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JUGEMテーマ:株・投資
★連結優先 単体と連結(その1)
さて、本決算ですが、連結優先で考えてください。
本決算には2つの種類があります。ひとつはグループ経営の状態を表す連結決算。もうひとつは、親会社のみの収益動向を表す単独決算です。
連結優先とは、連結決算を優先的に採用して売買タイミングを判断してくださいという意味です。
ただし、連結決算がない単独決算だけの企業場合は、単体の決算を基準に判断するということです。単体の決算でみるべきところは、表紙に書かれている「今期の配当予想」です。それ以外はすべて連結の利益の数字を判断材料にしてください。
★投資タイミングは決算発表後すぐにやってくる
遅かれ早かれ、会社の決算発表時の予想数値が市場コンセンサスを醸成するようになります。ですから、増益率の改善がわかった瞬間、つまり、決算発表時が投資判断のベストタイミングです。
利益率の変化の度合いを計り、買いを決定した場合、決算発表後はできるだけ早く買いをいれることが肝心です。発表後の翌日午前中。できれば朝一番で寄り付きで買うのがベストです。
ただ、決算発表が前日の場中に発表されている場合もあるので注意してください。そういう場合は、昨日の株価が急騰していないかをチェックします。前日、それほど株価が動いていないことを確認して、決算発表後はすぐに買いを入れるのがコツです。
発表前に会社予想の数字に山をかけて、買うことはお勧めできません。
理由は二つです。
1つ目の理由は、多くの人にとって、決算予想で山を張ることは難しい訓練を要するからです。
2つ目の理由は、企業の業績修正は決算発表前数週間前に行われるからです。
もし、山が大きく外れたり、決算前に購入した企業が、決算の数日前に運悪く下方修正(会社計画値を下方に修正すること、株価に大きな悪影響を及ぼす)を発表したら株価が下がる危険性があります。基本的には決算発表後に仕込んでも十分に間に合うという点を理解してください。
決算前の仕込み、つまり、見込み買いが危険なことは、ベテランのアナリストでさえ決算の山をはることに失敗することを見れば十分にわかることです。
ベテランのアナリストといえば、その企業だけを何年も見ている専門家です。
業績動向を知り尽くしているにもかかわらず、会社の計画を事前に当てられてないのです。なぜかといえば、外部環境の前提をひとつ変えただけで、企業の業績は簡単に変わってしまうからです。
たとえば、市況産業の場合、市況の前提ひとつで業績の予想は変わってしまいます。たとえば、外部環境が良好である場合、業績は大幅な増益となるだろうとベテランアナリストは考えてします。しかし、往々にして会社が悲観的な予想で発表する場合があります。その場合、増益予想を期待して先回り買いをしたのにもかかわらず、実際の会社予想は減益予想だったということが生じ、株価は暴落してしまいます。外部環境がよいことよりも、実際の会社側の発表数字を投資家は信じる傾向が強いのです。ですから、会社発表の出るまでは、極端な思い込みは避けるのが無難なのです。
モメンタムの変化、つまり、増益率・減益率の「変化」を評価し、投資タイミングに活かすということは、これまで体系だって説明されてきませんでした。
ただし、株の格言の中には同様のことをうたっているものがあります。たとえば、ベテランの株の営業マンの中には、こんなことをいう人がいます。
「相場で儲けるコツ? 普通の人と逆をやればいいんだよ。PERの高いときに買い PERの低いときに売れば儲かるよ」
などとしたり顔でいったりします。
「PERが高いときに買うべきだ」というパラドックス(=逆説)は、相場に関係する人であれば一度は耳にしたことはあると思います。PERの安いものを買って、高いものを売るというのが本来の投資の教えです。
なぜ、こんな矛盾するような教えが市場には混在しているのでしょうか。
それは、このモメンタムの変化のことを言い表しているからです。つまり、業績が悪いときは、収益低迷からPERは高くなります。一見、割高になるのです。
しかし、業績は底打ち、急回復することがあります。急回復過程で収益は戻り、PERは低下していきます。業績の変化率の大きな企業にとって、しかも、業績の循環性が高い企業にとっては、PERの高いときが業績の底打ち局面です。
