラン・ポーも、この人形を見に行きました。彼は「「人形の中」に人が入っているんじゃないか?」と考えて、そういう本まで書いたんですけど、「机の下に人がいる」ということは見抜けなかったんですね。
ナポレオンは、このザ・タークと戦った時に負けそうになって、あまりにも悔しくて、3回もズルをしたそうです。すると、ザ・タークの腕がブルンと振り回されて、卓上のコマをひっくり返し、ナポレオンはすごく恥をかいたという逸話があるくらいです(笑)。
なぜ、ベンジャミン・フランクリンですら、こんな単純な仕掛けを見抜けなかったのかというと、別に「下に人間が入っているだなんて思わなかった」というだけではないんですよ。
「ああ、今の時代、科学が進歩して、からくり人形の技術も進歩したから、人間よりも賢い機械が作られてもおかしくないな」って、みんな、ついつい思っちゃったからなんです。
ここがポイントなんですよ。
「知性を持った機械は作れる」ということを、その時代に流行っている仕組みや理論で説明されると、人間というのは、ビックリするくらい簡単に信じてしまうんです。
事実、18世紀には歯車の機械仕掛けで出来たザ・タークをみんな信じてしまったし、19世紀には、電気による人造人間である「フランケンシュタインの怪物」を、みんな信じました。20世紀でも「コンピューターがそれを可能にします」と言ったら、誰でも信じちゃいました。
それと同じように、21世紀の現在、「ディープラーニング」や「シンギュラリティ」と言われると、僕らもついつい、それを信じちゃうんです。
なぜかというと、「人間の心や知性」というのは、目には見えないものだからです。
なので、「最新の技術がそれを再現可能にしました!」なんて言われると、「ああ、あるある! それってありそう!」って思っちゃうんですよね。
今、コメントで「水素水」って書いてくれた方もいますけど、まあ、「水素水」と言ってもいいですし、「俺以外のあらゆるダイエット理論」と言ってもいいでしょう(笑)。
こういうの、みんな信じちゃうんですよ。
(続きはアーカイブサイトでご覧ください)
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