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先月から連載でご紹介しているアジア開発銀行研究所所長の吉野直行さんのメッセージです。
⇒初回コラム http://okuchika.net/?eid=8057
前々回コラム http://okuchika.net/?eid=8086
前回コラム http://okuchika.net/?eid=8109
第3回目は、経常収支のバランスについての議論です。
【経常収支のバランス問題は国内問題にあり】
トランプ大統領が就任後、さかんに
「米国の経常収支の赤字が問題である。特に輸出、輸入に問題がある。」
という事を発言し、貿易不均衡と関税を中心とする貿易政策に熱心です。
ここで、マクロ経済学をおさらいしてみましょう。
以下wikipediaの解説を参照します。
「一国の生産水準をYとする。輸入をIM、輸出をEX、消費をC、投資をI、政府支出をGとする。すると、支出面から見たGDP(国内総生産)=Yとすると、Yは次のような恒等式で表わされる。
Y=C+I+G+(EX-IM)
(EX-IM)は経常収支である。
ここで、租税をTとして上記の式を変形すると
(Y-T-C)+(T-G)-I=EX-IM
となる。(Y-T-C)は民間貯蓄であり、(T-G)は政府貯蓄であるから、貯蓄をS(=民間貯蓄+政府貯蓄)とすると
S-I=EX-IM
となる。つまり、経常収支(EX-IM)の大きさは貯蓄と投資の差に等しい。」
ということで、経常収支とは国内の貯蓄から投資を引いた金額に等しいという事がわかります。
ですから、日本としては米国の経常収支の赤字問題は、貿易政策にあるのではなく、米国内の貯蓄と投資のバランスにあるということを主張し、G20などの国際会議でも主張しています。
【日本と米国ではおかれた環境が異なる】
また、米国は日本の経常黒字について強く非難をしていますが、これは両国の現在の環境によって見方も変わるはずです。
日本国内の一番深刻な課題は、みなさんもご承知の通りの少子高齢化です。
これから高齢化で就業人口が減り、少子化で人口自体も減少をしていく社会です。
このような社会では、近い将来、貯蓄率が減少し、先ほど見たISバランスでも経常収支が赤字化することが目に見えています。
そして、それは社会構造的な問題ですので、なかなか改善させることのできない経常赤字問題になることが予想されます。
一方で、米国は海外からの移民流入を含めて、まだまだ人口増加や高齢化とは程遠い社会です。
日本では、こうした将来に向けて、現在は経常黒字を積み重ねていかなければ、将来は経常赤字のファイナンスが難しいという環境にあります。
【日本の政治家はしっかりと説明するべき】
結論としては、
経常収支問題は、貿易不均衡の問題だけに矮小化するのではなく、国内の貯蓄投資バランスの原因についてしっかりと話をすること
また、日本の場合には将来の人口動態を睨み、現段階ではこうした経常収支を黒字で積み上げていかないと将来の経常収支赤字のファイナンスに備えられない状況である
という2点について、しっかりと米国や国際社会の中で主張していく必要がある
というのが、吉野先生の今回のメッセージです。
次回はちょっとセンシティブなテーマにはなりますが、移民の議論についてです。
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