産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/
4月号連載記事


■長期と短期は両立しない

●日銭を稼ぐことと、将来の大きな果実


 毎日の暮らしを成り立たせるために、定期的で確実な収入があるのが望ましいのは、いうまでもありません。しかし、その収入から将来への投資としてある程度の資金を振り分けることも必要でしょう。

 例えば、個人でいえば、次のようなことです。
 まず、自分や家族の生活を成り立たせるために会社で働き月給を受け取ります。この月給は、会社に問題が無いかぎり安定的にもらえるものですから、そのために一生懸命働くのは当然です。しかし、さらに自分自身を成長させ、より良い地位や給与を得るためには、自己研さんが必要です。
 社内外の資格の取得のための試験勉強や、英会話能力を高めるために学校に通ったり、人脈・ネットワークを広げるためにビジネス交流会に積極的に参加することなどがあげられるでしょう。
 このような(会社の指示によらない)将来のへの投資は、当然のことながら無給ですし、費用も自腹です。

 しかし、多くの人々が、無給で自腹で、勤務外の貴重なプライベート時間を使って、「将来への投資=自己研さん」にいそしんでいます。もちろん、自腹の費用は、生活費、住宅ローンの返済、生命保険料などの支払いの源泉である給与の一部を削って払わなければなりません。
 また、プライベートな時間といっても、1日は王様にも乞食にも24時間しかありませんから、仕事の時間を圧縮したり、家族と過ごす時間を削ってねん出するしかありません。

 つまり、基本的に、現在の生活を維持するために行うべきことと、将来の成功(幸せ)を手に入れるために行うべきことは、「限られたパイの奪い合い」という形になるということです。


●日銭部門と投資部門は分離すべき

 企業経営においても、「現在」と「将来」の利益相反は存在します。親方日の丸で殆ど何もしないで給料をもらえる国営企業や準国営企業は別にして、一般の民間企業では、それぞれの役職員が一生懸命働かなければこなしきれない分量の仕事が与えられるのが普通です。
 実際、ライバル企業同士の争いはし烈ですから、ちょっと気を抜いた間にシェアを奪われてしまいます。「現状維持」することでさえ多くの費用と労力を必要とします。

 ところが、多くの企業では、そのような「現在の収益を稼ぐ部門」の中に、「将来の成功を期待する部門」を設立し、「将来の成功を期待する部門」の費用や人員を「現在の収益を稼ぐ部門」に負担させようとします。
 確かに、「将来の成功を期待する部門」は、最初収入がゼロであるのが普通ですから、どこかがその費用を負担しなければなりません。赤字部門では、どうしようもありませんから、稼ぐ部門が標的になるのはある意味自然かもしれません。しかし、ドラッカーは「今稼いでいる部門に、将来の成長を担う赤ん坊(部門)をゆだねてはならない」と忠告します。

 多くの人々が実感するように「子育て」は大変な作業です。まだほとんど何の経験も無く肉体的にも脆弱な赤ん坊は、四六時中面倒を見なければなりません。しかも、1円も稼ぐわけではありませんから、子育ての費用は両親の稼ぎに頼るしかありません。
 しかし、お父さん(お母さん)が、早朝から深夜まで働き詰めだったらどうでしょうか?十分な子育てができないかもしれません。


続きは「産業新潮」
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
4月号をご参照ください。


(大原浩)

*2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」
 (JKK)を設立します。HPはこちら https://j-kk.org/


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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)