業績が循環する業種には、たとえば、半導体におけるシリコンサイクルや液晶におけるクリスタルサイクルなどがあります。サイクルがこれから上を向いて回復局面に入るとき、循環株は物色される傾向があるのは事実なのです。
株は循環的な性格を持ちます。どんな企業であっても、景気の循環の影響を多かれ少なかれ受けるからです。公共投資関連や食品などの生活必需品を扱う会社は、景気の波の影響を受けにくいのは確かです。
景気動向の影響が比較的少ない株をディフェンシブ株といいます。ディフェンシブの反対は、オフェンシブですが、株式市場では、オフェンシブ株とはいいません。景気動向を色濃く受けてしまう株のことを景気敏感株といいます。
景気敏感株にしろ、ディフェンシブ株にしろ、景気動向の影響はどちらも受けるのです。
ただ、景気動向の影響を受ける度合いが大きい株を、シクリカル株、循環株、景気敏感株などといいます。機械株などの設備投資関連や商品市況などに左右される化学株や鉄鋼株も循環株です。
一方で、構造的な要因から景気動向の影響をそれほど受けないで成長している企業を、成長株といいます。また、景気がよくなっても不振から脱出できないような企業を衰退企業といいます。
ただし、衰退株という表現はなく、成熟株と呼びます。厳密にいえば、衰退と成熟は違います。しかし、衰退株というとその企業に失礼に当たるからなのか、成熟株と呼んでいるのです。
成熟株とは成長性が低い企業です。成熟企業であっても、買収などを通して、規模を大きくしながら収益を成長させる手段が残されています。しかし、成熟企業の多くは、景気循環に大きく株価が左右される循環株です。
循環株の中には、景気敏感株とディフェンシブ株とがあるという構造となっています。循環株のアナリストの仕事の一つは、企業の業績の循環、つまり、収益の動向を読み、株価を予想するというものです。構造的な要因から追い風が吹いている成長株の分析よりも、景気循環を当てる方がわたしは難しいと思います。
成長株は、構造的な要因があるため、企業の強みや参入障壁などを調べることである程度、将来の業績動向が把握できます。しかし、循環株は、業界における需給を予測しなければなりません。その循環をぴたりと毎回当てるアナリストに出会ったことはありません。そのぐらい循環を正確に当てるのは難しいことなのです。
たとえば、景気循環の流れ等を読むことで、相場の方向性を当てるのが仕事であるストラテジストという職があるのですが、彼らの中には、絶えず「買い」を主張する万年強気の人もいれば、逆に、何をいっても弱気のことしかいわない万年弱気の人もいます。いつも強気であれば、意見さえ変えなければ、いつかは当たります。目先の1-2年は運悪く弱気相場が来て外しても、3年目に強気相場がくれば、「ほら、自分の言ったとおりになった」と自慢できます。そして、「この人はいつも強気なんだよね」と世間的に「認知」されます。マスコミも、「この人はいつも相場に対して強気だ。強気の意見が聞きたいからこの人に取材しよう」ということになり、いつも強気であることが職業上有利に働くことさえあるのです。
証券会社のアナリストやストラテジストは人気商売ですから、当たる意見も重要ですが、彼らの目的は、当てることではなくて、高給の職業を続けることです。ですから、人々に受ける意見や人をけなす意見や逆に投資家を励ますような意見も言ったりするのです。つまり、説得力がある意見で「なるほど」と思わせれば目的は達成されます。
みなさんは、株を当てなければなりません。株を当てて儲けることが目的です。
いつも強気な人がいる。いつも弱気な人がいる。ということは、専門家でさえ、循環を当てるのは難しいということの裏返しです。いつも同じ意見を言っていればいつかは当たるだろうという戦略も間違いではありません。首尾一貫していてよいともいえるのです。
逆に、もし、循環を当てるのが簡単だったら、ストラテジストという商売自体が不要になります。企業の業績がどのように変化しているかを短信から読み取り、素直にサポートしていくことで、業績変動の大きな波に乗って儲けることができます。
混乱させてしまいますが、わたしは「PERが高いときが買い」であるとは思っていません。
正確には、「PERが高くても、投資判断が買いとなる場合もある」ということです。
PERが高いから、即買っていいのであれば、これほど楽なことはありません。
(山本潤)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)