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株の玉手箱 足元の減益を織り込み、来期回復期待銘柄
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株の玉手箱 足元の減益を織り込み、来期回復期待銘柄

2021-04-05 18:36



     今年に入り、日経平均株価は2月の30714円を高値に、米国金利の上昇や欧州での新型コロナウイルスの感染拡大懸念から一進一退の動きとなっています。
     一方で、個別では、足元減益決算で売られた銘柄の中で、来期の業績回復期待から株価が戻りを試してきた銘柄が散見されます。

     今回はそんな中からの銘柄紹介です。


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    日本エム・ディ・エム(7600) [東証一部]


    【事業紹介】

     同社の事業は、整形外科分野を中心とした医療機器の開発、製造、販売。
     医療器具の輸入販社で(※1参照)骨接合材料や(※2参照)人工関節などを輸入し自社製品が9割を占める。

     様々な骨疾患は、高齢化やスポーツ人口の増大等による骨折や食生活の変化に伴う若年層におけるカルシウム不足等で世代を超えた広がりを見せており整形外科分野製品の需要は着実に拡大している。

     整形外科分野での同社の事業領域は、整形外科分野を中心とした医療機器の開発、製造販売である。様々な骨疾患は、高齢化やスポーツ人口の増大等による骨折や食生活の変化に伴う若年層におけるカルシウム不足等で世代を超えた広がりを見せています。このような背景により、整形外科分野製品の需要は着実に拡大しており、当社への社会からの期待も増大している。

     同社は米国子会社Ortho Development Corporation社と共同で「日本人患者の骨格体型に合致し、日本人医師ニーズを満たす製品の提供」というコンセプトで骨接合材新製品の開発、薬事承認を取得し販売を開始しました。同社オリジナルライン「MODE」として販売している。

     高齢化が進むことにより骨接合材市場は伸張することが想定される中で、「日本人向け骨接合材料」の投入を機に売上を伸張させ、巨大かつ成長領域においてシェア拡大を図っている。

     人工関節分野に進出するにあたって、1996年に人工股関節「ODCバイポーラシステム」の販売を日本で開始した。
     2001年に人工膝関節「バランスド・ニー・システム」、2011年に人工股関節「オベーション ヒップ ステム」、2012年に人工股関節「エンコンパス ヒップ ステム」、2016年に人工股関節「アルパイン ヒップステム」を発売しています。
     また、2012年に「ESCALADE アセタビュラー カップ & ライナー」、「APPLAUS フェモラルヘッド」を販売し、人工股関節慢性疾患分野へ本格参入を果たしている。

     同社の提供する(※3参照)人工骨は、日本特殊陶業株式会社で製造され供給されています。高齢化の進行により、骨粗鬆症の増加に伴う骨折は増加しており、人工骨の需要は、今後さらに増すものと考えており、2005年11月より人工骨ペースト『プリマフィックス』、2009年1月より焼結体『プリマボーン』、2016年11月より『セラリボーン』の販売を行い、整形外科分野の他製品への相乗効果も期待できる。


    【業績面】(同社「2021年3月期 第3四半期決算短信」より)

     1月29日に第3四半期(累計)決算を発表。
     売上高は12,308百万円(前年同四半期比1,199百万円減、同8.9%減)、営業利益1,569百万円(前年同四半期比480百万円減、同23.4%減)、経常利益1,537百万円(前年同四半期比458百万円減、同23.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,017百万円(前年同四半期比439百万円減、同30.2%減)となった。
     売上高は、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大する中で、日本国内の売上高は前年同四半期比0.3%増の8,082百万円であったが、米国では新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、米国の外部顧客への売上高はUSドルで前年同四半期比20.1%減、円換算後は前年同四半期比22.4%減の4,226百万円となった。

     人工関節分野は、新型コロナウイルス感染症の影響により、日本国内及び米国の売上高合計は前年同四半期比14.4%減の7,464百万円となった。日本国内の売上高は前年同四半期比1.2%減と前年並みを維持できたが、人工関節置換術の延期・中止の影響を大きく受けた米国の売上高は前年同四半期比22.4%減となった。

     骨接合材料分野は、2020年4月発出の緊急事態宣言に伴う外出制限などの影響により前年比で症例数が減少し、日本国内の売上高は前年同四半期比6.5%減の2,645百万円となった。なお「ASULOCK」は2020年7月から徐々に出荷制限を解除しており、医療機関からの需要に対し一定の制約はあるものの、その供給は回復傾向にある。

     脊椎固定器具分野は、新型コロナウイルス感染症の影響による脊椎固定術の延期・中止があったが、日本国内において「KMC Kyphoplasty システム」が引き続き好調に推移したことから、日本国内及び米国の売上高合計は前年同四半期比16.2%増(日本国内17.0%増、米国40.1%減)の1,918百万円となった。

     セグメントの業績を示すと、日本売上高は8,082百万円(前年同四半期比0.3%増)、営業利益は960百万円(前年同四半期比11.4%増)となり、米国売上高は7,077百万円(前年同四半期比10.8%減)、営業利益は709百万円(前年同四半期比36.0%減)となった。


    (※1)骨接合材料(市場規模約525億円/2016年)
     骨接合材料とは、骨折し?た骨の固定を行うための体内に埋め込む製品を言い、スクリュー、プレート、髄内釘等がある。

    (※2)人工関節(市場規模約1,005億円/2016年)
     人工関節とは、何らかの疾患によって関節の機能が損傷を受け、その機能を回復するために人工の材料を使って置き換える製品を言う。

    (※3)人工骨
     骨折や骨腫瘍などで生じた、骨の欠損した部分に対してその隙間を埋める為の人工物。骨の無機成分であるHAp(水酸アパタイト)をはじめとして、ヒトの骨と非常に類似した成分で構成されている。経時的に骨と直接結合して、骨と同様の働きを担う。欠損部の形状に合わせ易いペースト状の製品や、長期的に安定した成績が知られている焼結体(固形状)の製品がある。


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     足元の株価は、昨年12/4の2510円を高値にして、3/5には1868円まで調整をしており、その後は戻り歩調が継続している。また、海外機関投資家のBNYメロン・インベストメント・マネジメント・ジャパンは、3月25日受付で財務省に変更報告書を提出しており、報告書によれば、同社株式保有比率は6.52%から8.12%に増加した。今後の更なる買い増しの思惑もあるようだ。


    (あすなろ産業調査部 藤井勝行)


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