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相川伸夫の注目銘柄 丸順東証二部上場と今後の未来展望について
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相川伸夫の注目銘柄 丸順東証二部上場と今後の未来展望について

2021-03-17 16:28
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    ■相川伸夫ピックアップ銘柄フォロー(動きがあった物だけ抜粋)
     ※3月12日(金)執筆時点

    ・新報国製鉄(5542)17年10月2日配信
     株価1577円⇒1492円(-5%)
    ・アバント(3836)18年6月25日配信
     株価473円⇒1543円(+226%)
    ・丸順(3422)18年9月18日配信
     株価826円⇒1080円(+31%)

    ※ピックアップ銘柄は買い推奨ではありません。
     私の目で面白い、アツイ要素がある!という理由で記事を執筆した企業の経過観察です。
     銘柄には大化け狙いと堅実成長狙いの銘柄が混じっており、銘柄数もかなり増えたので全てを列挙することはやめることにしました。


    ■新報国製鉄(5542)


     2月26日の朝に出たニュース『900度で膨張しない合金、新報国製鉄が量産技術』というのをきっかけに急騰。前日終値1052円からわずか1週間足らずで2倍まで上昇し、現在は増し担保規制が掛かり調整局面。
     元々同社の記事を3年前に私が執筆したときも低熱膨張合金のその高い技術力に惹かれての事でした。

     今回もその時よりもさらに優れた材料を製造可能になったとの事でホントに素晴らしい事です。ニュース記事には「高温にさらされる固体燃料電池やロケットエンジン回りなどで加工しにくいに部品などへ提案。」という表現から大きく夢が膨らんでいると思うので、私の過去の経験から電池と繋がると投資家の妄想が爆発しやすいことから行くときは上値を再度試す展開もあり得るのだと思います。

     企業としては非常に真面目な企業ですので飛び道具で株価を上げようとしているわけではなく、投資家が行き過ぎるという展開ですね!


    ■アバント(3836)


     私が執筆した銘柄の中で執筆から3倍以上になっている現状一番株価が上昇している企業です。業績は堅調そのものかつ連結会計という堀の深いビジネスであり、IR資料も意欲的で素晴らしい企業です。
     現状の株価上昇は過去のPER水準を一回り上回る水準であり、これは未来への大きな成長を投資家に示したことによって水準訂正が起きていると考えています。
     アバントが開示している中期経営計画では2023年6月期に下記の目標を掲げています。
     売上180~220億円(前期159.6億円)
     ストック売上比率70%(前期32.7%)
     営業利益31~38億円(前期22.7億円)
     配当15円以上(前期9円)

     これまで上場以降期初計画を全て上方修正してきた同社だからこそこうした数字にも信用が置けます。そうした期待感が株価にも表れていますね。
     今後も注目していきたいです。


    ■丸順(3422)祝!東証二部上場


     私が今回のコロナ相場で何回も取り上げた銘柄丸順が先日2021年3月12日に名証単独上場から東証二部への上場(IR発表は3月5日)を果たしました!大変喜ばしいニュースです。
     齊藤社長が就任してから怒涛の復活劇を見せてもらっています。

     私が同社について初めてレポートしたのは2018年9月5日にみんなの運用会議の記事が初めてです。その後億の近道に対して補足記事を9月18日に執筆しました。

     億の近道掲載後からも業績は好調であり、一番の要である財務改善は順調に推移していきました。が、株価は2018年からは低迷を続けその状態でコロナ禍を迎えたので一時株価は売り一辺倒となり、2020年3月17日に安値281円の大底を付けます。

     20年3月は全ての株が安かった時でしたので、今から考えると一年前のこの恐怖のどん底であればどの株を買ってもほとんど大幅に値上がりしていることと思います。
     私が億の近道で丸順について書くことが増えたのは20年5月以降です。
     ちょくちょく触れることが多くなっていきましたね!

