堅調な上昇を見せる日経平均はソフトバンクグループなど限られた値がさ株によって見せかけの強さを示していますが、多くの実体はTOPIXやマザーズ指数などに反映されております。
全体相場が上昇トレンドを強める中でなかなか評価が高まらないバリュー銘柄も数多く存在。そうした不人気銘柄にも多少は関心を寄せておきたいと思っております。
先日は新たに建設コンサルタントの有力企業で成長指向の長大(9624)のリアルな説明会(日本証券アナリスト協会主催)に出席させて頂き、割安な感触を持たせて頂きました。
本コラムではできうる限りこうした説明会後に新鮮な情報をお届けさせて頂ければ幸いです。
さて、多くのバリュー銘柄にはいくつかの特徴がございます。
時に収益変動でPERはイレギュラーに高まる場合も見られますが、概ねPBRは1を下回り、配当利回りが比較的高いことが多いのが特徴です。また、こうした特徴に目をつけた投資会社としての光通信(9435)や配当選好の皆様のような個人投資家が関心を示す点も特徴かと思われます。
先般、普段は穏健な値動きが見られるバリュー銘柄、岡山に本拠を置く建設コンサルタントを主力業務とするウエスコホールディングス(6091)の保有比率5%以上の大株主として光通信が登場したとして人気化しました。
光通信は積み上げ型のビジネスでキャッシュが自然に貯まってくる性質のビジネスを展開しており、そのキャッシュを株式投資に振り向け、今や大手機関投資家も顔負けのパワフルな投資活動を実践しています。
直近1か月でもウエスコHDのほかMTI、第一実業、東亜道路、横田製作所、MS&Consulting、レイズネクスト、イーレックス、テクノスマート、三機サービス、カイノス、西川計測、アートネイチャー、SANKYO、世紀東急、東京エネシス、翻訳センターなどの企業名が大量保有報告書に光通信及びその関係企業の保有に関連して出ています。
光通信は現在200銘柄前後を投資しており、皆様が保有されている銘柄もその投資対象になっているのかも知れません。
一般的に5%ルールというのは、上場企業の保有株が5%を超えると総理大臣への提出義務が発生するというもの。大量保有報告がなされて広く認知される仕組みです。その後も1%以上の増減を生じた場合も報告する義務が発生するということになります。
そうした大株主の保有状況の変動は有力な投資のヒントにもなり得ますので投資家の皆さんは金融商品取引法上の大量保有報告書をチェックされている方もお見えになるのかも知れません。
多少前置きが長くなってしまいましたが、今回お伝えしたいのは筆者が長期スタンスで注目してきました典型的バリュー銘柄テノックス(1905)の8番目の株主として光通信が9月末の株主名簿に登場したというニュースです。
テノックスの大株主として光通信の名前は今回が初めて。
株式数は20.67万株(2.99%)で3月末段階では10位以内には登場しておりませんでしたので、今回が初めてだと思いますが、あと15万株ほど買えば5%ルール上の線に浮上しますので、ここから買い増しの動きとなるか要注目です。
それにしてもいつの間に買ったのか興味は尽きません。
同社は筆者のカバー銘柄の一つで過去10年近く経営陣と交流しております。本コラムでおなじみの相川さんにも取り上げて頂きましたが、残念ながら株価は取り上げて頂いた水準前後で小浮動が続いてきました。
なぜ不人気場面が続いてきたかと言うとそれは主に「流動性の無さ」に起因していると考えられます。
多くの投資家にとっては割安感に基づいて投資したとしてもいざ売ろうとすれば値が消えてしまうとなれば迂闊に投資できないことになります。
同社の株価は2017年の秋口に1355円という高値をつけた後、PBR1倍に向けて更なる株価の上昇を期待したのですが、残念ながらその後は3年ほどの調整期間となり3月のコロナクラッシュ時には642円まで売られてしまいました。
直近は830円から850円の小幅のレンジで株価が推移しておりましたが、今回の光通信が8番目の大株主となったことに加え、先週末に発表した日本ヒューム(5262)との資本業務提携を契機に株価が上に動き出したとの印象です。
今回、光通信は恐らく4月から9月の間での発行済み株式の3%程度までの投資を行ったと考えられます。平均買い単価は800円から850円の間であろうかと推察され更に10月以降、買い増しの機会を伺っているように感じられます。
同社の浮動株は約90万株程度と推察されます。このうちの大部分が大口投資家によって吸収され、最近の出来高減少につながってきたと推察されます。
光通信は投資に対しては冷徹で彼らが大株主になったことが明らかになったからと言って上値を追うとは限らないのですが、下値を買う主体が登場したことで、株価には下支え要因となり、いずれは見直し人気も想定されますが、これによって株価の変動レンジは850円から900円へと持ち上がってきました。
今後の同社の株価動向に引き続き皆様とともに大いに注目したいと思います。
(炎)
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)