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■ピックアップ銘柄LCHD(8938)の除外を決定!
8月14日のIRリリース
『継続企業の前提に関する事項の注記についてのお知らせ』
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/89380/890b0c45/97d3/49dd/be92/1f706f7f7edd/140120190814488563.pdf
を理由にこの度【除外を決定】しました。
私が億の近道でLCHDを初めて取り上げた時から2年4か月経って、あまりにも状況が変化し過ぎました(二転三転四転…)。正直これ以上私はLCHDの可能性を信じることは出来ません。
又、私の記事をきっかけにこれ以上の損を出していただきたくはありません(株は自己責任とはいえ)。
LCHDについては初動のタイミング(旧ロジコム時代)からウォッチをしてきました。これまでに400Hを超える時間を分析に費やしてきました。
その私から見て、今この会社に投資するのは只の博打でしか無いと判断しました。
もしかすると、不死鳥のように復活するかもしれません。
しかし、それに掛けて投資するのは只の博打であり、私の考える【投資】とは違います。
投資として考えるならビジネスモデルがきちんと機能して、最低限の財務条件をクリアしてから再度投資するかの判断をしても遅くありません。
決して株価(買値や高値からの下落率)に囚われてはいけません。
企業がボロボロの時は株価が安く、それが健全化するときには大きく株価が上昇します。
それを狙うにしてもまだ早い気はしますが、そういう狙い方ならこれ以降のタイミングでINするのも良いでしょう。
しかし、そうではなくLCHDの未来に期待して投資してきたのであればここは冷静になって一歩引くのがBestだと判断します。
振り返った時に今が底値だったとしても、私は全く後悔しません!
ビジネスモデルが破綻してもその銘柄を握り続けることは投資とは言いません。
それは【未練】と言うのです。
そんな未練で儲かっても何の価値もありません。
今回のIRはそれほどまでに深刻であると私は受け止めています。
詳しくは後半で書きます。
■LCHDのこれまでの経緯を振り返る
私がLCHDの記事を初めて執筆したのは2017年4月3日です。
↓※2017年4月3日 情熱投資家、相川伸夫が語る注目銘柄 LCホールディングス(8938)
http://www.okuchika.net/?eid=6957
当時はロジコムの社名からLCHDに社名が変わり、ソーシャルレンディングを始めて1年半を超え、フィービジネスとリートでの出口(スタート)を模索していた時期です。
ダヴィンチとの資本業務提携はこの時すでにしていましたが、医療関連の話はまだ出ていませんでした。
医療関連の話が出たのはその後の株主総会からです。
この頃から徐々に同社への期待は高まっていきました。
しかし、その後、シナリオ変更が相次ぎ投資家は大きく振り回されることが続きます。
18年4月には何の前触れもなくこれまで事業を推進してきた代表の本莊氏が退任、次の株主総会から金子氏が新社長に就任するというIRには大変驚愕しました!
その後迎えた本決算では『期ズレ』という言葉の怖さを市場に認識させましたねw
※2018年5月21日 情熱投資家、相川伸夫の本決算短信フォロー
http://www.okuchika.net/?eid=7754
6月11日、同社元代表の本荘氏にインサイダーに関する強制調査のIRで下がっていた株価にトドメを指す形で、18年3月の高値2649円から6月安値の1197円まで半値以下に急落しました。
18年6月27日、金子氏による株主総会での今後のビジョンに対する力強いメッセージ、及び後日の個人投資家向けの説明会(動画あり)を通して【LCHDは大きく進化する!】というプレゼンに私も含め投資家は大いに期
待しました。
※18年7月2日 速報!金子氏によるLCHD(8938)大改革により高まる成長期待!
http://www.okuchika.net/?eid=7825
金子氏の手腕に私も大いに期待していました。
しかし、強く勇ましい言葉とは裏腹に事業は進捗しているものの想定よりも歩みが遅いものとなりました。
私が一番不快であったのは18年の株主総会での質疑において…
・本社を赤坂に移転させる理由は?
