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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『なつぞら』解説:NHK朝ドラの悪い癖と、マイブリッジの写真」
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岡田斗司夫プレミアムブロマガ「『なつぞら』解説:NHK朝ドラの悪い癖と、マイブリッジの写真」

2019-06-06 07:00

    岡田斗司夫プレミアムブロマガ 2019/06/06

    おはよう! 岡田斗司夫です。

    今回は、2019/05/26配信「【Q&A】海外のキャッシュレス事情について、ディズニーファンの嫁の話 などなど」の内容をご紹介します。
    岡田斗司夫ゼミ・プレミアムでは、毎週火曜は夜8時から「アニメ・マンガ夜話」生放送+講義動画を配信します。毎週日曜は夜8時から「岡田斗司夫ゼミ」を生放送。ゼミ後の放課後雑談は「岡田斗司夫ゼミ・プレミアム」のみの配信になります。またプレミアム会員は、限定放送を含むニコ生ゼミの動画およびテキスト、Webコラムやインタビュー記事、過去のイベント動画などのコンテンツをアーカイブサイトで自由にご覧いただけます。
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    2019/05/26の内容一覧


    朝ドラの「悪い癖」とマイブリッジの写真、ディズニーシーの新エリア


    タオルくん:今週の『なつぞら』! 今週は朝ドラの悪い癖が出たぞ!


     そうなんだよ。朝ドラって悪い癖があって。
     登場人物がお互いに説明不足で誤解し合ったり、言い争ったり、「話を聞いて!」と言っているのに話を聞いてくれないとか、そういう頭の悪い展開だったんですね。
     これはシナリオの責任じゃないんですよ。プロデューサーレベルの責任なんですね。もう「視聴者というのはこういうものを求めてる。これでいい」と決めちゃってるんですよね。
     たぶん、俳優さんにそれっぽいセリフを力を入れて喋らせる……つまり、演技っぽく大きな声を出させたりしていれば、そういう頭の悪いやりとりでも成立すると考えているんだと思うんですけども。
     確かに、それで納得する人も多いし、そういうすれ違いこそがドラマだと思って楽しんでいる人も多いし、視聴率も稼げるんですけども。そういうドラマだったらね、ぶっちゃけ民放でもできるんですよ。

     ドラマ展開を頭悪くすることなく面白くする方法を、ちゃんと考え抜いて欲しい。
     なぜかと言うと、この『なつぞら』って、ネタも役者もセットもメチャクチャ良いんですから。
     だからこそ、その分、ちょっと妥協せずに頑張って欲しいと思います。

     先週土曜日に放送された回では、主人公のなつが、アニメーターの先輩から本を貰います。この本は、昔のアニメーターにとってのバイブルみたいな本です。
     その本にこんな写真が載ってました。
    (パネルを見せる)

     これ、すごく有名な写真なんですけど。エドワード・マイブリッジという写真家が撮った、走っている馬の連続写真なんですね。
     僕自身が昔買った、8ミリ映画の作り方とか、8ミリアニメーションの作り方の本にも、必ずこの写真が載ってたんですね。

     この本を貰ったなつは、写真を参考にして、自分のノートに、馬がどういうふうに走っているのかを模写します。
    (パネルを見せる)

     では、なぜこのシーンが必要なのかというと。
     もう1回、マイブリッジの連続写真の方に戻りますけども、この写真を見てください。これ、両足が浮いてますよね?

     この「走る馬の両足が浮いている」というのは、実はこのエドワード・マイブリッジの写真によって証明されたんですね。

     では、それまでの馬というのは、どういうふうに走っていたと考えられたのか?
     これはテオドール・ジェリコーという人の『エプソムの競馬』という、すごく有名な絵画なんですけども、
    (パネルを見せる)

     この絵を見ると、馬の脚の前と後ろが真っ直ぐ伸びて空中に浮いているんですね。
     こういうふうに走っていると、長い間、考えられていたんですよ。

     しかし、科学的観察というのが19世紀の半ばくらいから主流になってきて、「実は馬の脚はずっと地面についている」と言う人が現れた。
     ここで、「俺は馬を飼ってるから知っている! 競争馬をよく見てるから知っている! 馬の脚はいつも地面についている!」と言う派閥と、「いや、そうじゃない! 馬は走っている時に、全ての脚が宙に浮いている瞬間がある!」と言う派閥の、2つの派閥が現れたんですね。

     そんな中、あるカリフォルニアの州知事は「走っている馬の脚4本が全て宙に浮いている瞬間がある」という説を主張して、友達と言い合いになり、ついには2万5千ドルという大金を賭けた勝負になりました。
     知事はこの賭けに勝つために、写真技師のエドワード・マイブリッジに証拠写真の撮影の依頼をしました。
     しかし、これが難しかったんですね。なぜかというと、当時の写真はフィルムではなく湿板という「濡れた板に直接レンズで光を当てて感光させる」という方式で、晴れた日であっても、写真撮影には1枚当たり数秒が必要だった。つまり「皆さん、止まってください!」と言って、1秒か2秒じっとしてなきゃダメだったんですね。
     なので、1秒間に16メートル移動するといわれる馬の撮影なんか、まあ不可能なわけですよ。

     しかし、エドワード・マイブリッジは5年間かけて新しい湿板を開発しました。
     そして、競技場に12台のカメラを並べて、そのカメラの前に糸を張って「馬が前を走るとその糸が次々と切れ、その瞬間にシャッターを降りる」という仕掛けを考えました。これは、後に電気式に改良されたんですけども。
     これによって、世界で初めて馬の連続写真を撮ることに成功しました。

     その結果、馬が走る際、脚を空中で交差させている瞬間に、確かに宙に浮いていることがわかったんですね。
     これによって「人間が生理的に考える馬のイメージと、現実的な馬の像というのは、実は矛盾している」ということがわかりました。

     だから、なつはこの写真を見ながら模写をしているシーンがあるんですね。
     このシーンで重要なのは、「空中に浮いている瞬間を描く」ということなんです。

     これは、アニメーション業界の都市伝説なんですけども。
     アニメーション制作を始めた手塚治虫が、『リボンの騎士』とかで馬を描く時、「前後の脚を伸ばして宙に浮く」というふうに描いちゃっていた事があったんですね。

    (続きはアーカイブサイトでご覧ください)

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