昨年で団塊の世代が全員70歳を超え、いよいよ年金議論を真剣にしなければならない時代となりました。2020年代前半からと考えていましたが、毎年人口50万人減が既に昨年から始まっていたようです。
2000年代の小泉政権時には「100年安心年金」とのキャッチで年金改革が進められましたが、振り返れば私が1980年代に就職した頃の推計では、我々世代が60歳定年で得られる年金額はおよそ月額20万円程度、対する掛け金は労使折半で所得の10%弱との説明を受けていました。
それが35年後の現在では年金受給は65歳からとなり、実際の年金額は月額約10数万円程度へと減り、掛け金は労使折半で18%超へと上昇し、且つ、これからも上がりそうな気配です。
その実額にしても全世代平均と比較した所得代替率60%など詭弁でしかなく、少なくとも40歳以上の年収から比較すれば所得代替率の実態はせいぜい30%程度です。
これでは誰もが将来を不安視し、消費を抑えるのは当たり前です。
定年時2,000万円問題など当然のごとく話し合われて然るべきなのに、キチンと説明できる政治家が居ません。不勉強なゴキブリが多いし、今まで保険料を使って利権に活かしてきましたから、後ろめたい(隠したい)気持ちもあるのでしょう。
文言を駆使して100年安心とは名付けましたが、これは5年毎に条件を修正していけば、つまり給付される絶対額を減らし、掛け金を増やすなど微妙に条件を変えていけば100年後も年金を受給出来ます(存続するはず)、とも言えます。
これからの数十年間は社会保障費用は増え続けます。若い人は年金に詳しくなくとも政府の言は詭弁であり、将来厳しい現実に向き合わねばならないことを感覚的に理解している故に社会保険料の支払いに後ろ向きになっています。
加えて、幾ら失業率が下がったと喧伝しても、社会保険料や公共料金などが徐々に上がってきましたので現役世代の可処分所得は減り続けています。2%の消費税アップだけでもダメージは相当大きく、具体的な所得増加策が必要です。
そんな中でのコロナ禍ですから、ダメージどころでは無く大打撃です。
最も効果的な所得増加策は人材の流動性向上策(=セーフティーネットの整備)と考えています。労働者をコキ使うことで成長してきたオールドエコノミーは嫌がりますが、これは生産性の向上にも役立つはずです。
十分な人員を配置できず、且つ時代遅れでヤル気の無いハローワーク(天下り先)に任せておくだけでは流動化(効率化)が進まないことは誰が見ても明らかですが、厚労省はここでも既得権を握りしめています。
ゴキブリは様々な業界からエサ(献金)をもらって喜んでいる場合ではなく、今の縦割り予算を即刻見直し、子育てや労働市場流動化に予算を振り向けねば日本の将来は暗くなるばかりです。
昨年の出生数は団塊世代の1/3にまで減りました。
安倍政権の成果(記念)を残すために注力すべきことは、念力だけで北方領土を取り戻そうとしたり、本質的な説明を避けたまま改憲論議をしたりと言った無駄な時間を浪費することでは無く、もちろん危機的状況を利用してバラマキを企てるなど言語道断です。
10年後に中国に属国化されないための経済力の維持、生産労働人口の維持に繋がる喫緊の課題に取り組まねばなりません。
このような緊急時こそ規制緩和を推進する機会とし、硬直的行政や医療の既得権を崩しデジタル化等を進める好機のはずです。
コロナ禍が何時収まるのか?安倍政権は漸く解除に動き始めましたが、平たく言えば、治療薬が出来るまでは収まりませんし、元に戻るまでには相当の時間が掛かるのでしょう。加えて将来のウイルスへの対策も加わります。
テレワークも今回限りとはならず、企業規模や業態にかかわらず機動的な業務方法が徐々に拡大、浸透していくはずです。今まで出勤するだけで賃金を得ていた「低パフォーマンスの人達」が炙り出され、結果を評価する人事考課制度へと移ります。
2月までは新型コロナウイルスがこれほど大きな影響を及ぼすとは考えておらず、どちらかと言えば、(マイナス金利にしてまで景気を持続させるという)止めようの無い資本主義、及び金融行政の転機になる年との考えから「今年は波乱の懸念がある」と書いていましたが、それどころでは済まない激動の年になりそうです。
(街のコンサルタント)
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