⇒『アナリスト等が訪問しやすいため』
そう言っているものの私は金子社長になってから二度取材を申し込みましたが取材拒否されました。
IR体制も強化すると強く主張していたにも関わらず以前と比べて開示姿勢は改善されておらず、IRもなんら強化されていないと感じます。
今回の株主総会後に予定されていた機関投資家向け説明会もドタキャン同然と聞いています。
もう一点の不信な点は、
・本莊さんの株をどうするか?
⇒『買い取りたい。どのような方法でやるかは検討』
以前からこのような方向でしたが結局、中国資本と思われる謎の企業による株式譲渡に関するIRが19年7月26日に出てきました。
譲渡株価も終値1289円に対して35%のプレミアムを付けた1750円で本荘市の株式全てである31.23%全てを買い取る=約30億円というものです。
相対取引によるものなので価格などは双方の同意があるのでしょうが、LCHDとしてこの件に対して何のコメントも8月16日の現在までありません。
出来ない理由もあるのかもしれませんが、このような事ばかりがずっと積もり積もってきました。さすがにいいかげんにしろと私は言いたい。
そして19年8月14日の『継続企業の前提に関する事項の注記についてのお知らせ』で私にとってはこれ以上投資するに値しない会社としてフォローを外すに至りました。
次に今回の継続企業の前提に関する事項の注記に関して説明します。
■なぜ、『継続企業の前提に関する事項の注記』が付くことがそんなにいけないのか?
『継続企業の前提に関する事項の注記(GC注記)』についてあまり詳しくない方もいると思うので解説します。
『継続企業の前提に関する事項の注記(GC注記)』と
『継続企業の前提に関する重要事象等』
という表現の二種類が存在していて、<注記の方が重要事象よりも状況が悪い>ということを念頭に入れてください。
ザックリ解説で行くと『倒産するかもしれません』って意味で受け取ってもらえばいいです。
<GC注記>の意味合いは『倒産するかもしれない事案が発生したけど、これを解決する現実的な手段と目途が立っていません』ということ。
<重要事象>の意味合いは『倒産するかもしれない事案が発生したけど、これを解決する現実的な手段や目途が立ちました。現在進行形で進めていますので上手く行くことを祈っていてください』ということ。
ザックリ説明になりますが概ねそういう解釈で大丈夫です!
本業不振が直接の原因の場合はまずは重要事象が付くことが一般的と思います。
立て直しの現実的な手段については資産売却やリストラ、子会社の売却などで固定費と変動費を大幅に削減して会社を小さくして利益を出せる体質を目指すことで『目途』を立てることが多いです。これで重要事象扱いとなります。
その後そうした対策を実行しても経営が立て直せない事態に陥ると<GC注記>に悪化します。
今回のLCHDの場合は一撃GC注記です。
一撃GC注記の場合は本業不振というよりも急激な経営環境の変化が起こった場合に発生することが多いです。
<急激な経営環境の変化>ってなにか?って早い話、ビジネスモデルが根底から崩れ去ったって事です。
◇GC注記事例1 中村超硬(6166)
・中国国内の補助金を当てにした太陽光ビジネス一本打法だったが、中国の法改正で補助金が出なくなり売上激減&新設の製造機械大きく減損処理(その機械を使っての売上回復見込みが立たないため)されて一撃GC注記(19年3月期2Q)
◇GC注記事例2 大塚家具(8186)
・大幅赤字から重要事象等のリスク記載(16年12月期本決算)⇒通期での3連続の営業損失&営業CFマイナスが見えたことでGC注記(18年12月期2Q)
◇GC注記事例3 曙ブレーキ
・米国工場での需要急増(本来なら嬉しいことだが、自動車部品メーカーである自社の生産が間に合わない事が原因でカーメーカーの生産を止めるわけにはいかないという悲劇)による人件費アップ(3直7日)&それでも間に合わずに日本からの緊急輸送費で大赤字&さらに大規模な減損(利益を出せない有休機械や設備)で財務条項に抵触で『継続企業の前提の重要事象(16年3月期本決算)』が発生、その後奮闘空しく米国からの撤退決定により米国資産の巨額減損で債務超過によりGC注記(19年3月期3Q)
以上、GC注記事例を3つ紹介しましたがイメージは掴めましたか?