    ☆相川伸夫のピックアップ銘柄20年3月期本決算フォロー
     https://note.com/okuchika/n/n26ed7368f865

     20年3月期の本決算では多くの企業がコロナ禍の影響を見定められないという理由で通期予想を非開示にしている中で、丸順はまさかの通期予想を開示、しかも黒字で開示していることに衝撃を受けました。
     丸順は中国の広州と武漢の稼ぎが大半になりますが、連結決算の会計上の兼ね合いで海外は3カ月ズレて連結されます。よって中国武漢でコロナパニックが始まった20年12月~3月は丸順の2021年3月期の1Qに連結される仕組みの為、業績への大ダメージが通期で計上される一年になる訳です。
     にもかかわらず通期黒字予想、それも純利益の減益幅も前年同期比マイナス46%足らずだというのです。

     私は齊藤社長がかなり堅実経営で下方修正嫌いであることも知っていましたので、この状況下でこの数字というのはかなり自信があるのだろうと思いました。
     そして、コロナ禍を契機に脱炭素とEVに世界がシフトしていくという大きなことも起こっています。

     EV化促進はこれまでにも多く触れてきましたが丸順には追い風です。
     丸順に関して300時間以上の調査時間を費やして書き上げたレポートは下記になります。もし、まだ読んでいない方は一度読んで頂ければと思います。

    ☆3422 丸順 超ハイテン金型製造シェアトップの技術で切り拓く未来!
     フォローアップレポートby相川伸夫 2020年10月25日
     https://double-growth.com/3422-marujun-20201025/


    ■丸順(3422)の未来展望についての考察


     東証二部上場に伴い同社には是非IRセミナーを開催して頂きたいと打診しております。
     時期としては株主総会後か、もしくは2Q決算後でどうか?といったタイミングです。
     これから書くことは同社に取材をした話ではなく、私が同社に限らず業界動向や他社を取材していて感じている事からの推測になります事を始めにご了承ください。

     日産ノートE-powerに初めて冷間プレスで1500MPaの超ハイテンが採用されたことはプレス業界では激震であったと考えています。
     1500MPaの超ハイテン材は、国が旗振りをしつつ競合メーカーも一緒になって技術革新の研究開発をしようという取り組みの中でJFEが開発した革新鋼板が採用されたものだと考えられます。この団体の事を『ISMA』と呼びます。
    ※新構造材料技術研究組合(Innovative Structural Materials Association:
     ISMA)は、自動車を中心とした輸送機器の抜本的な軽量化に向けた技術開発の推進を目的として設立された団体です。
     ↓ホームページ
     https://isma.jp/

     燃費を上げるためには車体を軽くする必要がある⇒よって車体骨格の鉄の使用量を減らさないといけない。しかし、使用量を減らすと強度が落ちてしまう。
     使用量を減らしても同じ強度を保てるように鋼板自体の強度を上げよう!!
     そうしてホットスタンプ(ホットプレスも同じ)という加工方法は鋼板を高強度に成形できて、成形難易度も優しいので必要不可欠であると言われ、欧州がスタートになり、今では世界中で導入されている必要不可欠な工法になりました。
     しかし、ホットスタンプの弱点は設備導入のイニシャルコストに加え、生産・加工コストが高いということがあります。
     ・ラインが長い
     ・生産性が悪い(1分で5ショット程度)
     ・後工程が大変(穴あけの為にレーザー加工機等)
     ・意匠が悪い(黒くくすんでしまうので見える所には向かない)
    といったものがあります。最近では脱炭素への意識も高まり、自動車一台を生産するのにどれだけのCO2が排出されているのか?といったポイントでもホットスタンプは加工に際して鋼板を900度まで加熱するので当然CO2排出も高くなってしまいます。
     これまではこうした事があってもホットスタンプ以外の選択肢が特にありませんでしたが、今回の革新鋼板の開発で大きく流れが変わってくると私は考えています。
     1500MPaが冷間プレスで出来るというのはホットスタンプが一定範囲では不要になるということになると思います。
     元来、ホットスタンプが冷間に代わって使われてきたのは、成形物の形状が複雑では冷間プレスで加工すると割れたり欠けたりしてしまうために成形不可でした。しかし、今回開発された鋼板は伸びが20%以上ある1500MPaの鋼板ということです。
     これであれば、現状ホットスタンプに流れた骨格部品のある程度までは冷間でやりましょう!ということになっても全く違和感はありません。
     また、マルチマテリアル化の研究も進んでいますが、鉄と他の金属や炭素繊維では数倍~数十倍のコスト差が存在しています。
     冷間プレスで超ハイテン加工できるようになるのであれば、マルチマテリアル化が進むのは高級車だけで、量産車には冷間超ハイテンが続々採用されるのでは?と考えます。
     これには原材料コストだけではなく、溶接接合する為の新設備の導入が必要であったり、車体を廃棄する際のリサイクルも困難であったりといった課題もあります。
     まだ導入ハードルが高いマルチマテリアルですが、超ハイテンではそういった問題が無く、冷間プレスで1500MPaまで出せるのであれば採用がこちらに傾くと考えるのが一般的かと思います。


