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世の中的には、オリンピック、高校野球などのイベントも終了し、今年も夏休みが終盤となりました。薄商いが続いていた市場も、そろそろ参加者回帰で活気づくか?と期待したいところですが、いやいや、薄商いは夏休みのせいだけじゃない、のが本当のところかもしれません。
そんな中、目先の材料は、再び(性懲りもなく?)米国の追加利上げ。そのヒントになる発言が出るかもしれないFRBイエレン議長のジャクソンホールでの講演(8月26日)。彼女の発言内容によっては、利上げ期待を高める可能性があるとされています。
直近のFOMC(米・金融政策決定会合である連邦公開市場委員会)の議事録では、雇用状況の改善、海外要因(特にBrexitの影響)による不確実性が 減った、との2点が注目されたものの、マーケットの反応は利上げを織り込みでドル高に動くより、逆にドル安が進みました。
その後のニューヨーク連銀総裁ダドリー氏の「追加利上げが適切となる時期が近づいている」というインタビュー・コメントには大きく反応せずでしたが、週 末に聞こえてきたサンフランシスコ連銀総裁の「利上げは早い方がいい」との発言には週明けマーケットがドル高反応しました。ただ、東京時間が終わる頃には 元へ戻してしまい、エネルギー枯渇状態のサインを見るにいたりました。
さて、注目されるイエレン議長の講演ですが、題目は「連邦準備制度の金融政策手段一式」で、質疑応答はないとのこと。金融当局が同種の題目で行ってきた 講演では、これまでは「一段の緩和実現のための手段が存在する」という内容で行われたのが大半のケースだったとの指摘もあり、となると利上げを示唆するよ うな内容にならない可能性もあり、高まりつつある追加利上げ期待を裏切る形になるかもしれません。
直近の市場予想では、これまで後退していた9月の利上げ予想がやや増えたものの、確率28%。もし、9月に利上げが決定されたとしたらサプライズになります。
一方、今年12月の利上げ確率は月初の38%から58%に上昇してきた点には注目しておきたいと思います。
ここで、外為市場における8月月初からの米ドルの対主要通貨のパフォーマンスを見てみましょう。
8月に入って直近まで、基調はドル安です。最も上昇したのは、ノルウエイ、スウエーデン等の北欧通貨、日本円と続きます。逆に、下落した数少ない通貨は シンガポールドル、南アフリカランド、英国ポンドです。下落率は1%未満ではありましたが、ドル安基調の中での各通貨安でした。
ただ、今週になって米利上げ近しの観測から、中南米通貨や一部資源国通貨が下落(ドル上昇)しています。
南アフリカランドは国内の政情悪化が理由で、材料は財務相が警察当局から出頭命令を受けたと報じられたことです。ブラジルレアルも中央銀行の出方次第が 注目され、また、メキシコペソの下げは、米国の格付け会社がメキシコの格付け見通しをネガテイブに下げたことも影響しているでしょう。
このところのドル円相場は、100円を挟んで神経質な値動きが続いています。100円は心理的な節目でもあり、また、2014年の前半から8月半ばまで の間、100円をボトムに何度もじっくりと揉んだ往来相場の場所でもあり、簡単には大きく破れないだろうとは思っています。
9月の日米金融政策委員会を前にして、さまざまな思惑、期待が交錯するでしょうが、99円半ばから100円ゾーンはサポートとして作用していくだろうと思っています。
ただ、米利上げ観測が出ても、ドル円の上値が重さは気になります。
来週9月になると、米国の雇用統計があり、またECBやOPECなどの政策決定機関が、本格的に始動してきます。日米の同日金融政策決定会合も注目されるでしょう。
ただ、それ以上に気をつけておきたいのは11月の米国大統領選挙ではないかと思います。今のところ、クリントン氏優位のようですが、両候補とも決定的な 強い支持を受けてはいません。Brexitにも見たように、選挙の不確実性は高いので、もし予想外の結果になったときは、Brexit以上に金融市場、特 に円には影響が大きいのではないかと思っています。
夏休み、金融政策などのイベント結果待ちを理由に様子見、薄商いが続く硬直したマーケットですが、さらに先にある不確実性を意識しているのかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
*8月24日東京時間13時執筆
本号の情報は、8月24日東京市場始値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)