現状について細かく書いた記事も参考になると思うので紹介しておきます
※↓参考サイト『東京商工リサーチ』
2019年3月期決算 上場企業「継続企業の前提に関する注記」調査
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190611_01.html
このように「事業を健全化することが容易ではない!」と判断され、しかも現状それを打破するための見込みも無いのです。GC注記の表現はそれほどに重く、短期間で「きっとGC注記が取れるだろう」と期待するのは危険な思考です。
今回、付いたのが重要事象ではなく、一撃GC注記なので特にヤバイのです。それほどにLCHDの状況は悪いと認識ください。
※ちなみに重要事象なのかGC注記なのかを見分けるポイントは『…継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。(中略)…現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認め【られますorられません】』という最後の文法に着目してください。
決算短信にも『継続企業の前提に関する注記』は記載されていますが、気を付けなくてはならないのは【注記が付く初回のタイミングは決算短信には注記されない場合がある】というポイントです。
決算短信というのは【監査が終わっていなくても構わないから早く情報を開示すること】が企業には求められています。決算短信も四半期報告書も締日から45日以内に提出がルールとなっており、短信は四半期報告書の前の提出が適当とされています。
今回のLCHDの例ではまさにそのパターンでしたね。
・19年8月2日の20年3月期1Q決算短信では注記も重要事象もありませんでした。
・しかしその後の8月14日の四半期報告書で一撃GC注記が付いたのは監査法人が四半期レビュー報告書を書く際に許さなかったのではないか?と私は考えています。
■LCHDのGC注記の中身を見てみる
※注、この先の内容は完全に私の推測になるので中身の正確性は全く保証出来ません。
私がまるっきり間違っていることも考慮して、『見解の一つ』として読むようにお願いします。
今回問題になった匿名組合出資預かり金の63億円は1Qでは流動負債になっていますが、これは直近有価証券報告書では固定負債にあった長期預り金にあったものと思われます。返す時期が決まっていなかったから固定負債(一年以上先の負債)だったものが『返さなければならなくなったから流動負債になった』のでしょう。
現金に関しては直近有価証券報告書の時点では33億あったものに対して営業貸付金と長期預り金―匿名組合預り金の差額が近似値になるので現金の動きはそこだと考えます。
GC注記に『匿名組合出資預かり金の償還が困難となるおそれ』というのは現在レンディングで運用・待機している個人のお金の総額を指しているのでしょう。
GC注記の対策案として記載してある内容は上記だけにスポットを当てた話です。
主な対策案は…
1、誰かに金借りる
2、販売用不動産を急いで売る
3、クラウドファンディングを再開できるように頑張る
これらで50億円程度の金を工面したり、増資もあり得るのかもしれません。
それが出来ればいいね。って怖い話をさせてください。
理想は1、の借り入れになるでしょう。
しかし、物件の購入において銀行のシニアローンの方が金利が安くてそっちのが良いに決まってるのにレンディングを用いた経緯はなんでしたか?
・SPCではシニアローンは難しい
・機動性が悪い(言い換えれば銀行を納得させれない物件は審査が下りない)
・レンディングの資金調達ハードルが低い(誤解を恐れずに言うなら信用取引でポジが建てまくれる)
ということをやってきました。
ここにきて『誰が』『どうやって』『何に対して』貸せるのでしょうか?
2、についても売却出来たらいいですね!
