前回2月18日付けのコラムで、債券市場の下落に伴い金利上昇は危険と指摘しましたが、まさに今、金利上昇懸念が株式市場に暗い影で覆い始めました。

 東京市場においては2月26日に日経平均は1022円26銭下落し、そして、本日3月4日には一時800円超下落する場面もありました。終値ベースでも628円99銭安で不安定な株式市場になっています。
 2月16日高値30714円52銭から本日安値28711円04銭、およそ2000円幅の下落を演じました。


 皆さんは覚えているでしょうか?
 2013年5月、当時も金融緩和策を取っていた米国、当時はFRBバーナンキ議長でしたが、金融市場から資金回収を示唆したコメントを述べたことで、日米で株式市場は急落しました。その後、東京市場は6ケ月間の調整をしました。

 金利が上昇するインフレ懸念は株式市場にとっては天敵です。

 株価=収益÷金利との方程式は皆知っていることですが、今、分母である金利上昇が急速に上昇し、10年物国債金利は0.7%前後から1.6%超まで上昇したことで、株式市場はびっくりしたのでしょう。特に2月の上昇はちょっと加速的な上昇でした。
 その為、金融当局は金利上昇に対して、パウエル議長の議会証言で「インフレ的な動きはあっても一時的であり、金融政策をすぐに変更することはない」と言明し、市場の動揺を抑え込もうとしていました。無論、その他の連銀総裁のコメントも同様に金利上昇を抑えるコメントを繰り返しているようです。

 そのお陰か、市場はある程度落ち着いた動きを示していますが、新型コロナ禍で業績好調であった半導体・情報通信・コミュニケーション・サービス関連の米国ナスダックは大きく下落しました。昨年過熱的に買われていたこともあるが、金利上昇に伴い売られています。
 東京市場も同様な動きを示して、値がさ・半導体・電子部品関連が本日売られて、警戒感が台頭しています。

 半面、株式市場全体が売られる中、米国ではワクチン接種進展で景気回復期待も強く、エネルギー・素材株は堅調でした。また、金利上昇で金融株には買い戻しが入っています。東京市場でも同様な物色傾向がありました。保険・銀行・証券・不動産関連や、鉄鋼・資源・素材関連も戻り高値を示現する動きで「第一生命、AGC、三井不動産」が3月4日時点では堅調でした。


 相場の流れに大きな変化が出ているようです。
 昨年はまったく上昇出来なかった銘柄や新型コロナで最悪な状況を乗り越えた銘柄などに買いが入っている感じです。

 ただ、上記したように、金利上昇、インフレ懸念の台頭を前に、今はじっくり株式市場の動きを見る姿勢で臨みたいものです。

 また、経験則から3月は大手機関投資家、年金など大口投資家の決算対策売りもあり、毎年売り圧力が強くなる時期、警戒したい時です。


(大魔神)


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