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創薬バイオベンチャーのビジネス評価
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創薬バイオベンチャーのビジネス評価

2013-04-16 16:27
    日本の創薬バイオベンチャーがiPS細胞で話題の山中教授がノーベル賞を受賞して以来、政策的な後押しもあって注目されています。
     多くの創薬バイオベンチャーは先行投資による赤字経営で株価の低迷が続いてきましたが、ここに来て軒並み上昇傾向を辿っています。若干バブルのような雰囲気ですが、やや短期指向の投資家も混じって相場の一つの潮流を醸し出しています。

     赤字だというのは創薬のための開発経費が先行して発生するためで、ベンチャー企業としては当たり前のことなのですが、普通の投資家には評価が難しいために上場後多くのバイオベンチャー企業の株価が低迷してしまうという結果となったのです。

     日本の株式市場には既に事業基盤や製品基盤をもった製薬会社や検査薬を除くと19社の創薬ベンチャーが上場しています(正確な数字ではないかも知れませんのでご了承願います)。

     そのうちの5社を下記に掲げてみましたのでご参照下さい。赤字が続く創薬バイオベンチャーのことに興味を持って、事業に共感を持たれて夢を共有されましたら、いかがでしょうか。何よりも世の中のためになる。

     皆さんの余裕資金がこうしたバイオベンチャーの存在を継続させるために使われるのは意味のあることかと思います。バイオベンチャーの宿命として株価は今後も乱高下しますが、皆さんも各創薬ベンチャーのことを研究されてはいかがでしょうか。

     個人的に私はアンジェスMG(4563)に興味を持っています。先日、同社の山田社長(博士)とお話させて頂く機会を得ましたが好印象でした。ミセル化 ナノ技術のナノキャリア(4571)の時価総額が1000億円を超えていますが、それに比べてまだ時価総額が低い状況です。外国人持ち株比率が低いのがそ の評価の差になっているようにも感じます。

     山田社長は日本バイオテック協議会の会長です。同協議会にはオンコセラピー、カイオム、ジャパンティッシュ、セルシードデ・ウェスタンセラピテクス研究所、テラ、ナノキャリア、メディネット、ラクオリアなど20数社が加盟しています。

     株式市場は現実を追うばかりではなく時には夢にかけることもあって良いはず。そうした期待値がバイオベンチャーには一杯です。

    【参考:主な創薬ベンチャーと株価(4月12日現在)】

    1.ナノキャリア(4571)
     時価総額1017億円(時価:35万2000円)
     昨年10月末株価7万1100円→直近高値49万5500円
     設立1996年
     上場2008年3月
     外国人持ち株比率5.9%
     2014年3月期予想営業赤字12億38百万円
     2014年予定研究開発費11億30百万円
     2007年3月期来累積赤字 40億円
     主要開発パイプライン 5 前臨床からフェーズ2まで
     新規開発パイプライン 5 フィージビリティスタディ
     最注力開発アイテム すい臓がん治療薬NC-6004 ナノプラチンR 米フェーズ2(年内開始)
     技術ポイント ミセル化ナノ粒子技術で副作用を軽減、薬効増強
     提携企業 日本化薬 興和 信越化学(筆頭株主)エーザイ オリエントユーロファーマ(台湾)メディネット
     関係大学 東京大学

    2.そーせいG(4565)
     時価総額457億円(時価:3845円)
     昨年10月末株価22万500円→(3月100分割)直近高値4000円
     設立1990年
     上場2004年7月
     外国人持ち株比率14%
     2013年3月期推定営業赤字11億30百万円
     2014年3月期予想営業赤字4億円
     2013年予定研究開発費4億10百万円
     上場後累積赤字(前3月期まで)392億円
     主要開発パイプライン 3 導出済みから国内フェーズ3段階まで 緊急避妊薬ノルレボ錠など海外で開発された医薬品を国内で治験
     最注力開発アイテム 口腔カンジダ薬SO―1105(仏より導入)国内フェーズ3(本年3月に開始)
     技術ポイント グローバルな事業展開手法を開発戦略に活用
     提携企業 あすか製薬 ノバルティス 東亜薬品

    3.アンジェスMG(4563)日本初の大学発創薬ベンチャー
     時価総額304億円(時価:21万4600円)
     昨年10月末株価6万5800円→直近高値27万8700円
     設立1999年
     上場2002年9月
     外国人持ち株比率0.7%
     2013年12月期予想営業赤字9億円
     2013年予定研究開発費12億円
     上場後累積赤字(前12月期まで)198億円
     上市済み自社販売品 ムコ多糖症VI型 ナグラザイム
     主要開発パイプライン 6(自社開発品3 提携開発品1 導入品2)
     提携開発品 転移性メラノーマ治療薬 アロべクチン フェーズ3 上市接近 米バイカルと共同開発 アジアでの開発権、販売権 全世界のロイヤリティ
     自社開発品 重症虚血肢 コラテジェン 国内フェーズ3 欧米フェーズ3準備 アトピー性皮膚炎 NF-κBデコイ 国内フェーズ2 血管再狭窄(医療機器)NF-κBデコイ 国内臨床開発
     導入品   CIN治療ワクチン 子宮頸がん前がん 国内前臨床 
     最注力開発アイテム コラテジェン
     技術ポイント 副作用のない遺伝子医薬の開発 難病用の画期的医薬の開発
     提携企業 第一三共 田辺三菱製薬 塩野義 メディキット 米バイカル バイオマリン バイオリーダーズ
     関係大学 大阪大学 東京大学

    4.デ・ウェスタン・セラピテクス研究所(4576)
     時価総額118億円(時価:574円)
     昨年10月末株価118円→直近高値574円
     設立2004年
     上場2009年10月
     外国人持ち株比率3.5%
     2013年12月期予想営業赤字2.5億円
     2013年予定研究開発費1.19億円
     上場後累積赤字(前12月期まで)18億円
     主要開発パイプライン 3(全て導出済み 抗血小板剤、緑内障治療薬、抗がん剤)
     基礎研究に特化したバイオベンチャー 製薬会社に早期に導出
     プロテインキナーゼ阻害剤の開発を中心とした低分子の合成系医薬品の開発を目指すディスカバリー・ベンチャー
     最注力開発アイテム 緑内障治療薬
     技術ポイント 日欧4か国で特許化したドラッグウェスタン法の活用 プロテインキナーゼ阻害剤
     提携企業 興和 日本新薬 わかもと製薬
     関係大学 三重大学

    5.ラオクリア創薬(4579)ファイザー日本法人中央研究所が前身
     時価総額144億円(時価:1085円)
     昨年10月末株価241円→直近高値1549円
     設立2008年
     上場2011年7月
     外国人持ち株比率19.1%
     2013年12月期予想営業赤字11.5億円
     2013年予定研究開発費14億円
     設立後累積赤字(前12月期まで)117億円
     新規開発化合物の導出による収益獲得
     疼痛、消化器系疾患の2領域に集中
     主な導出品 アニュデラファンギン(米国:カンジダ症 上市済み)
           ジブラシドン(米国:統合失調症 上市済み)
           ダルババンシン(米国:皮膚感染症 フェーズ3)
     世界導入品(国内導出)EP4拮抗薬など
     最注力開発領域 疼痛、消化器系疾患の2領域に集中
     事業ポイント Integrated Open Collaboration Network (IOCN)
     提携企業 カルナバイオサイエンス 米イーライリリー 味の素製薬 丸石製薬 米アラタナ 米デュラタ 韓国CJチェリジェダン 明治製菓ファルマ

    (炎)

    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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