昨今のペットブームで公園や街中は犬を連れてお散歩する人々で賑わっています。

 人間は友人や知人に子犬を譲ってもらったり、今ならどこかでのペットショップで犬を選び、飼い主になって愛玩することになりますが、犬は飼い主となったご主人様に人生ならぬ犬生を委ね、エサや水、活動のエリアを与えられ、人とともに日常生活を送ることになります。

 飼い主にとっては犬に代表されるペットは家族の一員と言うべき存在ですが犬は偶然に飼い主なってもらったご主人様を選べません。犬生のすべてを委ねて生きていく犬は飼い主に恵まれるかどうかで人の目で見た幸不幸が決まってきます。犬だってご主人様に見捨てられた野良犬にはなりたくないでしょう。


 さて、犬が飼い主を選べないのと同様に上場後の企業も株主を選べません。特定の仲の良い株主がファンクラブをつくって飼い主となってはくれますが、その可愛さや魅力につられて不特定多数の大勢の飼い主が入れ替わり立ち替わりで出入りしては新たな飼い主に譲っていきます。

 時に見事な愛嬌と芸を見せてくれる企業も世間にデビューしたてのまるで子犬のような時代はかわいくもあり、多くの飼い主に見守られもてはやされるのですが、だんだんと年を重ねていくと可愛さも薄れ、飼い主にあきられてしまいます。

 それでも社歴が重なっていくことで一定の飼い主が認めてくれてステージを変えることもできます。時には世界の人々から愛される人気企業にもなります。


 企業は株主を選べませんが、愛してもらうために、自らのメッセージを伝えて選んでもらおうとひたすら懇願します。そんな涙ぐましい努力を重ね、上場企業は犬とは違って一人の飼い主、1つの家族ではなく大勢の個人株主に見守られながら日々の活動を続けます。


 そうしたけなげな企業22社が最初の大規模な活動資金を求めて今月も一気に株式市場に船出をして参ります。それは愛ある株主を求めての冒険の旅なのかも知れません。

 子犬ならぬIPO銘柄にご興味をお持ちの投資家の皆さんも予め公開された企業情報を基にどの企業に愛情を注がれるのか、ご吟味頂きますと幸いです。


【3月17日までのIPO企業】
 ☆=筆者の個人的好み

 7日 ロコンド(3558)     M      公開価格1850円
 9日 ピーバンドットコム(3559)M       同  1650円
15日ファイズ(9325)      M       同  1250円☆
16日ほぼ日(3560)      JQ       同  2350円☆
16日うるる(3979)       M       同  3000円
17日ビーグリー(3981)     M       同  1880円☆
17日ジャパンエレベーターサービス(6544)M   同   550円


(炎)


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