台風21号の被害に遭われた皆さまにお見舞い申し上げます。
一刻も早い復旧を心より祈念致します。
今週初は、米国のレーバーデー。この祝日を機に、米国の議会も夏休み明けとなり、本格的に再始動、11月の中間選挙に向けて動き出すと言われます。
先週末には、米国とカナダのNAFTA再交渉が決裂、明日6日の公聴会後に米国の中国への2000億ドルの関税第3弾が発動されるか?との見方もあり、引き続き、貿易摩擦がらみの話題が続きます。今後さらに、中間選挙を控えて、政治的な話題によって振り回されるリスクもあり、動きにくい状況です。
そんな中、今週末には、米国の雇用統計が発表されます。
予想中心は、失業率3.8%(横這い)、非農業部門雇用者数+19,4万人(前月比)、時間当たり賃金+0.2%(前月比)、+2.7%(前年比)と、順調な雇用状況が確認されるとの予想です。
9月26日にはFOMCが開催され、市場では0.25%の利上げが予想されていますが、材料としては織り込み済です。2%~2.25%の政策金利は、中立的な金融政策に戻ったとも言え、12月の利上げは、今後の経済指標次第でしょうが、今のところ約6割の確率で利上げが予想されています。
8月のドル円相場は、111円後半から始まり、トルコリラ・ショックと呼ばれたリスク回避姿勢により一時的に109円78銭まで円高になったものの、概して110円~111円台のレンジ内での動きに終始しました。新興国通貨が乱高下するリスクオフのムードでも、意外と下値は固く、一方で上値も重く、限られたレンジ内での動きでした。安定しているというか、脇役の印象です。レンジ内取引が続く中で動的エネルギーが貯まり、そこから、方向感ある大きな動きに繋がっていく事を市場参加者としては望みたいところです。
7月の日銀政策決定会合で、超低金利政策を微調整したものの、未だ本格的な出口への道とは解釈されず超低金利の長期化が続くと見られ、一方の米国経済の堅調さに変わりはなく金融政策の正常化は順調に進んでいますし、リパトリ減税などの効果も出ている可能性もあり、ドル堅調の元で、当面はドル円相場の下値は固いものと思われます。
一方でリスクとして懸念されるのは、新興国通貨の動向です。
一部新興国通貨への売りは一段と強まり、8月中に対米ドルで20%以上の下落を示したアルゼンチンペソ、トルコリラを筆頭に、南アフリカも2009年以来の景気後退入りで売られ、伝染するようにインドネシア・ルピーも急落しました。インドネシア中銀は、為替、債券の市場での介入を行っていますが、今のところ効果は限定的です。
今年8月に市場にショックをもたらせたトルコ・リラは、トルコ中銀が来週にも会合を開く予定で、中央銀行として独立した金融政策が打ち出せるかが注目されます。今週初に発表された8月のインフレ率も17.9%の上昇を示していて、かなりの利上げで対応する必要があると見られます。
新興国の中で、対外収支が悪い、インフレ率が高い等ファンダメンタルズの悪い通貨が狙い撃ちされ、ドル高がドル建て債務の利払い負担を重くして、更なる通貨安という負の連鎖になります。このところ、通貨売りから株売りへの伝染も見られることも心配されます。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
※9月5日東京時間14時執筆
本号の情報は9月4日のニューヨーク市場終値ベースを参照しています。
なお、記載内容および筆者見解は参考情報として記しています。
式町 みどり拝
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)