    ☆素材と成形法で「壁」を越える。Part2 日産が1.5GPa級冷間プレス材2021.03.10
     https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/at/18/00071/00002/

     日経クロステックにて、日産ノートe-POWERに関しての詳細な記事がアップされていました。
     この記事によると日産は「冷間プレスの1500MPaを使用したのは製造コストを抑える為」ということを言っています。形状が難しい部位はホット、簡単な形状には冷間プレスを用いるという方針です。1500MPaでガチガチに強度を固めたのはいずれもリチウムイオン電池パックを囲うように使用されています。
     この革新鋼板は日本でしか製造できないでしょうから海外拠点を冷間プレスで回すことは困難だと思われますが、徐々に世界中の拠点での鋼板製造技術は上がっていますので方向性としては変わらないでしょう。


     ここで丸順に話を戻します。

     丸順はこれまでも超ハイテンを製造する金型に非常に強く、超ハイテン金型製造ではTOPシェアです。
     今回のJFEの開発した革新鋼板の超ハイテン材は1500MPaという驚異の引張強度にも関わらず、伸びは20%と従来の3倍~4倍もの伸び率になっています。これは590MPa程度の伸びに成るとの事です
     応力ひずみ線図等が開示されていないので定かではありませんが、伸びが大きく成ったことから加工できる成形形状が段違いに増加していることは間違いないと思います。しかし、だからと言って超ハイテン特有のスプリングバックが無くなったというわけでは無いでしょう。
     鋼板が硬くなればなるほどスプリングバックは金型製造メーカーを苦しめます。これまで主流だった超ハイテンは780~980MPaです。1500MPaは大きく飛びますので、これを多くのメーカーが簡単に製造できるとは私には中々思えません。
     そうなると超ハイテン金型製造技術で実績も能力もある丸順にとって、これは非常にチャンスが出てくるように私は推測しています。

     同社は東証二部に昇格してからS高を一度付け、3月12日時点の株価は1080円です。
     今期の会社発表の通期EPSは169円ですのでPERは6.4になります。
     これまで同社は名証単独上場でしたので、証券会社によっては購入することも出来ませんでした(楽天証券等)。現物買いは出来ても信用買いは出来ない証券会社もありました(SBI証券等)。
     株のスクリーニングでは表示されなかったり、株の特集でも掲載されることはありませんでした。
    ※丸順はバッテリ―ケースはおろか、パナソニックやGSユアサにリチウムイオン電池のバッテリーモジュールも納めているので間違いなくEV銘柄ですが掲載されていません。

     まだまだ、多くの方が同社については認知されておらず市場評価は低いままです。
     私個人としての考えでは同社の役員並びに従業員が一番頑張っているので、持ち株制度等を活用されて会社の長期成長に貢献して頂きつつ、利益を得て頂きたいと思っています。※私の独り言です。


     同社はこれからさらに楽しくなると大いに期待しております。

     東証二部昇格おめでとうございます!
     そして次は東証一部(プライム市場)です。
     同社の実力なら余裕でプライム市場に昇格出来ます。
     足りないのは時価総額だけです。
     齊藤社長は野心にもあふれる方なのでこれからもっとワクワクさせてくれると期待しています。


    『全力全開全力前進!!!』


    (相川伸夫)


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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