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企業のIR、政府のIR
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企業のIR、政府のIR

2019-06-05 13:39
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     日本国の新たな時代となる令和時代に入って早くも1か月が過ぎた。
     先週は令和時代に入って初の国賓として夫人とともに来日したトランプ大統領のことが話題で盛り上がったが、これによって日米間の関係はますます強固なものとなったのではないだろうか。
     次に待つのが、日米通商交渉で、これは8月には何らかの合意が得られるとのメッセージが大統領から発信された。

     その矢先の先週はメキシコとの段階的関税引き上げで日米ともに市場は大揺れとなった。日経平均は先の安値を下回り、上げの半値押し水準を更に下回る結果となった。
     今週も週末のNYダウの大幅下落を受けて一段の下値模索が続く可能性がありそうだが、筆者はさほど悲観視はしていない。あくまで個人的な見解だが、トンネルの先にはほのかな明るさが見えるからだ。


     トランプ発言で株式相場は大揺れだが、トランプ大統領の頭には有権者に訴求する政策を実行するということだけが念頭にあり、こうした通商問題は未来永劫に続く筈はないからだ。トランプ大統領からは市場にまた新たなポジティブなメッセージが送られることだってあり得る。
     悲観の後には楽観も訪れると信じたい。


     さて、こうした日米間の交流が様々なメディアを通じて伝えられることは、国や政府にとってはNR(国民関係)活動の一端とでも言うべきだと筆者は解釈している。つまり国家運営の経営者という役割を担う安倍首相が国民にアピールする姿がメディアを通じて報道されていることになる。
     企業で言えば、ソフトバンクグループの孫社長がトヨタの豊田社長と提携し、メディアで伝えられたのと同じだ。

     上場企業もそうしたIR活動を当然のごとく行っており、5月は3月期決算企業の決算発表後の説明会がラッシュとなっている。

     国内外のマクロ経済の先行きが不透明感を増す中で各企業の業績見通しも慎重なものとならざるを得ないため、株式市場は頭重い展開を続けている。


     株式会社として株式を発行しそれを元手に事業を展開する各上場企業は自らの業績を損益計算書や貸借対照表を用いて理路整然と示すことになるが、国民をどれだけ豊かにするかの使命を持つ国の業績については残念ながら十分に伝わってこない。

     そのベンチマークは名目、実質GDPであり、これは企業にとっては損益計算書の中の売上に相当すると言える。
     そのGDPが伸び悩み、諸外国に比べて低い状態が続く日本ではその根本原因となっている緊縮財政、消費税増税の潮流からデフレ経済が進行し国民は豊かさを感じていない。
     政府の連結子会社とも言える銀行の銀行である日銀はゼロ金利政策で投資や消費を喚起するが、実需が生まれないまま供給過多、需要不足が是正されない状態が長期にわたって続いている。

     本来なら財政投資を積極化させて需要を喚起すべきだと言えるが、プライマリーバランス(財政均衡)重視の政策優先でまた10月からの消費税増税が目前に迫っている。


     政府、財務省は国民に対して国家の財務状況について1100兆円にもなる膨大な国債発行による政府の借金を国民に危機感を煽るメッセージを過去発信してきた。収入の道が限られる個人の家計では膨大な借金は致命的な状態と言えるが、政府の場合とは違いがある。
     このことは最近話題のMMT(現代貨幣理論)でも指摘がある。

     つまり、自らの通貨を発行できる国にとってはこうした財政問題はそれに見合った資産があることで納得がいく筈だが、一方的に危機感を煽り、消費税という形で国民に増税を強いるだけの存在となっている。


     企業では300年先のビジョン(ある意味国よりも凄い!!)を描くソフトバンクグループの孫社長が17兆円もの借金があることに対して投資先の資産の大きさでむしろ評価不足だとアピールし投資家の信頼を得るIR活動、決算・企業説明を行ったが、日本政府もそうしたB/Sの状態を明確に開示し説明をすべきなのではないだろうか。
     この場合は国のIRならぬ国民(Nation)との関係に基づく業績説明、
    つまりNRという活動になるが、政府はこうしたNRの視点で実績と新年度、更には10年、50年先のビジョンを示す必要が大いにありそうだ。

     こうした説明不足の中での消費税増税は国民の不信感を招く。
     安倍総理の外交能力は素晴らしいが、経済運営は正直に言ってこれまでのところ決して合格点ではない。ここで思い切って消費税増税の凍結を打ち出すことになれば国民(選挙民)の評価は一気に上がるだろう。


    (炎)


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)




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