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不動産投資の注意点
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不動産投資の注意点

2016-09-23 12:06
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     今回は不動産投資の注意点についてのお話をさせていただきます。


     不動産会社から収益物件の提案をされたことがある方も多いのではないでしょうか?
     ご相談者の中にはお会いした時点で既に不動産投資を行っていてる方もいます。大抵、投資の内容を見させていただくと、年間収支はマイナスになっています。

    *ここでの年間収支=家賃収入-(ローン返済金+管理費修繕積立金等)


     しかも、不動産会社からの提案シミュレーションの時点で年間収支がマイナスです。つまり、それを購入時点で受け入れて不動産投資をスタートしているという事なのですが、何故、マイナスのキャッシュフローを生む不動産を購入してしまうのでしょうか?


     今日はとある相談者(Aさん)の事例を参考に原因を考えてみました。

    <Aさんのプロフィール>
    Aさん:会社員 40歳
    ローン借入額:3,700万
    金利:2.1%(変動金利)
    サブリース家賃:144,000円
    手取家賃:121,360円


    ■原因1「不動産会社の提案ロジックを信用してしまっている」

     Aさんが受けた不動産会社の提案シミュレーションを見てみましょう。

    年間収支は▲340,224円。
    Aさんが53歳となる13年後の累積赤字は▲4,422,912円
    借入残高は21,775,279円。


    <13年後 利回り7%で売却する場合の価格>

    1,920,000円(年間賃料収入)÷7%(売却時表面利回り)
    =27,428,571円(売却想定価格)
    借入残高と売却想定価格の差額=プラス5,653,293円

     年間収支の累積赤字▲4,422,912円を相殺しても約123万利益が出る計算です。


     不動産会社の提案ロジックとしては、

    「売却価格と借入残高でのキャピタルゲインで累積赤字を相殺し更には利益も出ますよ」

    となっていました。


     なるほど、このシミュレーションを信じるのであればとても魅力的な投資に見えます。
     しかし、シミュレーションは前提条件が崩れれば結果も異なる事を忘れてはいけません。


     ここで重要となるのが売却想定価格ですが、算出方法は

    「年間賃料収入÷表面利回り」

    となっていました。

     不動産会社がシミュレーションで計上している年間賃料収入は

    「13年間変化しない」

    という前提でした。


     年間賃料収入は本当に13年間変化しないのでしょうか?


    「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」三井住友トラスト基礎研究所
    http://www.smtri.jp/report_column/report/2013_01_16.html

     上記サイトでは、経年劣化により賃料は年間約1%下落の影響を与えるとされています。
     13年後、仮に毎年1%賃料が下落した場合、シミュレーション結果は以下のように変わります。


    <13年後(43歳時点) 利回り7%で売却する場合の価格>

    1,728,000円(年間賃料収入)÷7%(売却時表面利回り)
    =24,685,715円(売却想定価格)
    借入残高と売却想定価格の差額=プラス2,910,436円

     年間収支の累積赤字▲4,422,912円を相殺したら、今度は約151万の赤字となってしまいました。

     さらに、提案シミュレーションの累積赤字には火災保険料・固定資産税・現状回復費用等は含まれていませんでした。
     不動産売却時には仲介手数料3%も必要となります。
     これらを含んだ赤字は、もっと大きくなるでしょう。


     不動産会社も顧客を騙そうとしている訳ではないのでしょうが、彼らもビジネスですから提案は鵜呑みにせず、シミュレーションの検証は入念にするべきでしょう。



    ■原因2「節税効果に過剰な期待をしている」


     原因1をお話したとしてもこういう反論があるでしょう。

    【不動産所得が赤字だから、本業の給与所得との通算で所得税が還付されているんだからトータルとしてはプラスだ。】

     実際にAさんは毎年約200万ほどの所得税還付金を受けていました。
     では、それがあるから問題無いといえるのでしょうか?

     不動産所得のマイナス要因は殆どが減価償却費によるものです。
     どんな不動産を購入したとしても減価償却費をとることはできます。
     ならば、わざわざ年間収支がマイナスの不動産を所有する意味はない事を理解するべきでしょう。
     年間収支がマイナスであることは不動産所得マイナス(節税)にあまり影響が無いのです。


     年間収支がプラス、更に減価償却費によって節税出来る不動産の方を選択すべきではないでしょうか?


     以上、2つの原因と注意点を挙げてみましたがいかがでしょうか?


     最後に、不動産投資を専業にしている方々も、売却まで含めて利益が出るような優良物件を探すことはここ2~3年難しいと言っています。

     このような専業のプロの方々が目を皿のようにして探しても1年に1物件見つかるかどうかの不動産を、不動産会社がサラリーマンに提案してくれるとは考えにくいですね。


     やっぱり楽して儲かる美味い話には、それなりの注意が必要だと思います。


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    パートナーCFP 梶原 真由美


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    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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