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中国・武漢発の新型コロナウイルスによる感染症はその後も猛威を振るい、既に世界中に感染者を広げパンデミックの様相を呈している。中国全土の感染者数は増加のピークを打ったようだが、韓国、イラン、イタリアと中国との関係が深い国に感染者が急拡大。
日本での感染者数もクルーズ船を除くと北海道、東京、愛知、大阪などを中心に800名近くに達するなど拡大してきたが、今のところがまだ死亡者数が高齢者を中心に30名以下に留まっている。
これまで対岸の岸の話のような見方をしていた欧米にも感染が一気に広がってきた。世界において15万人を超える感染者、5700人を超える死亡者数に至り、この先の拡大も予想される状況で多くの一般市民が混乱の中にあると言える。
これ以上の伝播を防止するための懸命の施策が世界中で打ち出されており、不要不急の外出やイベントの開催が制限され国内外での人の往来は一定期間止まってしまうこととなった。サプライチェーンの中核を担う中国各地での生産が春節明けの中で滞っていることも世界経済に対して計り知れない影響をもたらしビジネス全般を停滞させている。
新型コロナウイルスの影響は年初まで堅調な推移を辿ってきた株式相場にも押し寄せてきた。NYダウや日経平均などの株価指数は2月の高値から短期間におよそ3割の下落となった。2008年に起きたリーマンショック級、1987年のブラックマンデー級の株価下落と言える。
市場では今回の株価の暴落をコロナショックと称しており、この暴落に端を発した世界経済困窮が想定される中で投資家の運用スタンスも変化が予想される。
今回のコロナショックは2月7日から始まった2020年のIPO市場も多大な影響をもたらしている。今年初のIPO銘柄となった家具、OA機器などのレンタルビジネスを展開するシェアリングエコノミーのコーユーレンティア(7081・JQ)は公開価格1890円に対し初値こそ2510円で32%の上昇と堅調だったが、その後は先週末の838円まで初値に対して67%もの短期急落を演じてしまった。
また同日にIPOしたクラシファイドサイト「ジモティー」を企画・開発・運営するジモティー(7082・M)は公開価格1000円に対して初値は2.3倍の2300円。これも先週末に992円まで56.9%もの急落を演じてしまった。
2月27日IPOのAHCグループ(7083・M)も公開価格2200円から初値こそ3550円と堅調なスタートとなったがその後、1264円まで64%もの短期急落を見せた。
更に3月2日のカーブスHD(7085・T1)は公開価格750円に対して初値が670円と初値が公開価格を下回り、一旦809円という高値をつけたものの、その後3月10日に421円という安値まで売られてしまった。
これに続く3月4日のKids Smile Holdings(7084・M)は初値こそ公開価格を20%余り上回ったものの、その後は公開価格を下回っている。
6日のきずなHD(7086・M)は公開価格を初値が4%下回り、その後も株価は低迷している。ウイルテック(7087・T2)は初値が公開価格と同じとなり、その後の株価は低迷している。9日のフォーラムエンジニアリング(7088・T1)は初値が公開価格を21%下回りその後も株価低迷が続いている。
10日のビザスク(4490・M)についてはナレッジシェアリングプラットフォームを展開し市場の関心を集めたものの、コロナショックで初値は公開価格1500円を13%下回った。ただその後同社株はメディアでの報道があったことで一旦高値1905円までついてきた。その後はまた安値1121円まで売られているが、時折戻りも見られる展開となっている。
3月11日のコンピュータマネジメント(4491・JQ)は公開価格2750円に対して初値は4360円と堅調なスタートとなったが、その後は株価低迷の動き。
3月13日の3銘柄(木村工機、フォースタートアップス、リグア)は軒並み公開価格を初値が下回っており、コロナショックでIPO市場の混乱が続いている。
本日から4月17日にかけては26銘柄のIPOが予定されているが、新型コロナウイルスによる影響を受けやすい銘柄を中心に人気離散となる可能性が考えられる。
新型コロナウイルス問題で需給悪化が見られるIPO市場の動向に引き続き注目しておきたい。
機能不全に陥ったIPO市場だが、上場を取り消すような動きは今のところはないが、そろそろそうした動きが出る可能性も考えられる。
ただこうしたIPO市場の動きはコロナショック時のイレギュラーな波乱とも見ることができる。個人投資家が主導するIPO市場に訪れた波乱の展開を新型コロナウイルスの感染状況とともに、冷静に見守りながらどこかで大きく出直るタイミングを模索することにしたい。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)