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為替市場動向~FOMCからの年後半シナリオ待ち?~
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為替市場動向~FOMCからの年後半シナリオ待ち?~

2017-06-16 17:45


     6月13日~14日の日程で実施されているの米FOMCは、「0.25%の追加利上げあり」とのコンセンサスで14日の結果発表(日本時間15日未明)が待たれています。
     下限1%上限1.25%への利上げ確率は98%が直近の予想です。現在の市場の注目は、利上げ実施よりも、今後の金融政策の行方と思われます。

     先般発表された5月の米雇用統計の予想よりも低い雇用者増、賃金の上昇率停滞、低い水準で留まっているインフレ率は、今年前半でイメージしてきた後半のシナリオに影響を与えます。
     今年3回を見込んでいた利上げのもう一回は本当に追加できるのか?
     バランスシート縮小の実現可能性は低下したんじゃないか?
    といった金融政策正常化へのプロセスをFRBは今どう考えているのかを洞察するヒントに注目が集まります。

     FOMC終了後のイエレンFRB議長の会見から、また、FRBメンバーによる将来の金利予想を示すドットプロットや経済見通しを見ることができます。
     仮に、従来と大きな変化なく、6月に引き続き9月か12月の追加利上げの可能性あり、年内にもバランスシート縮小への取り組みが開始されるとの解釈が市場で広がれば、米金利の上昇、ドル買いの反応が見られると思われます。

     FOMC結果待ちで、昨日、今日はドル円110円を挟んだ動き、ユーロ・ドルは1.12を挟んでの上下に終始する静かな市場です。


     半期・四半期の決算月の6月も中盤に入りました。
     年初来の主要通貨対米ドルのパフォーマンスで最も上昇したのがメキシコ・ペソでした。昨年後半に「壁」や貿易協定など大きく売られた反動でしょう。
     その他、南ア・ランド、政治がらみで売られた韓国ウォンやユーロの反発を上位にドル安基調の半年となった印象です。
     唯一、政治不安が続くブラジルのレアルは2%近い下げとなりました。

     総じてみると、今年前半は昨年末のトランプ・ラリー戻しの半期と言えそうです。


     政治がらみでの動きといえば、英国総選挙での与党の敗北に反応して英ポンドが売られました。
     メイ首相率いる保守党は過半数割れ。労働党が善戦したと伝えられます。
     メイ政権のマニフェスト関連での不手際、テロへの対応なども影響して支持率が下がったとの見方もあります。

     一方で、米トランプ大統領の欧州訪問も影響したとの見方もあります。
     トランプ大統領のG7やNATOでの発言や振る舞いへの悪評判から、「自国第一主義」への疑問に繋がり、英国民にEU回帰、Brexit決断への悔みも芽生えたとも言われます。

     Brexitで得るもの(移民対策を中心に)に注目して決断したものの、具体的に失うものが並んでくると考えは変わったかもしれません。
     メイ政権は、少数の野党と結んで、今後のEU離脱交渉を進めることになりますが、国内も対EUもハードな運営が予想されます。

     Brexitのハードランディングが、市場のリスクオフ材料になる可能性もないとは言えず、引き続き注目していきたいところです。


     英国選挙結果後、ポンド相場も株式相場も下落。金利は長短とも低下しましたが、今後ポンド安によるインフレ懸念が起こる、資金流出が懸念が起こるなどした場合には、金利上げで対応するかもしれません。
     また、福祉予算を一部カットしたことも不平を生んだメイ政権が国民の人気取り的な政策を取り入れた場合、長期金利が上昇する可能性も考えられます。

     英国から今年も目が離せません。


     一方、フランスのマクロン大統領は、議会選挙で自身の率いる政党が勝利して、リーダーシップ発揮に地盤が出来てきたようです。
     他のOECD諸国の中では経済成長率の面で遅れをとっているフランスで、39歳という超若い大統領・マクロン氏率いる中道政権が、これまでの氏の金融界や政界でのキャリアを生かして、経済を立て直すことができるか注目されます。

     メルケル・マクロンで独仏は良い関係が出来そうな雰囲気もあります。
     EU中核として求心力の発揮に期待します。


     通貨ユーロ・ドル相場の主なポイントは、ECBの金融緩和政策の出口、そして、米国発「ロシアゲート疑惑」を中心とした米政局混迷です。
     フランス選挙後のユーロ買い戻しでのユーロ高基調が続いてきましたが、1.1280台の高値をつけた後に反落し、直近ではFOMC待ちもあり1.12を挟んで静かな動きになっています。


     ECBは先週、中期的経済見通しを引き上げた一方で、インフレ見通しを低下させました。ここへ来てのユーロ高はEUのインフレには悪材料になります。ECBの政策目標は、物価の安定です。(*米FRBは、物価と雇用)
     緩和の出口については、議論はしているものの、時期は未だとしているかもしれません。

     未だに、金融政策正常化へのプロセスに違いのある米国と欧州。本格的なユーロ高への道はまだ時間がかかるとも思います。


     最後に、悪材料の報道が目につき、もたついて見える米国のトランプ政権の動向には、良くも悪くも予断を持たず見ていきたいと思っています。


     最後までお読み頂きまして、ありがとうございます。


    ※6月14日東京時間13:00執筆
     本号の情報は6月13日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
     なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。


    式町 みどり拝


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
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