しかし、すでに物件売却のために活動し続けてきて、それでもなかなか難しいという状況だったではなかったではないでしょうか?簡単に売れるなら本庄さんの時に売れているはずです。しかも今回の件によってバイヤーはLCHDが資金繰りに困っていることが分かりました。
『追証がかかりかけている』ような状況の相手に対して良心的な価格で買ってくれるとは私には思えません。良くて損してでも売却に成功で、悪いとつぶれるまで待たれることもあるのかもしれません。
3、クラウドファンディングの再開が出来れば最高ですね!
とはいえ、これまでマネオに専任で委託していました。マネオは200億超えの返済延滞、一部は不良債権化してしまって回収出来なかったり業務改善命令&28億超えの集団訴訟など様々な問題が起こっており、この後正常化するという見通しをすべきなのか油断なりません。
↓マネオマーケット株式会社に関する集団訴訟#詐欺・消費者被害
https://enjin-classaction.com/project/detail/?projectId=1049568055&p=1
↓maneoマーケット計画倒産が現実になる日は遠くない:ソーシャルレンディングの甘い罠
https://j138i.com/maneo-bankrupt
このような記事も散見されます。現状稼働しているからと安心するのはトンチンカンな発想でしょう。
仮に今回、こうなる前に他のクラウドファンディングで稼働させれるとするなら何かしら手が打てたのではないか?と感じます。
しかし、クラウドファンディングがどこかでできたとしても、新規にレンディングスタートを再開した時点ではGC注記は消えません。
いくら「収益物件は大丈夫だから安心してください」と言われても、GC注記のついている上場企業のレンディングに資金がいきなり50億もの資金が集まるのでしょうか?
LCレンディングは2015年にスタートして、1%利率アップキャンペーンなどの施策や着実な運用実績を積みながら口座登録者が4年掛けて7866人まで増えたのです。たとえスタート出来ても償還必要な資金調達がレンディングでは間に合うわけがないと考えるのが常識的でないでしょうか?
■ここからさらに深く踏み込んで考察します
LCHDは散々難解な企業と言われてきました。
何が難しくしてるかって、もちろん
【SPCによってオフバランス化されており、実態が把握できない】
からです。
見えないオフバランスされた資産のわずかな情報が直近有価証券報告書の89Pにある【保証債務】ではないでしょうか?
それによると87億を債務保証しています。
現状の医療法人や収益物件には問題が起こっていないので貸し倒れ引当金も特に積まれていません。
しかし、今回のGC注記がきっかけにドミノが倒れ、オフバランスされた資産の減損や貸し倒れ引当金などが出るようであれば、これはLCHDにとってトドメの一手になりかねないでしょう。
また、医療法人の取得には現金が必要であり、これも有価証券報告書の89Pに記載の【関係会社に対する金銭債権または金銭債務】がそうではないか?と考えています。
ここに回せる資金がなくなれば医療法人の取得も止まるのは当然でしょう。
そうなると中期経営計画へのシナリオも現状白紙になったのだと解釈しています。
会社のIRに何を聞いても、恐らく現状では本人たちでさえ何も分からない
・決まらないのではないだろうか?
なぜならLCHDの対策案は相手がいるものばかりで、自分たちの頑張りでクリアできるものではないのだから…。
LCHDをまだ信じようとしている人からは「相川は適当な事を言いやがって!」と恨まれるかもしれませんが、この銘柄をずっとフォローしてきたという責任からここで私は【NO!】を突き付けねばなりません。
もし、不死鳥のように復活出来たらまた取り上げるかを判断させていただくことにします。
これ以上はダメだと判断したタイミングできっぱりと離別する決断をしなくてはいけません!!!
LCHDは今回をもってフォローを終了させて頂きます。
金子さんのビジョンが実現出来さえすれば、いつかは100倍になる可能性がある銘柄だと今でも思います。
LCHDの全てのステークホルダーの皆様の幸福を祈っています。
それではまた。
『全力全開全力前進!!!』
(相川伸夫)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)