株式市場が停滞局面を迎える中で何らかの突破口を見出そうとする動きも散見される。

 先週、株価急騰劇を演じた熊本の住宅メーカー、LibWork(1431)もその一つかも知れません。

 Qボード市場に上場していた同社は6月18日に東証マザーズ市場への上場を実現したが、その直前のQボード時代に1500円台の高値をつけていたものの、マザーズ上場後は2か月近い間、株価は穏健なまま1100円前後で推移した。マザーズ上場の際の15万株の公募増資(発行価格1083円)を踏まえての株価推移だったと思われるが、それが8月9日の6月決算発表後から一気に評価が高まり先週は2000円の大台乗せを演じている。

 なぜここまで一気に人気化したのかはあくまで筆者の私見ではあるが、以下の理由を挙げることができる。

1)これまではQボード上場で知名度が低く、住宅セクターということもあって評価が低かったが、マザーズ上場で認知度が高まった。

2)熊本地盤の地方企業ながらビジネスエリア拡大に意欲的な姿勢で成長指向をしている。更には熊本での大地震発生後の復興需要による住宅ニーズが拡大した。この結果前6月期までの業績向上、更には今期も業績拡大計画が示された。

3)時価総額はマザーズ上場後も30億円台で推移し、前期の想定経常利益5.6億円に対して成長性を加味した場合の評価が低かった。先週の2000円前後への株価急騰で時価総額は53億円へと増加したが、今期予想経常利益は7億円で、依然として成長性の割に評価は低い印象がある。

4)先週8月16日に同社は上限5万株、9000万円分(平均単価1800円)の自己株買いを発表。お盆休み返上の自己株買い、しかも同時に新たな株主優待制度の発表も行うなど株価を意識した経営を続けている点が一気に評価を高めた。今後、株価が急騰しただけに強弱感が強まる可能性はあるが、自己株買いは8月20日から12月23日までの長期にわたる予定のため下値は堅いと見られる。

5)ここまでは業績面や需給に関しての当然の評価だが、同社はタレントのスザンヌ(熊本出身で熊本県宣伝部長と称する)とコラボした住宅の共同開発を開始したことを先般発表。更には無人の住宅展示場をスタートし全国展開を図ることも明らかにした。人型ロボットが来場者を案内するモデルハウスはある意味画期的な試みと言える。


 同社の株価急騰の理由を他の銘柄にも置き換えて頂きたいが、同社は瀬口社長のオーナー経営であることが、背景になっているとも言える。これはスケールは異なるが柳井社長率いるファーストリテイリングや孫社長率いるソフトバンクグループと同様の動きである。

 しかも事業発展の初期段階とも言えるムードがある。但し現状の主力事業が住宅という国内型のビジネスである点だ。ファーストリテイリングもソフトバンクも最初は海のものとも山のものとも分からずにいた筈。その後の事業拡大はオーナー経営者だからこそもたらされた。

 時価総額が50億円台の同社株がプラチナ株になるかどうかは不明だし、今後の事業成長性には紆余曲折はあるだろうが未来への期待は高まってきたと言える。


(炎)


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