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世界は石油資源を巡って紛争が絶えない。過去の歴史を見ても第2次世界大戦は資源を巡る戦争だったということも言えます。
このように過去一貫して石油輸入大国として存在してきた日本もそうした紛争の片棒を担いできたのかも知れません。
サウジやイランから石油を輸入し火力電力所や自動車燃料に使われ、製品が製造されてそれが輸出され外貨を得る経済の循環が日本には見られますが、もしかしたら日本には資源がないと思われていて、高い原油を買わされてきたのかも知れませんが、どうやら日本には資源があってそれを使ってこなかった。また資源創出のための大変に優れた技術があってそれを活用したら資源は安価に作れるとなれば話は違ってきます。
ロシアとの経済関係も資源を中東に依存しないで済む方法としてロシアの地下資源に白羽の矢が立ったとも言えますので日本経済は資源を巡る施策がポイントを握っているようにも思われます。
米国でシェールガスが安価に製造されるようになって世界の資源状況は大きく変わってきましたが、日本でもそうした資源への目覚めが起きようとしています。
実は火山国日本には豊富な地下資源が埋まっています。海中の資源は隣接国との軋轢につながりますが日本の海岸沿いに存在するメタンハイドレートと温泉地帯に存在している地熱発電を生み出すマグマ溜まりの存在はわかっていてもどういう訳か議論されてこなかったか大きく実用に供されてこなかった資源です。
特に原油価格が下落するとトーンダウンしてしまいます。
輸入業者は既得権を楯に新たな資源開発には手を染めないでいます。それには初期段階で開発コストがかかるからという理由があるからかも知れません。
また、既存ビジネスの権益を持つ者にとっては新たな資源を活用されては困るといった事情があるのかも知れません。
原油価格がどうであれ自前に資源を持つ筈の本来の資源大国、日本は再生可能エネルギーや新たな天然資源を有効に活用していくことで経済リスクを軽減していく必要があります。
一方で代替エネルギーの開発も水素を中心に進みつつあり、産業としてのブレークスルーが近い将来期待されます。
このうちのメタンハイドレートは日本海側にある表層型のものが注目を浴びています。メタンガスは地球温暖化にとっては環境を悪化させるとしてネガティブな意見もありますが、一方では有効に活用していくことの意義を唱える向きもあり、採取コスト問題の改善に向け着実に進みつつあるように思えます。
ただ、こうした取り組みには時間を要します。
実は今注目の水素はメタンガスから生成されます。
PSA方式と言われる改質器など一連の装置を用いて生成されるのですが、こうした装置を使わずに水素分離装置だけを用いて水素を製造する試みが始まっており、そのコアとなる技術が株式会社山王の水素透過膜なのです。
この素材を用いると水素は現在よりもコストを大幅に削減できるとされます。
同様の素材は田中貴金属も開発していますが、厚さが山王が圧倒的に薄い(現状は10分の1)でコストも大幅に下げられる訳です。多孔質ニッケル支持体とパラジウム合金の組み合わせで実現した山王の本業はスマホなど電子部品用の金属メッキで、この技術力で先行している企業だそうです。
メタンガスはLPGなど既存のガスから得られるのでガソリンスタンドなどでこの水素透過膜を設置した小規模プラントで高純度の水素が安価に製造できる仕組みがあれば一気に水素自動車が普及することになるかと思います。
メタンハイドレートから水素ができれば国産資源で動きまわる新たな車社会が到来する可能性もなきにしもあらずではないでしょうか。
先日のエコプロダクツ展ではJOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の展示も見てきました。そこでは地熱発電について積極的にアピールしていました。
説明スタッフによると今、日本では地熱開発が積極的に進められていて、その有力な開発手法はバイナリー発電方式によるとされます。バイナリー発電は蒸気発電のような大がかりな装置は不要で、温泉地帯ではこの方式で様々なエリアでの開発が進展しているようです。
第一実業はそうしたバイナリー発電装置の有力企業です。大掛かりな地熱発電タービンは日本の3社(東芝、三菱電機、富士電機)が世界的に見ても60%以上のシェアを有しています。既存の発電所は九州や東北・北海道に集中していますが、今後もこうしたエリアの開発が進むと期待されます。
資源のない国、日本が今後5年から10年の期間で資源大国として生まれ変わる可能性のある夢のある話におつきあい頂き有難うございました。
日本の未来はもしかしたら今よりももっともっと明るいのかも知れません。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)