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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「ZOZOTOWN社長の生き方と宮崎駿の生き方、どちらを選ぶ?」
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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「ZOZOTOWN社長の生き方と宮崎駿の生き方、どちらを選ぶ?」

2018-12-05 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2018/12/05

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2018/11/18配信「ハリウッド版『もののけ姫』はインディアン対大怪獣映画だ!お金と幸福の不思議な関係」の内容をご紹介します。
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    2018/11/18の内容一覧


    岡田斗司夫のお金の話

     例えば、先週まで、このニコ生では4週間連続でジブリの特集をやってるわけだわな。
     このジブリ作品を取り扱う理由としては「みんなが喜ぶから」なんだけど。もちろん、そこには「ジブリ扱うことで登録者が増えて、利益も生まれる」ということもあるわけだよ。
     ところが、その利益を目的としちゃったら、つまり「ジブリ作品や、人気のアニメや、ヒットしているものを取り扱うと、ニコ生の有料会員がどんどん増えるから、それを目的にしよう!」と数字を見ちゃうと、絶対に失敗するんだ。

     なんで失敗するのかというと、面白いことに、利益というのは「合理」の世界なんだよ。
     ところが、自分の気持ちという「非合理」の塊であって、合理では動かせないんだよね。
     非合理で合理を動かすことはできるんだ。「自分の気持ち(非合理)を果たすために。何か陰謀や計画を考える(合理)」。こうやって、非合理が合理を使うことはできるんだ。
     ところが、こういた合理が非合理を動かすことはできないんだよな、悲しいことに。

     僕らは「自分自身の欲望」とか「自分自身の夢」とか、そういう巨大な馬の乗り手に過ぎないんだよ。
     馬はパワーを持っていて、馬がすべてを生み出してくれて、馬が色々なところへ行きたがっている。
     僕らはそれに対して、手綱を引っ張ったりコントロールすることしか出来ないんだけど。この「馬を乗りこなすこと」と、「馬をいいなりにすること / 征服すること」は、意味が違うんだよね。

     だから、ヒットするとわかっているからといって「じゃあ来週は『ハリー・ポッター』シリーズを特集しましょうか」というふうに、言い方は悪いけど、好きじゃない作品をニコ生で語ることは、まずできない。
     ジブリの作品の中でも「僕はこれをやりたい!」と思っている作品しかできない。本当に、利益のためだけに動けりゃ、どんなに楽かと思うんだけど(笑)。
     それが出来るほど簡単じゃないから、みんなシンドいわけだよな。

     ニコ生でジブリを特集する理由というのは、さっきの仕事論でいうと「「やる意味」と「やる価値」があるから」なんだ。
     意味と価値とは違うんだよ。

     やる意味というのは喜ぶ人の数で換算できる。つまり「これをYouTubeで公開した時に何人見たか?」とか、「最後にとっているアンケート統計みたいなもので、何%の人が良かったと答えたか?」ということで、これだけの人が喜んでいるんだと、数字に換算できるわけだよね。
     ところが、やる価値というのは、人数じゃないんだよ。「ニコ生の配信を僕らがやる以前とやる以後で、それを見た人のジブリ作品の解釈がいかに変わり、結果的に面白いと思ってくれる人が増えたか?」なんだ。
     例えば、『紅の豚』だったら「今までは普通のアクション映画だなって思ってたんだけど、そういう意味があるんだと思って、もう一度、見たくなった」とか。後は「『もののけ姫』ってあんまり好きじゃなかったんだけど、そういうふうに言われたら、すごく面白いと思った」とか。
     これは数じゃないんだよ。それぞれの人が持っている「感想の深さ」というか、「変化率」みたいなもので、やる価値が出てくる。

     ジブリ作品、宮崎アニメという、ただでさえ面白いアニメを、僕が90分語ることで、おこがましい言い方なんだけど、その価値を何倍かにできるんだ。
     運が良ければ1.5倍くらいにできるかもしれないし、駄目であっても1.01倍とか、1.02倍くらいには、面白さというのを増やせるわけだ。
     面白さが増やせれば、それだけ長く語り継がれるし、長く見られるし、そこに価値があるわけだよな。

     僕は、語る価値というのを、そういうふうに考えてるから「よっしゃ! ジブリをやろう!」って思ってるんだけど。
     こういった価値を作れない行動というのは、最終的に虚しいところがあるんだよ。「何のために、こんなに苦労してやったんだ?」と(笑)。

     この『億男』という小説の中に出てくる、ツクモのかつての仕事仲間たちというのは「勝つのが怖くなったギャンブラー」なんだ。
     なぜ、自分たちが成功してるのかわからない。だから、成功して勝っているうちに降りたかった。
     成功するまでの間は、ツクモと一緒に仕事してた人達というのも、わりと創造的でクリエイターだったんだけど。それによって、上がる売上、上がる収益を気にした瞬間にギャンブラーになっちゃった。
     そして、ギャンブラーになった結果「次に成功したら降りよう。次に勝ったら降りよう」と、そんなことばっかり考えるようになってしまった。

     この本の内容からは外れた話をしているんだけど、お金というのは何が怖いのかというと「この世界をゲームにしちゃう」ところなんだよな。
     この「ゲーム化される」という感覚は、グローバル経済以前は存在しなかった考え方だと思う。
     ゲーム化という感性は、「ゲームの勝敗は人間性とは関係ない」ということになっちゃうんだよね。

     それに対して宮崎駿的な感性では、ついていけなさを感じている。
     この世界をゲームみたいに見ちゃったら、そこに生きている個々の人の意味よりも、そこから得られる数字の方に着目してしまう。つまり、仕事の面白さよりも、仕事で上がる成果という数字の方に着目しがちになっちゃう。なぜかというと、ゲームだから。
     そういった、ゲーム的にこの世の中を見ることは、宮崎駿的な感性では、やっぱり「勘弁してくれ」ってことになる。

    (続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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